先日のお休みは
ワタクシが幼少の頃からお世話になっている
吉備楽の総会(演奏発表会)でした。
吉備楽とは、雅楽に歌や舞を取り入れて 明治初期に創作された
岡山の郷土芸能です。
本部は岡山市にあり、年に一度 全国の支会が岡山に集まり、
今までのお稽古の成果を発表するのです。
先輩方(というより 先生方)のスバラシイ舞を拝見できる機会。
と同時に 自分の舞も見ていただくわけなので、緊張もヒトシオ。。
この日、ワタクシが舞ったのは
『秋の夕暮れ』という 家庭楽の曲です。
家庭楽というカテゴリーは、
父が横笛を吹き、母が筝(こと)を弾き、娘が舞う・・
というような、家庭内で 趣味・団欒として演奏される曲。
家庭楽だけでも、数え切れない曲数の多さ。
そして、いつも神社などで奉納する舞曲は
祭典楽というカテゴリー。
先日の、夏越の祓や冬至の祭典、慰霊祭 などなどで
演奏されます。
もう一つ、余興楽というカテゴリーの曲があり
歴史物といわれ、歴史的な物語を振付けたものです。
以前、春の後楽園祭で「作楽詣(さくらもうで)」という舞楽を
吉備楽十六日会として 披露。
この曲のお話は、
南北朝時代の備前の武将 児島高徳が 元弘の乱に後醍醐天皇に応じて挙兵し、
乱後、天皇が 隠岐へ流される途中に迎えようとし、失敗
美作院庄の行在所の桜の幹を削り 十文字の詩を書いて
天皇を励まし 忠誠を表した
という故事を振付けた 格調高い二人舞。
その他にも、「桜井の里」という曲があり
楠木正成が 摂津湊川で足利尊氏と戦って敗れ、自刃する戦いの前に
我が子正行を呼び寄せ 後事を託し 御母の元へ帰したという
親子の別れを振付けた 二人舞。
戦時中、ワタクシの祖母も 神社でこの曲を舞い
皆の心を慰めたそう。
などなど、歴史好きの方なら「ああ、その話を・・!」と
わかるのでしょう。
ワタクシは吉備楽でそのエピソードを習いました。
(昔 学校で習ったはずなのですが・・)
今回の総会のメイン演目は、その余興楽の中から
「箙(えびら)の梅」
演目としては とても珍しい曲で、20年振りの披露だそう。
これがまた長い曲で 演奏時間 約30分。
とても見事な舞曲で 見惚れているうち あっという間でした。
タイトルの「箙(えびら)」とは武具の一種で、
矢を入れて腰に携えるための物です。
この曲のお話です。
源平盛衰記の中に、平安時代末期 安徳天皇朝、
梶原源太景季が23歳の若武者で
源平合戦(一ノ谷の合戦)において 8人の敵に囲まれてしまったが
見事にそれを打ち破ったという武勇伝があります。
そのときの戦いの最中に、兜を打ち落とされたので
梅の枝を一本折って 箙に挿して 味方への目印として戦いました。
戦いの中にも 梅の花が舞い散り 香り漂う
風情のある物語を振り付けしている 二人舞です。
一人は、梶原源太影季と特定しているのですが、
あと一人の人物、実は謎なんだそうです。
共に参戦した、父 梶原平三影時 か、弟 平次影高・三郎影家 の
どちらかと言われています。
今回舞台となった 大元神社の武道館、
実は 現代美術家 高橋秀氏が献納した大作11点が 常陳されています。
武道館は同時に「高橋秀 アート常設館」でもあり、
現代美術に囲まれた武道館なのです。
ここは 柔道、空手道、剣道を通じて
青少年の健全育成に寄与しようと建てられた道場で、
今日では珍しい 木造の武道館。
日々 子供たちの元気な声が絶えない道場です。
秀先生のアート作品に囲まれて スポーツに勤しめるとは
健全な精神を鍛えるに とても良さそうな環境ですよね。
この作品は、どなたでも自由に観られるそうですので、
詳しくは 社務所へ一声かけてみてください。