HageOyaji通信

進路指導ガイダンスの一環として、高校生が≪生き切る力≫を持った自立型人間へのアドバイス、サジェッション・・・になれば

第653話≪「非正規社員」とは?(雇用主で区分される)≫

2009年01月23日 | 時事用語
 高校生のみなさん、(^◇^)ノ お~ぃ~ゲンキか!

 みなさん、日本での景気後退が深刻化するなかで、雇用問題に関し、二つの検討すべき事項が起きていますね。

 一つは、派遣社員の削減問題、もう一つは、内定取り消し問題ですね。これらの問題に関し、企業の姿勢が問われていますが、企業の倫理観欠如が問われるのが「内定取り消し」問題のほうでしょうね。

 HageOyaji通信で、第651話≪平成20年11月末日現在の高校新卒者の就職内定状況(厚生労働省1/16公表)≫も取り上げています。

 さて、今回は、「非正規社員」とは?を取り上げてみましょう。

 企業には「正社員」と「非正規社員」が働いています。

 その「非正規社員」の区分を分けると、雇用主が誰かで分かれます。
  
  ◆働く企業が雇用主
      ・パート&アルバイト
      ・契約社員(期間従業員)

  ◆派遣会社や請負会社が雇用主
      ・派遣社員(登録型派遣社員&常用型派遣社員)
      ・請負社員

  )「派遣社員」と言っても2種類あり、
      ・「常用型派遣社員」:労働者が、派遣元企業と期限の定めのない雇用契約を結ぶ。
      ・「登録型派遣社員」:事前に登録しておき、派遣先からの仕事が決まった時だけ派遣元と雇用契約を結ぶ。


 ここで問題になっているのは派遣会社や請負会社が雇用主で、それを整理しますと、
    ・派遣社員での問題点
      製造業派遣や日雇い派遣の禁止の是非
    ・請負社員の問題点
      請負業務の発注企業が直接指揮する「偽装請負」の解消
 です。

 これらの問題点が政治論争(与党&野党)になっていることです。例えば、ある野党は、製造業派遣を全面禁止、又ある野党は、「登録型派遣社員」の製造業派遣を禁止し、「常用型派遣社員」だけを認めるとか・・・・

 「非正規社員」は、労働基準法が適用されてはいますが、正規従業員に比べて1時間当たりの賃金が安く、福利厚生などの対象にもならないことが多いのです。更に、雇用主は「正社員」と比較し、雇用契約を解除しやすいため、最近は自動車業界や電機業界が、日本での景気後退が深刻化するなかで経営戦略の「調整弁」として「非正規社員」の削減を進めているのが問題化しています。

 厚生労働省によれば、3月までの半年で8万5000人の「非正規社員」が失業します。


 更に、企業が「非正規社員切り」を加速するもう一つの理由があります。

 それは、「2009年問題」です。

 「2009年問題」とは、製造業において、派遣社員を企業が正規採用しなければならなくなる問題であります。
 2004年の労働者派遣法の改正によって、これまで認められてこなかった製造業への労働者の派遣が認められるようになりました。派遣期間について、当初は1年間という制限が設けられていましたが、2007年の労働者派遣法改正によりそれが3年間へと延長になりました。

 その後、2006年に発覚した「偽装請負」の問題が起こり、製造業界側は何かと規制が厳しい「請負」から「派遣」へ労働力をシフトをしました。そのため、2006年度の製造業への「派遣社員」は前年度の3倍以上にも膨れ上がり、その期間に採用した「派遣社員」の3年間の契約期間が一斉に切れることによって生じる問題が、製造業界における2009年問題であります。

 即ち、各企業が悩んでいました「2009年問題」が、日本での景気後退が深刻化したため、急激な需要の減少による生産調整で、運よく大胆な「非正規社員切り」を重ねてしまった企業が続出しているとの話しが出ています。

 「非正規社員」をまるで「使い捨て」のように扱う日本企業は、ブランドイメージや就職人気が落ちるだけではなく、ブラジルなど海外から来日している「非正規社員」も多いだけに外交問題にも発展するでしょうね。

 日本の真の21世紀に向け、「非正規社員」の処遇改善が大きなテーマとして取り上げなければなりません。

  最後に、事実関係の整理に重宝する文献があります。
 非正規雇用拡大の影響は三つの側面から見ることができると指摘している、五十嵐 吉郎氏の≪「非正規雇用の現状と課題」~若者の問題を中心として~≫をクリックしてお読みください。

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