花餅屋廼徒然書附帖

歌舞伎の世界に魅入られた男の、余りにも刺激的でグダグダ過ぎる日々…

此れで最後だ!『當る寅歳 吉例顔見世興行』夜の部…大詰っ!

2009年12月17日 01時27分59秒 | 徒然に歌舞伎噺なと…
やっぱり…1公演2エントリーになってしまうのは何故でしょうか?
もうチョッと…無駄を省いて…無理か?
此処まで来たら…今後の課題です。
もそっと…簡潔に、わかりやすく、なるべく早くにアップすることっ!
絶対に、無理そう…(涙)

では…夜の部の続きです…(汗)

『助六曲輪初花桜』
 三浦屋格子先の場
…此の演目を観るのは…二回目です。
前は、海老蔵襲名披露狂言で…此処南座の顔見世でした。
まぁ…其の時の外題は、『助六由縁江戸櫻』でしたが…まぁ、此れは市川宗家のみの外題で…松嶋屋の場合は、今回の外題のように、『助六曲輪初花桜』となります。

此方のバージョンを観るのは初めてですので…市川宗家バージョンとの違いがアチラ此方と…ありますね…たぶん。
市川宗家の型だと、口上より始まります…此の場のみ出演の役者さんが…裃姿にて口上を述べ上げて…其のまま…河東節の演奏となりますが…。
今回は斯う言ったモノは一切無しです。
短縮バージョンなのか、別の家の方がするからなのか…其の両方なのか???
まぁ…助六です。

幕が開くと…もう其処は三浦屋の店先です…。
で、揚巻と白玉が大勢の傾城を引き連れて…三浦屋の格子先にてお休息になっています。
花道での登場はカットされていますよね…まぁ、あれだけでも結構と時間が掛りますよね…。
うぅぅぅぅん。
流石は、玉三郎さんですよね…美しいと言うか、何でしょう?
此の妖艶さと言うか、お江戸の吉原随一の花魁…太夫たる揚巻。
其の気品たるや、並ぶ者無しって感じですよ…。
で、白玉には菊之助さんで…此方も勝るとも劣らず…斯う言ったお江戸の花魁は、やはり、お江戸の役者さんが遣られるのが…納得も…いやはや。
でも…三浦屋の傾城には吉弥さんに亀鶴さんに…亀鶴さんの女方を観るのは久し振りだよなぁ。
揚巻と対峙するのは…我當さんで…髭の意休…顔見世らしく上方役者でお附き合い。
まぁ、助六が…仁左衛門さんですからね…ご兄弟にての遣り合いは見ものです。

助六の登場…此れって結構と花道での出端の時間が長いんだよねぇ…。
今回の私の夜の部の席からだと…遠いんだよ(涙)
チト見え辛いモノもあって…如何せんしょうがないですが(泣)
仁左衛門さんの助六に、玉三郎さんの揚巻…此のコンビは、ホンマ、綺麗ですよね。
綺麗だけではないですよ…華がある。
台詞も美しいし…見ている観客も惚れ惚れする程に、嬉しく…楽しくなる歌舞伎です。
若いだけでは出て来ない艶もありぃの…今回の顔見世ならではの…演目ですよね。

くわんぺら門兵衛に左團次さん…あのギョロっとしたお目目で、惚けた風合いの意休の子分でが…斯う言った役どころには、左團次さんも面白く遣ってくれますよね♪
福山のかつぎには松緑さんで…海老蔵襲名の折も、此の役でしたね…。
斯う言ったイナセなチャキチャキの江戸っ子って感じの役に、松緑さんは最適ですよね。
あの半被の裾を絡げての啖呵を切る処も何とも言えず…あぁ、歌舞伎に対する真摯な姿勢の松緑さんの好演が光ります。
朝顔仙平の愛之助さん…花形役者が…って言うお方もおられるが、斯う言った三の線も出来る愛之助さんが頼もしいです。
私が初めて歌舞伎を観たときも…実際は違いますが…吉野山の速見藤太って、半道化のお役でしたし…。
大阪人らしく、面白おかしく…お芝居の邪魔をしない程度の遊び心で…助六の中でも必要な半道化役ですよね。

助六が一暴れして…一気に花道から悪党どもが引っ込んで行きます…。
さて…一人残った???
えっ何だい何だよ?
白酒売の新兵衛…よ~くよく見れば…兄ではないか?
そう…助六とは実は、曾我五郎だったのだ…あのなぁ。
で、此の白酒売は、兄の十郎…。
何やかんや言って…実は、助六もお決まりの『曾我物』だったのです。

お江戸では、其の昔…初春歌舞伎と言えば、必ず掛っていたのが『曾我物』…。
手を変え足を変え…違うけれども…色んなパターンの『曾我物』を出していたらしい…。
まぁ、其の内で今に伝わるのが…あれに此れに…?
で…此の白酒売に藤十郎さん、顔見世ならではの御馳走役ですよ♪
此の江戸和事と言うか…また上方と違った味わいの和事役を好演してくれますよ、藤十郎さん。
おもろい…人ですよなぁ♪

此処からは少し遊びが入った場面になります…。
一番面白いと言うか…何でしょうか?
股くぐり…ですか、おもろいね。
先ずは…若衆艶之丞の團蔵さん…此方はビジュアルにて…笑わせて頂きます。
斯う言った場合…やはり、流石は團蔵さんだなぁ…って思うべきでしょうか?
斯う言ったお笑い部門を必ず菊五郎劇団で担当していますものね…と言うべきか?
続いて遣って来たのが…ははは(笑)、もう、笑ってしまう(苦笑)
通人里暁…えっとぉ、翫雀さん…ただの通行人ですか?
でしょうね…でも、変なお役ですよ…。
此処はやはり、上方のお笑いのエッセンスをふんだんに(笑)
仁左衛門さんの股くぐりは…御贔屓の仁左衛門さんに似ているとか言って楽しく♪
続いての…藤十郎さんの股くぐりになると…(爆)
懐中より手鏡を取り出して、我が顔と見比べる始末(爆)
よく似とるなぁって…そりゃぁ、あんたっ!
殆ど独り芝居の状態で…喋り倒して引っ込んで行きました…(汗)
ずっとダンマリのままの助六と新兵衛…里暁が行ってしまうと、変な奴もおるもんだなぁって…。
はははは♪
流石は、おもろいぞっ!上方ばんざ~い!!

お笑い部門が終わって…コラッ!お芝居は本題に戻る。
兄弟の母、満江が現れて…でも、如何して武者姿なのか?
まぁ…お話、お話。
喧嘩ばっかししてぇっ!って感じで、いつの時代も母は、母です。
暴れないようにと…紙衣の衣装に着替えさせられる助六。
まぁ…此れじゃぁ、暴れたら、破れてしまいますよねぇ。
で…新兵衛は母に連れられて…帰って行きました(汗)
…………………。
さて、此処からが三浦屋格子先の場の大詰になって行きまうよ。
意休と助六…魅せてくれますね~流石は御両人。
揚巻の艶っぽさも相まって…ホンマ此の狂言は何でしょうか?
長い長い、一幕ですが、退屈はさせません。

上方勢で主要配役を占めた…あぁ、揚巻は玉三郎さんか…(汗)
でも、こう言った配役での『助六』も絶品ですよね。
存分に楽しませて頂きました。


 花川戸助六:仁左衛門丈
 三浦屋揚巻:玉三郎丈
 くわんぺら門兵衛:左團次丈
 通人里暁:翫雀丈
 福山のかつぎ:松緑丈
 三浦屋白玉:菊之助丈
 朝顔仙平:愛之助丈
 三浦屋傾城八重衣:吉弥丈
 同 浮橋:宗之助丈
 同 愛染:亀鶴丈
 遣手おたつ:竹三郎丈
 若衆艶之丞:團蔵丈
 母満江:東蔵丈
            
 髭の意休:我當丈
          
 白酒売新兵衛:藤十郎丈

はい、休憩です…最後の幕間です。
やはり、時間も時間ですよね…お帰りになられる方も、ちらほらと…。
最後は舞踊で締めますので…もそっと…ねぇ(汗)

………………………………………。

『石 橋』
はい、此れで今年の歌舞伎鑑賞も…大喜利です。
ホンマに…最後ですよねぇ…上方の役者さんによる舞踊にて締め括るのは、嬉しいですよね。
『石橋物』ですが…初めて観る演目です。
同じ『石橋物』でも、『連獅子』とか『鏡獅子』なら…幾度か観ましたが…『石橋物』の大本(?)の『石橋』を観るのは…ホンマに初めてですよ…。

まぁ…翫雀さんと愛之助さんの二人にて、獅子の精とは…うぅぅぅん。
9月の公文協の『松竹大歌舞伎・近松座公演』にて、此のお二人の『連獅子』を観ましたよ…。
違う演目になるが…うぅぅぅん。
あちらは、『松羽目物』で…此方は?
何でしょうか?

まぁ…短い時間の舞踊と言うか…まぁ、舞踊か?
立ち廻りもあって…此の点は『連獅子』とは違って、面白い。
上方若衆のトンボを観るのが楽しみ…と、マニアックさも全開です(汗)
今回のバージョンは…二人の獅子の精が舞うと言った単純な構成です…大喜利になるので、余り面倒な舞踊にはならないでしょうし…。
グルグル廻して…よいお年を~っ!って感じで締めましょう!
はい、佳き年…寅歳を迎えられまするるよう、願いまする…。


上方の家の…成駒屋と松嶋屋の次代を担う花形による一年を締め括り、来年へと繋ぐ舞踊…楽しませて頂きました。

また来年です♪


 獅子の精:翫雀丈
 獅子の精:愛之助丈

………………………………………・……………。

いやはや…毎度のことながらも(汗)、長くなってしまいました。
『序』を入れて…5エントリーにも亘ってのウダ話。
もそっと…気を附けましょうよ。
来年からは…ははは(苦笑)

で…今回の顔見世…勿論のこと冠されているように“東西合同大歌舞伎”ですが…如何せん、お江戸系の役者さんの方が多くなります。
此れは致し方無いですうよね…。
じゃぁ…少ないでも、上方勢はオールキャストですか?
と思えば…うぅぅぅん。
扇雀さんと孝太郎さんがいませんよねぇ…。

まぁ…上方系と言っても…生まれも育ちも東京の方なれば、余り自覚も無いようですし…寂しいですが。
もっと…上方と言うか…関西での歌舞伎興行を担う役者さんには…もっと頑張ってもらいたいです。
其れと…関西に在住の役者さんにもっと、活躍の場を…願うばかりです。

来年は…歌舞伎座が取り壊しになる…悲しいですが、反対ですが…。
其の代わりと言うか、代替として南座や大阪松竹座での歌舞伎公演が増えるそうです。
嬉しいですが…一過性のモノにならないよう…また、お江戸の役者さんが中心の興行ばっかりでなく、上方系の役者が座頭を勤める興行を増やしてほしいですよね。

そして…関西の埋もれた歌舞伎ファンの発掘に…期待致します。


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