In the Nest

ちいさな巣の中から、見上げる空。

クリスマスローズ

2005-03-31 20:41:23 | Weblog

クリスマスローズは、
下を向いて咲く。
写真を撮る時の、
カメラを向ける角度に、いつも苦心する。

この、花びらのように見えるところは
実は花びらではなくて、萼(がく)なんだそうだ。
ほんとの花びらは、
雄しべの元のあたりにちょこちょこっとあるだけで、
しかもすぐ散ってしまうらしい。

でも、
こうしてつつましくうつむいて、
可憐に咲いている姿を見れば、
べつに萼でも花びらでもどっちでもいいじゃない、
という気持ちになる。


美しく大きな萼の中に、
ちいさな、ほんとうの自分を隠して、
誰かの訪れを、じっと待ち続けているのなら。



 うつむいて咲く花なればうつむいたまま抱き締めよ強き腕(かいな)で




甲子園の空

2005-03-31 19:27:22 | Weblog

息子にせがまれて、甲子園に行ってきた。
その気になればすぐ行ける近さなのに、
なかなか、足を運ぶ機会がない。


昔のことを思えば、
高校野球も地味になったなぁと思う。
それでも、いまだにNHKが全試合生中継してるんだから
他の高校スポーツと比べれば、
破格の扱いであることに変わりはないのだけれど。

平日で、地元校の登場もなく、
スタンドは空いていた。
一塁側の、ダッグアウトのすぐうしろあたりで見ていたので
臨場感はあったけど、
それでもなんだか、川原に腰かけて草野球をながめているような
のんびり感があった。


試合の合間に、
なんとなく、空を見上げた。
そこには、
昔と同じ、甲子園の青い空が広がっていた。
早起きして、お弁当持ってやって来た子どもの頃と、
何ひとつ変わらない空が。


変わってゆくもの。
いつまでも変わらないもの。
自分の中にも、
その両方があるような気がする。



つぼみ

2005-03-27 17:30:15 | Weblog

咲く寸前の、
ぷりんぷりんにふくらんだ木瓜の蕾を見つけた。
その愛らしい色、かたち。


「あともう少しで咲く」
そんな時が、
いちばんいい時なのかもしれないな。



この手の中に

2005-03-26 21:12:20 | Weblog

この手の中にあるもの
持てないもの
こぼれおちてゆくもの
のこるもの

月は白く輝き
空の向こうで微笑んでいる
追いかけても届かぬ明日のように

心を掬い上げる金のひしゃくは
海のどこに沈んでいるのだろう

ただ見つめる
ただ前を向いて
振り返ったその一瞬に
失われてゆく夕暮れの景色の中で



雪柳

2005-03-26 16:10:34 | Weblog

ユキヤナギが、やっとぽつぽつ咲き始めていた。
今年は、少し遅いのかな。

早く、真っ白に咲きこぼれる姿が見たい。



ユキヤナギもバラ科なんだね。



見えない宇宙

2005-03-20 16:29:05 | Weblog

部屋の片づけをしていたら、
息子が近づいて来て、こう言った。

「おかあさん、人間って、なんでおるん?」

うーーん。
突然、そんなむずかしいこと訊かれても。

「・・そりゃまぁ、
おサルさんがだんだん変化してできたんやろうけど。」
(↑違います?^^;)

「・・・」

そういうことじゃないのか。


ふと思いついて、こう言ってみた。

「べつに、人間って、そんな特別なもんやないねんで。
花が咲いたり、木が生えたりしてるんといっしょ。」

「ふうん・・」


そこで、
何がいっしょで何がちがうのか?
などとさらに突っ込まれたらどないしよう、と
びくびくしながら次の言葉を待ったけれど、
息子は、何も言わずに向こうへ行ってしまった。
やれやれ。

あとでよく考えてみたら、
どうして急にそんなことを言い出したんだろう。
それをまず、聞いてやればよかったのかな。
だけど息子はもう、
いつものように、はしゃいで妹と暴れ回ってる。
そんな質問をしたことすら、忘れてしまってるみたいに。


息子は、この春から小学三年生。
その中にかたち作られつつある宇宙は、
すこしずつ、私の見えないところにまで広がっていく。
いつしか、
見えないことだらけになってしまう日がきても、
心を研ぎ澄ませて感じ続けることを、あきらめてはいけないのだと思う。



羽搏く

2005-03-20 11:05:50 | Weblog

息子のズボンのポケットをよくあらためずに、
洗濯してしまった。
いつもは、気をつけてるのに。

洗濯機のふたを開けたとたん、
「あー・・・やってもたぁ」
そう、ポケットに入っていたティッシュがこなごなになって、
すべての洗濯物に、まんべんなくくっついてる。

朝から気分がどんよりしたけど、
やってしまったものはしかたがない。
一枚ずつ取り出して、ひたすら振り、はたく。
結構、しんどい。
(ずっと前に、『伊東家の食卓』でこういうのを
サッと取る方法ってやってた憶えがあるんだけど、
どなたか知りませんか?^^;)


そこへ娘がやってきて言った。
「おかあさん、私も一緒に『はばたいて』あげるー!」
ん?
はばたく?
「はたく」のを「はばたく」と間違えてるのかな。
だけど、
洗濯物を両手で持ち、翼のようにバタバタとはためかせてる姿は、
たしかに「羽ばたいて」いるように見えなくもない。

「ありがと、じゃ、自分の服だけ頼むわー。」
と、娘にもパタパタしてもらった。


朝から親子でいっぱい羽ばたいて、
くたびれたー。


その間、息子はおやつ食べながらテレビ見てた。
息子にこそさせるべきだったかも。
(・・・といっても悪いのはやっぱり私なんですけどね。)



時間

2005-03-20 03:38:59 | Weblog

こんなにきれいな夕日見ながら
待ってたんだよ

胸の中に
たったひとりの人しかいない
それ以外のことを考える必要もない
そんな時間を持てることが
なによりもしあわせで


携帯鳴った瞬間に もう
人込みの中 走り出していたんだよ