大谷の主集落からさらに少し山に分け入ると、大谷資料館である。野球場がまるまる入ってしまうという地下空間が広がる、大谷石採掘場の跡に、一部ではあるが入ることができる。
そもそも大谷石とは、新生代第三紀中新世(約2000万年前)に堆積したとされる流紋岩質角礫凝灰岩の一(地学選択者、わからいね(笑))。古代より古墳や築城に用いられてきたが、旧帝国ホテルに採用されたことから一挙にスターダムに躍り出た。
市営駐車場に駐車したが、それは大谷の町のホンの入り口にあり、実は大谷寺にも大谷資料館にも駐車は出来たのである。大谷寺から大谷資料館までは思った以上に距離があってヒールを履いた淑女(レイディ)には少々申し訳なかったけれど、しかし、もし窓を閉め切ったクルマで移動していたら決して感じられなかったであろう体験ができた。それは……
資料館まで約200メートルという辺りにまでやってくると、木の間からひんやりした風が吹いてきた。木陰とはいえ、周りで30℃をゆうに超えた空気がここまで冷やされる訳はない。
そうである。採掘場から漏れる冷気が、ここまで漂って来ていたのだった。歩を進める毎にさらに冷たい空気を感じる。これは徒歩でやって来た者だけが感じることの出来る現象だ。これだけ暑いと上着は要らなかったのではないかという懸念は消えた。数台のクルマに追い越されながら、自分たちもつい先程までクルマに乗っていたことは棚に上げ、やつらが文明漬けになっていることを痛罵する(いたたたた)。
昔日の砕石機などの展示を見て、いよいよ地下30メートルの世界に入る。階段を下りていくと、先程の比でない冷気が身体にまとわりつく。そして遂に巨大な地下空間が姿を現した。
この日の地下気温は12℃。外界より20℃以上低いことになる。しかも12℃という気温は、年間の温度変化の中でも最も高い部類に入るのだ。上着必須というほどでもないが、春秋用の麻混ジャケットを着てしっくり来る気温である。ちなみに採掘場内の気温が年間で最も高くなるのは9月で、平均13℃とか。地上では日照時間が長い時期と気温の上がる時期に2か月ほどのずれがあるが、地下ではさらに1か月のずれがあるということらしい。
広い空間に飛び飛びに設けられた電灯は、当然空間全体を照らし出したりはしない。天井ははるか高く、闇に溶け込む。そればかりでなく霧というか靄が一面にかかっていて、幻想的な雰囲気を助長する。これが『方舟さくら丸』の世界か……。そう思うと、ロープを越えて本当の闇の中に分け入ってみたい衝動が湧いたが、さすがにやめておいた。
携帯カメラで撮ってはみたが、やはりさっぱり。まあ所詮携帯カメラなんてこんなもんだよねと諦めていたら、七味嬢のおニューの携帯は、見事鮮明な画像を切り取っていた。うにゃ~……。技術の世界は日進月歩、わずか1年余りでここまでの差が出るとは。
出口に向けて先程と同じ階段を上る。下る時には涼しさを感じていたのに、今度は不快感を催す蒸し暑さが、じわじわと近寄ってくるのを感じる。そして扉を開けると、一挙に熱波に襲われ、しばらく活動を休んでいた汗腺から汗が噴き出す。これが現実だ。
そもそも大谷石とは、新生代第三紀中新世(約2000万年前)に堆積したとされる流紋岩質角礫凝灰岩の一(地学選択者、わからいね(笑))。古代より古墳や築城に用いられてきたが、旧帝国ホテルに採用されたことから一挙にスターダムに躍り出た。
市営駐車場に駐車したが、それは大谷の町のホンの入り口にあり、実は大谷寺にも大谷資料館にも駐車は出来たのである。大谷寺から大谷資料館までは思った以上に距離があってヒールを履いた淑女(レイディ)には少々申し訳なかったけれど、しかし、もし窓を閉め切ったクルマで移動していたら決して感じられなかったであろう体験ができた。それは……
資料館まで約200メートルという辺りにまでやってくると、木の間からひんやりした風が吹いてきた。木陰とはいえ、周りで30℃をゆうに超えた空気がここまで冷やされる訳はない。
そうである。採掘場から漏れる冷気が、ここまで漂って来ていたのだった。歩を進める毎にさらに冷たい空気を感じる。これは徒歩でやって来た者だけが感じることの出来る現象だ。これだけ暑いと上着は要らなかったのではないかという懸念は消えた。数台のクルマに追い越されながら、自分たちもつい先程までクルマに乗っていたことは棚に上げ、やつらが文明漬けになっていることを痛罵する(いたたたた)。
昔日の砕石機などの展示を見て、いよいよ地下30メートルの世界に入る。階段を下りていくと、先程の比でない冷気が身体にまとわりつく。そして遂に巨大な地下空間が姿を現した。
この日の地下気温は12℃。外界より20℃以上低いことになる。しかも12℃という気温は、年間の温度変化の中でも最も高い部類に入るのだ。上着必須というほどでもないが、春秋用の麻混ジャケットを着てしっくり来る気温である。ちなみに採掘場内の気温が年間で最も高くなるのは9月で、平均13℃とか。地上では日照時間が長い時期と気温の上がる時期に2か月ほどのずれがあるが、地下ではさらに1か月のずれがあるということらしい。
広い空間に飛び飛びに設けられた電灯は、当然空間全体を照らし出したりはしない。天井ははるか高く、闇に溶け込む。そればかりでなく霧というか靄が一面にかかっていて、幻想的な雰囲気を助長する。これが『方舟さくら丸』の世界か……。そう思うと、ロープを越えて本当の闇の中に分け入ってみたい衝動が湧いたが、さすがにやめておいた。
携帯カメラで撮ってはみたが、やはりさっぱり。まあ所詮携帯カメラなんてこんなもんだよねと諦めていたら、七味嬢のおニューの携帯は、見事鮮明な画像を切り取っていた。うにゃ~……。技術の世界は日進月歩、わずか1年余りでここまでの差が出るとは。
出口に向けて先程と同じ階段を上る。下る時には涼しさを感じていたのに、今度は不快感を催す蒸し暑さが、じわじわと近寄ってくるのを感じる。そして扉を開けると、一挙に熱波に襲われ、しばらく活動を休んでいた汗腺から汗が噴き出す。これが現実だ。