自分の寿命がわかるとしたら、みなさんは知りたいだろうか。もし本当にわかったら、期待より長くても短くてもあなたの考え方や生き方まで変えてしまうかもしれない。そんな、にわかには信じがたいことが現実になろうとしている。科学の進歩がパンドラの箱を開けようとしているのだ。

イギリスでは年内にも血液検査による寿命の推定が可能になるという。費用は435ポンド(約5万7000円)。

ヒトは染色体の末端部に「テロメア」と呼ばれる構造を持っている。これは老化速度を示しており、この末端構造が標準よりも短い人は長い人よりも寿命が短いと考えられている。そのためテロメアの長さを見れば、ある程度寿命を読み取ることができるのだという。ただし現段階の技術では、「あと何年と何カ月の寿命」というように具体的な数字まで出すことはできないそうだ。

5~10年以内にはこのテロメアによる検査が広く普及すると期待する研究者もいるようだが、一方で倫理的な観点から、この方法の普及に警告を発する専門家もいる。

その主な理由として、検査により短いテロメアを持つとわかった人が生命保険などの加入を拒絶される可能性や、短命かもしれないと落ち込む人の弱みにつけこんでニセモノの薬を売りつける業者などの出現があげられているようだ。そして、そもそも寿命がわかってしまうような検査を受けて、人はそれに耐えられるのかという根本的な問題も指摘されている。

この寿命判定検査が今後どのように発展し、広まっていくかはまだまだ未知数であり問題も山積みのようだが、もしも検査を受けるチャンスがあったら、あなたは自分の寿命を知る勇気がありますか?