球春遠からじ! 春分の日をつつがなくすごしたら、プロ野球開幕まであとわずか。今年は第4回WBCが行われており、野球熱が例年より早く高まっている紳士淑女も多いことだろう。そこで今回は、オールスター戦、日本シリーズなどの試合開始前に粛々と執り行われるアオダモ植樹のセレモニーについてレクチャーしたい。夏のオールスター戦や秋の日本シリーズのことなのに何を急にと思われるかもしれないが、人生はどう転ぶかわからない。夢はでっかくプロ野球選手を目指している学生諸君、NPB日本プロ野球機構の職員ひいては理事にならないとも限らない就活中の学生諸君、いや! そこの気を抜いている奥様もいつアオダモ植樹のセレモニーに関わるかもしれないのだから、いまのうちに学習しておかない手はないのです。それが人生の相場というものなのだから仕方がないのです。
かくいう筆者も、プロ野球とは無縁の生活を送っている。テレヴィの前で観る専門であり、プロ野球側からの関わりは一切ナッシング。アオダモ植樹のセレモニーを球場で実際に目の当たりにした機会はないし、テレヴィのダイジェストで数秒お目にかかった程度なので、これからレクチャーすることは全部想像であることはお断りしたい。だが、やる。
◇アオダモ植樹のセレモニーとは
まずはじめに、そもそもアオダモ植樹のセレモニーってなあにと思っているボーイズ&ガールズも多数いらっしゃることだろう。そうあわてなさんな。たっぷり教えてあげますよ、想像だけど。
アオダモとはバットの原材料となる木のことである。アオダモのほかにもメープルやホワイトアッシュという種類の木もバットの原材料に使われる。馬鹿にしないでほしい、木製バットの種類は知識としてばっちし頭に入っている。では、なぜメープルやホワイトアッシュの植樹セレモニーはないのに、アオダモだけはあるのかだ。それはたぶん、ほかに比べて生育が遅いとか自然界で本数が少ないからなんじゃないかなー。
そのアオダモの苗木を植える会が、前述したとおりイヴェント性の高い試合の前に行われるのだ。
◇用意するもの
地球は何もない宇宙からビッグバンが起こって誕生したわけだが、アオダモ植樹のセレモニーは何もないところからは何もはじめられない。日本プロ野球機構の職員になった際、何を用意すればよいかいまから考えておきたい。
・アオダモの苗木が入った鉢
本日の主役。造園店か野球用品のメーカーに発注すれば届くような気がする。
・園芸用の土が入ったバケツ
苗木に土を盛る、当世風にいえば盛り土するのだから必須。これも造園店か野球用品のメーカーについでに発注すれば届くような気がする。
・シャベル
盛り土用。大地に植えるわけではないので、スコップではなくハンディーなシャベルでよい。このぐらいなら自分でホームセンターに走ってもよいのでは。
・水が入ったじょうろ
植物も人間と同じく水が必要。じょうろであれば球場のどこかにあるのでは。ちょっと考えればわかることだが、ラッキィ池田のじょうろは×。
・それらを置く台
書きそびれていたが、上記のものは3個ずつ用意しなくてはならない。両軍の選手各1名あるいは主催チームの選手2名と、後述するがお偉方のおじさんの計3名によって植樹されるのだ。それ相応の幅のある台を用意されたし。さっきからだけどこれも想像だが、ロッカーにある折りたたみテーブルに白い布でも覆えば見栄えするかと思う。選手ロッカーか審判ロッカーかは各自の判断で。
◇諸々の配置
目立ってかつ違和感なく想像の場所に配したい。
・置き台
どこに置いてもかまわないわけではない。ベンチ前やバックネット際など捕ったか捕ってないかわからないファールフライの位置に置いても誰も見えやしないのだ。かといって、いちばん注目が集まる場所はピッチャーマウンドではあるのだが、坂になっていて足場が不安定すぎる。では、バッターボックスではとなると、せっかく線を引いたのにまた線を引き直さねばならない。最適な場所はピッチャーマウンドとバッターボックスの間であることは、ちょっと考えればわかることだ。マウンドのプレートからホームベースまで18.44メートル、その間となると9.22メートルだ。元野球部をナメるなよ、プレートからホームの距離なんざ基礎中の基礎知識だよ。うん、念のため調べたけど。
・選手2名
置き台の後ろに立ってもらおう。後ろといってもセカンドベースや外野のセンターの位置ではない。その選手が独特な距離感を持っている人間であれば、ほどよいところに呼び戻そう。
・お偉方のおじさん
選手2名の間にスーツを着たおじさんがいる。きっと偉い人だ。素性はわからないが、その日いちばん偉い人にご参加願おう。
・マスコットガール
選手やおじさんにとって一生に一度あるかどうかわからない、このセレモニーの現場を誘導する大事な役目だ。盛り土したり水をやったりのサポートに甲斐甲斐しく動いてもらおう。独特な距離感を持っている選手を呼び戻すのもこの人の役目だ。
◇ふさわしい表情
将来どの立場でセレモニーに列席するか心構えをしてほしい。
・選手
生命を宿すのだから神妙な面持ちでアオダモへの感謝を表しつつ、未来の野球界への希望をスポーツマンらしく明るくさわやかに振る舞おう。その段取りにいちいち「え? え?」とキョトン顔はしないこと。
・お偉方のおじさん
何かの発展に尽力をなされたダイナミックさをアオダモにも注ぎ込むような大らかさで。まあ、いつもどおりでお願いします。こういう舞台は慣れてるでしょうし。
・マスコットガール
きみが笑えば解決することばかりさ(星野源)。
◇式次第
結局、アオダモ植樹のセレモニーって何をするのか知っておくのが最重要ポイントである。いままでのことは忘れてもらってもよいが、恥を掻かないためにもこれだけはおさえておきたい。
・シャベルで盛り土する
・じょうろで水をやる
・一礼する
・マスコットガールの誘導とウグイス嬢のアナウンスに沿ってやる
以上が私からのアオダモ植樹のセレモニーのレクチャーだ。ここでわかっておいてよかったと思っていただければ幸いである。年に2度ぐらいしかないほんの数分間のことだが、みなさんの将来に大いに役立ててもらいたい。
アオダモ植樹のセレモニーが粛々と執り行われれば、次は始球式と移るのだが、それはまたべつの機会にでも……。
かくいう筆者も、プロ野球とは無縁の生活を送っている。テレヴィの前で観る専門であり、プロ野球側からの関わりは一切ナッシング。アオダモ植樹のセレモニーを球場で実際に目の当たりにした機会はないし、テレヴィのダイジェストで数秒お目にかかった程度なので、これからレクチャーすることは全部想像であることはお断りしたい。だが、やる。
◇アオダモ植樹のセレモニーとは
まずはじめに、そもそもアオダモ植樹のセレモニーってなあにと思っているボーイズ&ガールズも多数いらっしゃることだろう。そうあわてなさんな。たっぷり教えてあげますよ、想像だけど。
アオダモとはバットの原材料となる木のことである。アオダモのほかにもメープルやホワイトアッシュという種類の木もバットの原材料に使われる。馬鹿にしないでほしい、木製バットの種類は知識としてばっちし頭に入っている。では、なぜメープルやホワイトアッシュの植樹セレモニーはないのに、アオダモだけはあるのかだ。それはたぶん、ほかに比べて生育が遅いとか自然界で本数が少ないからなんじゃないかなー。
そのアオダモの苗木を植える会が、前述したとおりイヴェント性の高い試合の前に行われるのだ。
◇用意するもの
地球は何もない宇宙からビッグバンが起こって誕生したわけだが、アオダモ植樹のセレモニーは何もないところからは何もはじめられない。日本プロ野球機構の職員になった際、何を用意すればよいかいまから考えておきたい。
・アオダモの苗木が入った鉢
本日の主役。造園店か野球用品のメーカーに発注すれば届くような気がする。
・園芸用の土が入ったバケツ
苗木に土を盛る、当世風にいえば盛り土するのだから必須。これも造園店か野球用品のメーカーについでに発注すれば届くような気がする。
・シャベル
盛り土用。大地に植えるわけではないので、スコップではなくハンディーなシャベルでよい。このぐらいなら自分でホームセンターに走ってもよいのでは。
・水が入ったじょうろ
植物も人間と同じく水が必要。じょうろであれば球場のどこかにあるのでは。ちょっと考えればわかることだが、ラッキィ池田のじょうろは×。
・それらを置く台
書きそびれていたが、上記のものは3個ずつ用意しなくてはならない。両軍の選手各1名あるいは主催チームの選手2名と、後述するがお偉方のおじさんの計3名によって植樹されるのだ。それ相応の幅のある台を用意されたし。さっきからだけどこれも想像だが、ロッカーにある折りたたみテーブルに白い布でも覆えば見栄えするかと思う。選手ロッカーか審判ロッカーかは各自の判断で。
◇諸々の配置
目立ってかつ違和感なく想像の場所に配したい。
・置き台
どこに置いてもかまわないわけではない。ベンチ前やバックネット際など捕ったか捕ってないかわからないファールフライの位置に置いても誰も見えやしないのだ。かといって、いちばん注目が集まる場所はピッチャーマウンドではあるのだが、坂になっていて足場が不安定すぎる。では、バッターボックスではとなると、せっかく線を引いたのにまた線を引き直さねばならない。最適な場所はピッチャーマウンドとバッターボックスの間であることは、ちょっと考えればわかることだ。マウンドのプレートからホームベースまで18.44メートル、その間となると9.22メートルだ。元野球部をナメるなよ、プレートからホームの距離なんざ基礎中の基礎知識だよ。うん、念のため調べたけど。
・選手2名
置き台の後ろに立ってもらおう。後ろといってもセカンドベースや外野のセンターの位置ではない。その選手が独特な距離感を持っている人間であれば、ほどよいところに呼び戻そう。
・お偉方のおじさん
選手2名の間にスーツを着たおじさんがいる。きっと偉い人だ。素性はわからないが、その日いちばん偉い人にご参加願おう。
・マスコットガール
選手やおじさんにとって一生に一度あるかどうかわからない、このセレモニーの現場を誘導する大事な役目だ。盛り土したり水をやったりのサポートに甲斐甲斐しく動いてもらおう。独特な距離感を持っている選手を呼び戻すのもこの人の役目だ。
◇ふさわしい表情
将来どの立場でセレモニーに列席するか心構えをしてほしい。
・選手
生命を宿すのだから神妙な面持ちでアオダモへの感謝を表しつつ、未来の野球界への希望をスポーツマンらしく明るくさわやかに振る舞おう。その段取りにいちいち「え? え?」とキョトン顔はしないこと。
・お偉方のおじさん
何かの発展に尽力をなされたダイナミックさをアオダモにも注ぎ込むような大らかさで。まあ、いつもどおりでお願いします。こういう舞台は慣れてるでしょうし。
・マスコットガール
きみが笑えば解決することばかりさ(星野源)。
◇式次第
結局、アオダモ植樹のセレモニーって何をするのか知っておくのが最重要ポイントである。いままでのことは忘れてもらってもよいが、恥を掻かないためにもこれだけはおさえておきたい。
・シャベルで盛り土する
・じょうろで水をやる
・一礼する
・マスコットガールの誘導とウグイス嬢のアナウンスに沿ってやる
以上が私からのアオダモ植樹のセレモニーのレクチャーだ。ここでわかっておいてよかったと思っていただければ幸いである。年に2度ぐらいしかないほんの数分間のことだが、みなさんの将来に大いに役立ててもらいたい。
アオダモ植樹のセレモニーが粛々と執り行われれば、次は始球式と移るのだが、それはまたべつの機会にでも……。