山の頂から

やさしい風

角さえ生えない

2010-12-29 00:28:02 | Weblog
 宅配が届いた。歳暮の鮭の箱にしては小さい。ハテ・・・?
夫がニヤニヤして箱から取り出した物は、なんと!枝切りバサミだ。
「どうしたの?」と聞けば、「誰かさんの角を切るんだ。ハハハ・・・」
確かにキレ味は良さそうだ。すると傍にいた娘が口を開いた。
「ちょっと、無理じゃない。角はかなり頑固な硬さだよ」だって。
まったく!親子で憎たらしい~~

 今人気の俳優が【三国志の英雄・曹操】の墓に出向く番組が放送されていた。
途中からだったので前後の内容が解らないでいたが、
その中で曹操が己の墓を【西門豹】の祠の西に造れと遺言しているとあった。
西門豹は、曹操よりも600年ほど前に安陽一帯を治めていた役人で、
『史記』に残された、次のようなエピソードが載っている。

 西門豹が着任した地には洪水を避けるために、
住民の中から美しい娘を選んで河の神に妻として捧げる風習があった。
が、この神事をとりしきる土地の役人や巫女らが、
神事のためと称して住民からしぼりとった税金を山分けしている事実。
それを知った西門豹は神事の日に出かけて行き、人身御供の娘を見て、
「この娘は美しくない。
さらに美しい娘を見つけるまで河の神に待ってくれるよう頼んでくれ」と、
巫女を神への使者として河に投げ込ませました。
もちろん、巫女は河に沈んで浮いてはこない。
西門豹は、「何で戻って来ないのだ」と、
巫女の弟子や役人を次々と河に投げ込ませました。
人々は大いに驚き恐れ、それ以来この風習はなくなった。

 それを視ていた娘曰く、「だから母さんは生き延びたんだ~」
「いや、或いは投げ込まれた巫女だったかもな・・・」夫までもが言い募る。
あ~ぁ、冗談でない! 鬼門の地に舞い降りた鶴は今や疲れ果て、
輝く翅は油気も失せ手足は荒れ、角さえも生えてこない。
ん?が、しかし最初から鶴に角はない!!
寧ろ、西門豹に救われて【めでたし、めでたし~】の美しい娘が私じゃ!と、
何とも夢のない一家の戯言が飛び交う夕餉であった。
恐らく、地下の西門豹と曹操はトホホ・・・と呆れていることであろう。

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