学ぶ喜びを生きる力に☆奥田塾

三重県桑名市にある小さな英語塾・奥田塾のブログです。テーマは、学ぶ!楽しむ!分かち合う!

真っ白な雪。そして、オレンジ色の光が揺れた。(2)

2016年02月06日 | 日々の雑感
(「真っ白な雪。そして、オレンジ色の光が揺れた。(1)」より続く)

「あっ、島木譲二や!」
「おお、そうや、島木譲二やぞ!」
体格のいい男は、吉本新喜劇で有名なタレントの島木譲二だった。
例のガラガラ声で何か話しながら、駅の改札へ続く階段を上っていく。
◯、◯、◯、◯の4人は彼を追いかけて階段を上った。
そして私も…。
すると、もう一人、別の男が、いちばん前を行く赤いマウンテン・パーカーの男を指して言った。
「あれ、浜ちゃんだよ」
これもまた吉本新喜劇の看板スター、チャーリー浜だ。
フードで頭をスッポリ覆っているので顔はわからなかったが、よく見ると、まぎれもなく、あの『ゴメンくさ~い』(ちょっと古いかな)のチャーリー浜だ。

こうなると、もう4人ともエンジン全開だ。
「おはようございま~す!」
「おはよう。お前ら、(こんなに早く)学校か?」
「入試です」
有名タレントとあいさつを交わすなんて、めったに経験できるもんじゃない。
あとでクラスのみんなに自慢できるように、何か証拠を残しておかなければ…。
「せっかくやで、生徒手帳にサインしてもらったらどうや?」
「そうしよう!」

切符を買い終わるのを待って、島木譲二にサインをねだる4人。
正直なところ私は、「電車の時間もあるし、こっちは忙しいんや。カンベンしてや」くらい言われても仕方がないかな、と思っていた。
ところが実際は、イヤな顔ひとつせず、一人ひとりの生徒手帳に、ていねいにサインをしてくれた。

大きな体に、いかつい顔。ガラガラ声。
しかし、心は本当に優しい人のようだ。
どんなときも、ファンに対する感謝の気持ちを忘れずに持っている人なのではないだろうか。

雪のせいでバスは走らなくなるし、急きょ電車で入試会場へ向かったものの、集合時刻には遅れるし、とにかく大変な1日でした。
それでも今、なんとなく「いい日だったなあ」と思えるのは、おそらく島木譲二の優しさに触れることができたせいでしょう。
そう、それはまるで、真っ白な雪の中で揺れていた、あのオレンジ色の光のような優しさなのです。
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