武本比登志の端布画布(はぎれキャンヴァス)

ポルトガルに住んで感じた事などを文章にしています。

203. ガスの定期検査 Inspeção periódica de gás

2022-12-01 | 独言(ひとりごと)

 『11月21日午前9時からガスの点検を行います。』というメールが11月16日に来た。

武本比登志油彩作品F30

 その1か月前の『10月21日19時からマンションの管理組合会合を行います。』というお知らせメールがあり出席した。そのメールと同様の内容が玄関ホールにも張り出されていた。てっきり8軒の全てが出席するものだろうと思って19時ちょうどに玄関ホールに降りて行った。

 1年ほど前から管理組合を任されているガブリエラさんだけが居られ議題となる書類の点検をしておられた。そして挨拶をした。ガブリエラさんはマリアさん宅とマダレナさん宅のベルを押して、出席を促した。マリアさんなどは部屋着のままで顔を覗かせ「ああ、忘れていたわ」などと呑気なことを言いながら出てきた。マダレナさんもすぐに降りてこられた。そしてガブリエラさんは「きょうは3軒だけですよ」と言い、「議題はガスのことでこのマンションでガスを使っているのは3軒だけで他は電気に換えているので関係ありません。」「ガスの定期点検が実施されます。日時はおってお知らせします。」と言う内容であったが、詳しい説明があって30分ほどで終わった。

 そして11月16日の『11月21日午前9時からガスの点検を行います。』というメールである。確か10年ほど前にも一度ガスの定期点検というのがあって、その時はパイプの一部を交換してもらった記憶がある。だから10年に一度くらいの割合でそういった検査があるのだろう。と言う具合に思っていた。

 ポルトガルでは時々『ガス爆発事故』のニュースがある。ニュース映像ではマンションの窓枠が吹き飛びその恐ろしさが想像できる。

 セトゥーバルでもあった。アレンテージョに向かうセトゥーバルの出口辺りの10階建て程の新しいマンションの上階で国道からクルマを走らせながらでもその凄まじさが見られた。

 だから定期的に専門家の検査は有り難いものだ。でもガス器具の周りと湯沸かし器の周りなどくらいは綺麗に掃除をしておかなくてはなどと思っていた。 

 定期検査がある21日月曜日前日の日曜日になってようやく重い腰を上げ掃除に取り掛かった。普段はあまり掃除をしないものだから、と言うよりいい加減な掃除しかしないものだからやり始めるとなかなか大変である。一部が綺麗になるとそれまでは気にならなかったところが目立ってくる。きりがないほど次から次である。そして換気扇の汚れが目立ってしまった。

 換気扇はステンレス製だからすぐに綺麗にはなるがフィルターを取り替えなければならない。納戸を探したが買い置きは切れ端しかない。 

 掃除もひと段落だし気分転換に買い物に出ることにした。でも日曜日である。『アレグレ』などの駐車場はなかなか空いていないかも知れない。『アトランティックシティ』には2軒の家電量販店があるのでそちらに行くことにした。

 その前に『オウシャン』のガソリンスタンドでガソリンを満タンにしておいても良いかなと思った。

 出かけようとしたところクルマの右前タイヤの空気がかなり減っている。これは『オウシャンGS』までもたないかも知れないと思うほどにまで減っていた。直ぐ近くの『レプソールGS』に寄ろうとしたが日曜日で空気入れは使えなくなっていた。仕方がないので『オウシャンGS』まで恐る恐る走った。

 あまり日曜日に出かけることはないのだが何処も人が多い。『オウシャンGS』ではニュースの通りガソリン価格は少し下がっていた。 

 下がっていたと言ってもこのところの高値である。ガソリンが値上がりしてからは何処へも行かれない。近くの買い物にだけクルマを使う。それでも1か月に1度位は満タンにしなければならない。 

 ユーターンして『アトランティックシティ』の駐車場にクルマを停め、家電量販店に行った。どこもクリスマス商戦でイルミネーションなども華々しく賑わっていて、子供連れも多い。

 換気扇売り場にフィルターはなかった。店員に聞いてみても判らなかった。2軒の量販店とも同様で換気扇本体は売られているのだがその交換フィルターまでは置いていない。今時の換気扇はフィルター方式ではないのかもしれない。掃除機もフィルター方式はなくなってどんどん新しい器具が出てきている。 

 仕方なくショッピングモール『アレグレ』に行った。家電売り場で順番札をとり、聞いてみるとそこにはちゃんと売られていた。5,69ユーロである。普段『アレグレ』に行くといつもの『コンチネンテ』や『リドゥル』とは違う物が売られているのでいろいろと見てみるのだが、あまりに人が多かったので家電売り場だけで早々に引き揚げることにした。

 オミクロンもまだまだ予断は許さないし。 

 帰宅して早速換気扇のフィルターを取り替えた。 これでまあまあ、ガス検査の人が来られても大丈夫だろうと思った。

 このマンションでガスを使っているのは3軒だけと言うのには驚いた。他は早々に電磁調理器に切り替えたのだろうか。

 我が家ではカレーの仕込みにガスを使う。米を炊くのにもガスだ。毎晩風呂にも入るがそれもガスだ。コーヒーを点てるのもガスだし、揚げ物なども良くするがやはりガスだ。

 ポルトガルのガスは数年前からはロシアからの天然ガスに切り替えた。と言っていたからこのウクライナ戦争でロシアからは止まっているのだろう。

 先日ヨーロッパ議会はロシアをテロ国家と認定した。

 今カタールではワールドカップサッカーが行われている。カタールでも天然ガスは豊富に採れるそうであるが、ポルトガルまで来るのだろうか?

 そのカタールで人道問題が明るみになっている。サッカー場建設とその周辺整備に40度を超える暑さと過酷な労働で6500人もの人命が失われ、賃金未払も後を絶たないと言う。

 それでも予定通り11月21日にワールドカップサッカーは開幕した。我々も主な試合は欠かさずに観戦している。勿論、選手たちには関係のない話だが、FIFAにしろ、オリンピック委員会にしろ、運営側の経済優先には問題が多い。

 ポルトガルは大航海時代或いはそれ以前のモーロの時代更にローマ時代から風力や波力利用の伝統があり、現代も風力や太陽光、波力の資源化を推し進めている。

 その電力同様、ガスも化石燃料にばかり頼るのではなく、大量に消費する豚や鶏から出る糞尿を利用しメタンガスなどの実用化が進めば良いのにと思う。

 化石燃料は地球温暖化ばかりでなく経済的にも問題が多い。

 そしてサッカーワールドカップカタール大会開幕と同じ21日月曜日のガス検査当日。

 朝食も済ませ、ガス周りのフライパン類や包丁フォルダなどもテーブルに移動させ、万全の状態で9時を待った。

 前日に見た玄関ホールの張り紙には『検査は9:00から13:00』と書いてあった。随分と幅があるが、我が家が一番上階だから多分最初に検査だろう。と思っていた。

 9時に窓から見るとガス会社『ガスカン』のワゴン車が停まっていた。これは直ぐに来るに違いない。と待ち構えていた。階下では話声などが聞こえる。階下のマリアさん宅から始めたのだろうか?それなら最後になるだろうが、3軒だけなのでそれ程時間はかからないだろう、とガスで点てたコーヒーなどを飲みながら待っていた。

 それでもあまりにも遅いので窓の外を見てみると『ガスカン』のクルマは既になかった。我が家の検査はしないで帰ってしまったのだ。或いは何か忘れ物でもして一旦会社に帰ったのだろうか?それなら13:00までには再び来るのだろう。などと考えていた。

 果たして13:00まで待っても我が家に検査は来なかった。次の日にでも来るのなら再びメールか電話でもしてから来るのだろうと思っていたが次の日もその次の日も来る様子はなかった。

 我が家では1年ほど前にガス湯沸かし器を新しいのに買い替えた。その時に検査は行われていて、それで良いと思って今回の検査は無かったのだろうか。などとも考えた。でもそれならそうとー言いってくれれば良かったのに。などとも考えていた。

 その顛末を今月のエッセイにしようと書き始めて、メールを精査してみると、何と今回の検査は「個別検査ではなく全体の検査で9:00から13:00の間にガスの供給が止まることがありますのでご了承ください。」というメールで各戸には立ち寄らないということになっていた。

 何かがないと掃除もろくにしないのにも困ったものだが、早とちりのお陰で台所が少しは綺麗になったかな? VIT

 

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コメント
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