白い花は幻
優しくて冷たくて
夢の中でしか咲けぬ花
白い花に見つめられ
身動きすらできぬまま
いつしか季節は移りゆく
もう一度 生き直そう
そのチャンスを与えられたのだから
しっかりと目覚めていよう
大切なものを見逃さないように
光が見えない時も
あきらめず 前を向いて歩いていこう
しあわせは
与えてもらうものではなくて
自分の中から生み出すもの
そう信じて生きていく
雲の切れ間から差す光
水面をステージのように輝かせて
輝く舞台に立つことはなくても
ただ そばにいる誰かをしあわせにしていたい
それだけが今の願い
煙草を吸う横顔を
しばらく 見つめていた
会えない時も
忘れないように
いつかは ひとりで
ここへ 来るのかもしれない
私も
何かを捨てに
夜明けの空の色が
すこしずつ変わってゆくのを
ずっと眺めていた
白い椅子の上にひざを抱えて
嘘でもいいから
私をまだ必要だと言って欲しい
そんな言葉は雲の向こうにはかなく消えて
安定の中に暮らしている人は
不安定なものに憧れて
不安定の中に暮らしている人は
安定した何かが欲しくなる
そう
求めるものは逆なんだ
いつだって
雨に濡れて
芙蓉の花が咲いていた
芙蓉は一日花
昨日見た夢も
今日にはもう しぼんでしまっている
明日のために
また 新しい夢を見なければならない
たとえ一日で終わる夢であっても
日々は
咲いてはしぼむ夢の繰り返しなのだろうか
明日が
あの 夕焼け雲の向こうにあるのなら
雲を見ながら
ひとり ただ祈るだけ
明日は もっと
ゆったりした心になれますように と・・