衣裏珠の八葉蓮華 ≪創価学会 仏壇≫

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恩師、妻「江戸時代語辞典」約束を果たすことができた・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-31 | 産経抄(コラム)

 国文学者の尾形仂(つとむ)さんは戦後まもなく、昼食の握り飯を包んでいた新聞で、恩師の訃報(ふほう)を知った。恩師とは、近世文学研究の大家、穎原退蔵(えばら・たいぞう)博士だ。戦前に東京文理科大学の学生だったころ、俳文学の指導を受けていた。尾形さんは卒業後海軍へ入り、当時は土木の仕事に就いていた。  

 遺族にお悔やみの手紙を送ったことが縁となり、尾形さんは穎原氏の次女、雅子さんと結婚、学究生活に戻った。穎原氏にはやり残した大きな仕事があった。江戸時代の言葉を網羅した辞典の完成だ。昭和10年ごろから、用例を集めてカード作りを始め、その数は10万枚に達していた。  

 〈江戸語辞典執筆半ばに父逝きて用例カード空しく遺りぬ〉。雅子さんは自らの歌集『夜の泉』のなかで、父の無念をうたっている。やがて夫婦は静かに年輪を重ねていった。〈団欒のひとつとなして夜な夜なの殺人ドラマ夫に付き合ふ〉。尾形さんは、与謝蕪村の自筆句帳を復元するなど、近世俳諧研究の第一人者となった。  

 だが、尾形さんの脳裏から、義父の辞典のことが離れることはなかったようだ。古希(70歳)を迎えたのを機に、教え子たちに呼びかけ、完成をめざした。〈用例の乏しき中より語意を汲むと腐心の夫に父が重なる〉。  

 そんな夫を見守ってきた雅子さんは、辞典の完成を見ることなく、平成18年に79歳で亡くなった。『江戸時代語辞典』(角川学芸出版)が、「構想70年」と銘打たれて刊行されたのは、昨年11月のことだ。  

 「妻雅子に対し、やっと約束を果たすことができた」。辞典の前書きの欄外に、小さな文字で記した尾形さんは26日、雅子さんの待つ浄土に旅立った。89歳だった。天寿を全うするとは、このことをいうのだろう。 

産経抄 産経新聞 3/30
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「一山」公共事業を牛耳ることで多額の献金を得る政治体質をいつまで・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-30 | 産経抄(コラム)

 明治時代に「白河以北一山(ひとやま)百文」という言葉があった。栃木県と福島県の境に近い白河の関より北、つまり東北地方の土地は一山が百文の値打ちしかない。戊辰戦争でこの地方に攻め込んだ薩長などの政府軍が、さげすんでそう言ったのだという。  

 西日本や関東に比べ開発が遅れていることを指摘したのだろう。だが「失言」には間違いなく、東北の人たちの激しい反発を招いた。岩手・南部藩出身の原敬はあえて「一山」と号した。「屈辱」をバネに政党政治の確立をはかり、首相の座に上りつめたのである。  

 それから100年以上たち、東北地方には新幹線が走り、仙台などの大都市がいくつも出現している。もはや誰にも「一山百文」などと言わせない。それでもまだまだ、開発志向は強いのだろうか。ゼネコンにとって東北地方は魅力たっぷりな公共事業の宝庫らしい。  

 西松建設もこの10年間、東北全体で437億円もの事業を受注したという。このうち岩手、秋田両県でその半分以上の約230億円を占めていた。岩手は言うまでもなく小沢一郎民主党代表の地元であり、秋田もその影響力が強く「小沢王国」と言われているそうだ。  

 しかも検察当局の調べでは、ゼネコン各社の「受注調整」に小沢氏事務所がかかわっていた疑いもあるという。小沢氏やその側近たちが岩手や秋田に「王国」を築き、公共事業を牛耳ることで多額の献金を得る。そんな政治体質が浮かんでくるようである。  

 民主党内にはその小沢氏に「このままでは総選挙で負ける」と代表辞任を促す声も起き始めている。だが問題は民主党が選挙に勝てるかどうかではない。「王国」のような旧態依然たる政治をいつまで、のさばらせておくのかということなのだ。

産経抄 産経新聞 3/29
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日本列島に落ちてくる恐れ、本当に撃ち落とせるの・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-29 | 産経抄(コラム)

 早坂隆氏の『続・世界の日本人ジョーク集』には、日本のハイテクにまつわるジョークがたくさん出てくる。あまりの精度の高さが称賛されたり、からかわれたりするのだ。その対比で他国のハイテクの不正確ぶりや「おおらかさ」が揶揄(やゆ)される。  

 例えば「日本の地獄と中国の地獄」という話がある。日本の地獄も中国の地獄も、同じようなハイテク機械で人々を苦しめる。ところが中国の方だけに長い行列ができている。オチは読んでのお楽しみだが、要するに地獄でも、日本の機械は正確だということである。  

 この中に北朝鮮のハイテクは出てこない。ジョークにもならないレベルということなのだろうか。しかし今、気になるのは来週末にも打ち上げるらしい弾道ミサイルの精度だ。国際機関への通報通りの方向、距離で発射できる技術があるのか、ということである。  

 通報通りだと、ロケットの1段目は東北沖の日本海、2段目は太平洋のはるか沖に落下するという。だが、3年前のミサイル連続発射のさい「テポドン2」の打ち上げには失敗している。ちょっとした狂いで、日本列島に落ちてくる恐れは捨てきれないのだ。  

 だから政府は「破壊措置命令」を発令し、そういう場合は迎撃しようとしている。ところが、国内には「本当に撃ち落とせるのか」という声が起きている。社民党の福島瑞穂党首など国会で「当たらない場合は国益を侵害する」と、早くも責任を追及しようという構えだ。  

 ハイテクに100%の正確さを求める国民性と解釈したいところだが、今回はそうはいかない。「当たらないかもしれない」と躊躇(ちゅうちょ)するのは被害が出るのを待つだけだからだ。そんなときも、他に方法はあると福島さんらはお考えだろうか。

産経抄 産経新聞 3/28
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生活空間から、暗がりがどんどん消えようとしている・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-28 | 産経抄(コラム)

 日本の夜は明るすぎる、という声をよく聞く。すでに70年以上前に谷崎潤一郎が、『陰翳礼讃』のなかで、パリから帰ってきた知人に聞いた話として紹介している。欧州の都市に比べると、東京や大阪の夜は格段に明るい。  

 おそらく、世界中で電灯を贅沢(ぜいたく)に使っている国は、アメリカと日本であろう、と。かつては、暗くてじめじめしたイメージの強かった公共トイレでさえ最近では、明るく清潔になった、と評判がいい。あまり快適すぎて、携帯ゲームや昼寝で長居をする不心得者まで現れるほどだ。  

 日本人の生活空間から、暗がりがどんどん消えようとしている。一方で新聞を開けば、あいかわらず「闇」の字のつく言葉が目立つ。動機のわからない凶悪犯罪が起きれば、犯人の「心の闇」に関心が集まる。先週、闇サイトで知り合い帰宅途中の女性から金を奪って殺害した男たちに、死刑や無期懲役の判決が出た。  

 今、農林水産省を揺るがしているのが、「ヤミ専従」問題だ。通常の仕事をしているように見せかけて、実は組合活動に専従している悪質な行為を指す。人事院に届いた告発のメールによって調査が始まり、職員142人の疑惑が浮かび上がった。  

 その調査結果を隠蔽(いんぺい)していた秘書課長が、きのう更迭された。もちろん、一件落着というわけにはいかない。本省幹部が、職員組合を腫れ物に触るように扱う理由は何だったのか。農水省の闇の深さは、底が知れない。  

 谷崎は、『陰翳礼讃』で、日本住宅の薄暗さや真っ暗闇のなかの一点の灯明に、西洋文化にはない美を見いだした。それなのに家を建てるとき、建築家に「海からの光が入る明るい部屋」との注文を出した。詩人の飯島耕一さんのエッセーで知ったエピソードだ。

産経抄 産経新聞 3/27
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「構想力雲のごとき」いつのまにか「適法」となる法律の穴・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-27 | 産経抄(コラム)

 その男が泣き叫ぶ様子を新聞は、くわしく伝えていた。男を英雄視してきた不良少年たちは、記事を読んで失望し、神父の言葉に従うようになる。戦前の米映画『汚れた顔の天使』のラストシーンだ。  

 ジェームス・ギャグニー演じる主人公のギャングは、多くの警官を殺したあげく、死刑を宣告される。刑執行直前に訪ねてきた幼なじみの神父から、臆病(おくびょう)者のふりをしてくれ、と懇願された。ギャングは、冒頭に述べた通りの最期を遂げて、少年たちを更生に導く“天使”となる。  

 おとといの夜の記者会見で、民主党の小沢一郎代表が浮かべた涙について、考え続けている。小沢氏は「政治とカネ」にまつわる国民の不信を払拭(ふっしょく)するために、“天使”となる覚悟を一度は固めたのではないか。涙は、それが果たせなかった忸怩(じくじ)たる思いの表れ、と。  

 東京地検特捜部が小沢氏の秘書や西松建設前社長らに行った取り調べのなかで、ゼネコンのトップが、氏の威光にひれ伏して、多額の献金を繰り返してきた実態が明らかになった。違法な献金が、いつのまにか「適法」となる法律の穴も見つかった。  

 小沢氏自身が、罪に問われているわけではないけれど、あえて「汚れ役」となって身を引けば、国民の多くは、民主党の自浄力を評価するだろう。麻生政権はますます窮地に追い込まれる。悲願である「政権交代」が、ますます近づくはずだった。  

 なにしろ、文芸評論家の江藤淳をして「構想力雲のごとき」と言わしめた政治家だ。ただ、本人は涙の理由を「多くの国民の皆さんから励ましの言葉をもらって胸が詰まった」と述べた。額面通り受け取って、世論の同情に訴える目的しかなかったとするなら、とんだ買いかぶりだったことになる。 

産経抄 産経新聞 3/26
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不屈の精神で闘う「イチロー」谷しかなかったけど、最後で山に登れた・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-26 | 産経抄(コラム)

 五輪柔道で3連覇をはたした野村忠宏氏は、平成12(2000)年のシドニーの後、語学留学で米国に渡った。2連覇の虚脱感から柔道を離れたかったようだ。しかしその米国で、イチロー選手の不屈の姿勢を見て、もう一度青畳に立つ気になったという。  

 求道者のように野球に打ち込む大リーガー・イチロー選手の姿は、日本人に勇気を与えてきた。だが今度のWBCだけは、心配する視線ばかりを向けられたようだ。特に序盤戦ではさっぱり打てない。「さすがのイチローも限界か」といった声さえ聞かれた。  

 ところがその不屈の精神はどっこい、生きていた。昨日の決勝戦の延長十回、勝ち越しの2点タイムリーである。仕事をサボって、いや少々手を抜いてテレビにくぎ付けとなり「拙攻」にイライラさせられた日本人の胸のつかえが一度におりた。そんな一打だった。  

 「谷しかなかったけど、最後で山に登れた」。優勝インタビューでイチロー選手はそう答えていた。「世界のイチロー」の看板を背負い、2連覇のリーダー役を担わされた者の苦しさは、並大抵ではなかったのだろう。聞いている方も、思わず目頭が熱くなった。  

 今大会、周囲は強豪ばかりだった。大リーガーのスターをそろえた米国、ベネズエラ、それにキューバなどに比べ日本や韓国は小粒に見えた。それでも、この両チームが優勝と準優勝とを分け合った。イチロー選手に代表される屈しない精神のためと思うしかない。  

 昨日の主役となったもうひとりのイチロー氏、小沢一郎民主党代表も打たれ強い政治歴で知られる。第1秘書の起訴でも代表を辞任せず、不屈の精神で闘うつもりのようだ。だがこちらは、自らの責任をもっと明確にしてからにしてほしい。

産経抄 産経新聞 3/25
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歴史的、文化的に貴重な建物の焼失が、相次いでいる・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-25 | 産経抄(コラム)

 昭和25年7月2日未明、京都の金閣寺から火の手が上がり、内部の古美術品とともに全焼した。押っ取り刀で現場に駆けつけた新聞記者のなかの一番乗りは、小紙京都支局の福田定一記者、のちの司馬遼太郎だった。  

 まもなく、学僧の放火だったことがわかり、事件の衝撃はさらに強まった。三島由紀夫が『金閣寺』、水上勉が『五番町夕霧楼』と、それぞれ事件をモデルに小説を書いた。水上にはさらに、犯人の気持ちを探ろうとして生い立ちをたどり、関係者にくわしく取材したノンフィクションに近い作品『金閣炎上』がある。  

 日曜日の早朝も、記者たちは眠い目をこすりながら、神奈川県大磯町にある吉田茂元首相の旧邸に向かったことだろう。明治17年に建てられた木造2階建て総ひのき造り数寄屋風建物の母屋は、貴重な調度品とともに焼失した。歴代首相が助言を求めて通い、元首相の孫に当たる麻生太郎首相も幼少期にしばしば訪れた、まさに「戦後史の重要舞台」だった。  

 このところ、歴史的、文化的に貴重な建物の焼失が、相次いでいることも気にかかる。不審火として、警察が捜査している事件もある。旧吉田邸の火災の原因は、漏電の可能性があるという。それでもひょっとして、の思いが捨てられないのは、ミステリーの読み過ぎだろうか。  

 『金閣炎上』によれば、福田記者は事件の翌日、住職への単独会見にも成功している。といっても、住職は謝罪の言葉を繰り返すばかり。それより福田記者の記憶に強く残っていたのは、壁にかかっていた黒板の走り書きだった。  

 「また焼いたるぞ」と読めた。水上は興味を引かれて調べてみるが、書いたのは犯人か、それともほかの学僧なのか、謎は残ったままだった。

産経抄 産経新聞 3/24
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満開の桜をながめながら「吉川英治と花」だれにも望めることだから・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-24 | 産経抄(コラム)

 作家の吉川英治は、昭和19年3月から28年8月まで、家族とともに梅の名所として知られる東京都青梅市柚木(ゆぎ)町(旧吉野村)で、暮らしていた。吉川が「草思堂」と名付けた家屋敷は公開され、邸内には記念館もある。現在は、春の企画展「吉川英治と花」が開催中だ。  

 吉川が描いた梅の木の絵や、季節の花々を詠んだ俳句などに交じって、画家の杉本健吉による挿絵が展示されている。吉川がこの地で執筆した代表作のひとつ『新・平家物語』の最後の場面だ。奈良・吉野山の満開の桜をながめながら弁当を食べる老夫婦が描かれている。  

 父と子、兄と弟が相争った源平の盛衰を見続けてきた医師の麻鳥が、妻に語りかける。「何が人間の、幸福かといえば、つきつめたところ、まあこの辺が、人間のたどりつける、いちばんの幸福だろうよ。これなら人もゆるすし、神のとがめもあるわけはない。そして、だれにも望めることだから」。  

 桜(ソメイヨシノ)開花の知らせが、届き始めた。今週末から、各地で花見の宴が繰り広げられる。後かたづけを忘れず、周りに迷惑をかけない程度に、小欄も大いにメートルを上げることだろう。一方で、麻鳥夫婦のような静かな花見にもあこがれる。  

 記念館の学芸員によると、戦後まもなく吉川が夫人を伴って、吉野山で花見をしたとき、目にした老夫婦がモデルとなった。吉川はその姿に、戦火をくぐり抜けた当時の日本人を重ね合わせた。同時に、敗戦のショックで一時は筆を折った吉川を支え続けた、夫人への深い思いも込められている。  

 吉川の徹夜に付き合い、『新・平家』のすべての原稿に目を通してきた夫人は、ラストシーンの原稿を受け取ったとき、その場で泣き崩れたという。

産経抄 産経新聞 3/23
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「激ヤセ、健在」テポドン2号「衛星」打ち上げ予告・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-23 | 産経抄(コラム)

 全員一致による決定は無効とする。というのはイザヤ・ベンダサンの『日本人とユダヤ人』で紹介された古代ユダヤの国会兼最高裁のような機関での決まりである。全員一致は全員が誤りを犯している可能性があり、それを検証できないからだそうだ。  

 今月初めに行われた北朝鮮の最高人民会議の代議員選挙で、金正日総書記は100%の賛成投票を得たそうだ。古代ユダヤなら無効になるところだが、むろん「当選」だ。その代わり、いくら選挙を行っても独裁国家に変わりないことを見せつけた100%の賛成である。  

 その金総書記の写真を見て、少々驚いた。昨日の朝刊に載ったが、朝鮮中央通信が配信したもので大学の水泳施設を視察する姿だという。着ている服がダブダブで、明らかに「激ヤセ」と見える。とても100%支持されるとは思えないような弱々しさだった。  

 日本などでトップのこんな写真が報じられれば、健康状態に対するさまざまな憶測を呼ぶことは間違いない。政治は大混乱に陥りそうである。だがあの独裁国家では、どんな姿であれ「健在」を示すことで、人心のほころびや国の崩壊を防ぐしかないのだろう。  

 予告日まで2週間ほどに迫った「衛星」打ち上げも「ほころび防止」のため、という見方が強い。来月9日に「選挙」で選ばれた代議員による最高人民会議を招集する。金正日体制の新たなスタートだ。それを盛りあげる「祝砲」代わりだというのである。  

 だが、打ち上げるのが「テポドン2号」を改良した長距離弾道ミサイルであることはほぼ間違いない。しかも矛先は日本海に向けられる。許されるわけもない「祝砲」だ。そのことを日本国民も国際社会ももう一度、肝に銘じる必要がありそうだ。

産経抄 産経新聞 3/22
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まだやってる「あぶさん」辞めるに辞められなかった・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-22 | 産経抄(コラム)

 南海ホークスは昭和63年ダイエーに身売りするまで大阪・難波の大阪球場を本拠地としていた。大阪では阪神と肩を並べる人気球団だった。毎年3月、巨人とのオープン戦が行われる日は、大相撲春場所と重なり難波が一年で最もにぎわったという。  

 そのホークスに昭和48年ごろ、一人の選手がドラフト外で入団する。景浦安武、通称・あぶさんである。当初、代打専門だったが、無類の大酒飲みだ。口に含んだ酒をバットに吹きつけて打席に入り、期待通りにホームランを放つ。夢のように痛快なバッターだった。  

 むろん実在の選手ではない。漫画家の水島新司さんが「ビッグコミックオリジナル」(小学館)に連載中の「あぶさん」の主人公だ。その後、球団名は変わってもホークス一筋だった。やがて中心打者に成長、何と60歳を過ぎた今でも、現役選手で活躍している。  

 その景浦選手が今シーズン限りで引退すると最新号で宣言した。野球や漫画に関心のない人たちには「バカバカしい」ことかもしれない。だが「まだまだやれる」と信じてきた大阪や福岡の、いや全国のあぶさんファンにとっては、衝撃的なできごとである。  

 昭和60年過ぎだったか、あぶさんと同じ団塊世代のプロ野球選手が次々に引退するという記事を書いた。そのとき水島さんに話を聞くと「寂しいなあ。でも、あぶさんは辞めませんよ」とコメントをいただいた。その通りさらに20年以上も、バットを握り続けた。  

 最近の日本の野球は小粒になったといわれる。その中で60過ぎまで豪快な打者人生を貫くあぶさんは、野球ファンや団塊世代の心のよりどころだった気がする。そのため、辞めるに辞められなかったのかもしれない。まずはご苦労さまと言いたい。

産経抄 産経新聞 3/21
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春の一日「摘み草」長閑気な仙人じみた閑遊・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-20 | 産経抄(コラム)

 きのうの関東地方は、上着もいらない陽気となった。机に向かっても、外の強い日差しが気になって仕方がない。山歩きでもすれば、さぞ気持ちよかろう。そんな思いでコラムのネタを探していたら、読売新聞の家庭面の記事が目に留まった。  

 茨城県取手市の利根川沿いを、記者が摘み草の専門家と歩き、ナズナやカラシナ、ハハコグサなどを採っていた。天ぷらやおひたし、酢みそあえ…野趣あふれる野草料理はうまそうだ。昔から春の行事として大切にされてきた摘み草は、『万葉集』巻第一にも〈籠(こ)もよ み籠(こ)持ち ふくしもよ みぶくし持ち この岡に 菜摘ます子…〉とうたわれている。独特の香りと苦みに薬効があることも知られていた。  

 明治の文豪、幸田露伴も摘み草を楽しんだ。昭和3年に発表した随筆「野道」で、30年以上前の春の一日を振り返っている。杉板に塗りつけ火鉢で少し焦がしたみそとひょうたんに入れた酒を用意し、野草をさかなに一杯やろうというのだ。  

 同行した親子ほど年の違う先輩たちが、ノビルにスイカズラ、タンポポと次々に見つけてくるのに、露伴には、どれが食べられる野草なのか見当もつかない。仕方なく近くにあった葉を口に持っていったら、同行者の一人が慌てて打ち落とした。恐ろしい毒草だった。  

 「こんな長閑気(のんき)な仙人じみた閑遊(かんゆう)の間にも、危険は伏在(ふくざい)しているものかと、今更ながら呆れざるを得なかった」と書いている。夏目漱石が稲を知らなかったエピソードは有名だが、博覧強記の露伴にも失敗談があった。  

 最近は、摘み草用の図鑑も出ているが、小欄にはやはり荷が重い。せめてスーパーで仕入れたフキノトウでフキミソでも作り、春分の日の晩酌の友としたい。

産経抄 産経新聞 3/20
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経営再建中AIG幹部、ボーナスをちゃっかり受け取ってにやついている・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-19 | 産経抄(コラム)

 アメリカの生んだ最大の詩人、ウォルト・ホイットマンは、1819年にニューヨーク州ロングアイランドに生まれ、ブルックリンで育った。さまざまな職業を経て新聞記者となり、36歳で詩集『草の葉』初版を発表する。  

 当時工場の建設ラッシュが続いていたニューヨークには、職を求めて多くの移民が流入し、経済の首都の座を固めていた。一方で貧富の差が広がり、政治の腐敗も深刻だった。この街の光と闇を知り尽くしていたホイットマンでも、現代のウォール街を闊歩(かっぽ)するエリートたちの振る舞いには、目を丸くするだろう。  

 アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が、巨額の公的支援を受けて経営再建中だというのに、総額1億6500万ドル(約160億円)のボーナスをちゃっかり受け取っていた社員たちのことだ。度をこした厚顔に、世論の怒りが爆発したのも当然といえる。  

 オバマ大統領は、彼らにボーナスを返還させるために、あらゆる手段を取る構えを見せている。南北戦争に従軍したホイットマンは、リンカーン大統領を敬愛し、その死を誰よりも嘆いたことでも知られる。リンカーンを強く意識して仕事をしているオバマ大統領にも、きっと共感を覚えるはずだ。  

 『草の葉』に「おれにはアメリカの歌声が聴こえる」(飯野友幸訳)という作品がある。大工、機械工、帽子屋、そして針仕事をする少女らが快活に歌うさまを、「カタログ手法」で並べあげ、アメリカに生きるすべての人々をたたえている。  

 といっても、世界的な金融危機を招いた責任を忘れて、高額ボーナスが振り込まれた預金通帳を前に、にやついているトレーダーの歌など、ホイットマンだって聴きたくないに決まっている。

産経抄 産経新聞 3/19
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スネに傷持つ「衆参ねじれ」を動かした国会審議「捜査」・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-18 | 産経抄(コラム)

 暖かさにつられて、近所の庭先では、みずみずしい白木蓮(もくれん)の花が天に向かって一斉に咲き始めた。厚手のコートをクリーニングに出し、なんだかうれしくなって駅前の和菓子屋で草餅(くさもち)を買った。  

 春の訪れとともに国会も雪解けムードが漂ってきた。与野党が対立していた派遣労働者を救済するための雇用保険法改正案は話し合いによって成立する運びとなった。たなざらしになっていた夏季五輪の東京招致をめざす国会決議もすんなりと採択された。  

 難航が予想された平成21年度予算関連法案の審議も「不景気のときに審議を引き延ばしても意味がない」と民主党が“大人の対応”を見せ始めている。ちょっと前まで「衆参ねじれ」を武器に「なんでも反対」だったのが信じられないほどの豹変(ひょうへん)ぶりだ。  

 遅くとも秋までに実施される総選挙を目前に控え、不毛な与野党の足の引っ張り合いから卒業し、民主党も政権担当能力のあるところを有権者にみせようとしているのだろう。と喜んでいたらちょっと事情が違うらしい。  

 現場の記者に聞くと、小沢一郎代表の公設第1秘書が政治資金規正法違反で逮捕された「西松事件」が国会運営にも大きな影響を与えているんだとか。確かに、国会論戦の檜(ひのき)舞台である予算委員会で民主党は、この問題をほとんどとりあげていない。むろん、スネに傷持つ自民党もだ。  

 秘書逮捕から2週間たち、「国策捜査だ」とわめき立てる野党議員は少なくなったが、スキャンダルが発覚しなければ、国会審議は渋滞したままだったろう。結果的に検察が政局を動かしたわけで、情けない。小沢代表は、進退を来週明らかにするそうだからつべこべ言わぬが、政治の季節を冬に戻すようなまねだけはしないでいただきたい。

産経抄 産経新聞 3/18
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「きぼう」日本人初のISS長期滞在者、宇宙飛行士の若田光一さん・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-17 | 産経抄(コラム)

 WBC2次ラウンドで、強豪キューバを破った立役者は、やはり松坂大輔投手(28)だった。WBC特有のルールなどで、直前の練習試合に登板できなかったにもかかわらず、「突然の出来事はこっち(米国)に来て慣れてます」と平然と本番に臨んだ。  

 スペースシャトル「ディスカバリー」の相次ぐ打ち上げ延期に見舞われた、宇宙飛行士の若田光一さん(45)に聞いても、同じ答えが返ってきたかもしれない。きのうの朝(日本時間)、米フロリダ州のケネディ宇宙センターから、ようやく飛び立つことができた。  

 昨年末の小欄で、加地伸行立命館大学教授と幼稚園児のお孫さんが、テレビ電話で行っている「論語教室」の様子を紹介した。若田さんが約3カ月間を過ごす国際宇宙ステーション(ISS)にも、テレビ電話が設置されている。休日には米ヒューストンの自宅で待つ家族とのプライベートな会話も可能になる。  

 若田さんは海外で訓練しているときも、テレビ電話で10歳の長男の日本語の宿題をみていた。ISSからも「日本語教室」は続きそうだ。何だか宇宙での生活が身近に感じられてくるが、日本人初の長期滞在者となる、若田さんの使命はとてつもなく重い。  

 ISSに太陽電池を取り付け、日本の有人施設「きぼう」で実験を繰り返すなど多忙を極める。宇宙空間で日本人の体がどんな影響を受けるのかという、“人体実験”にも挑む。先週には、ISSに宇宙ゴミが衝突する危険が迫り、乗組員が避難する騒ぎがあったばかり。生命の危険とも常に隣り合わせだ。  

 何より無事の帰還を祈りたい。そして滞在中は地球から、WBCでの日本の快進撃をはじめ、若田さんの心が弾むようなニュースを届けられればいいのだが。

産経抄 産経新聞 3/17
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「日本海の安全」狭い日本海では落下地点での事故やトラブルが避けられない・・・ 産経抄 八葉蓮華

2009-03-15 | 産経抄(コラム)

 松本清張の『砂の器』に秋田のロケット研究所というのが出てくる。事件の聞き込みに行った警視庁の刑事が新進の芸術家集団と出会う。彼らはこのロケット研究所の見学にきたのだという。刑事は「妙なところにまた近代的なものが…」とつぶやくのだ。  

 昭和30年ごろ、東大生産技術研究所が今の秋田県由利本荘市の海岸に設けた実験場である。ここから日本で初めてペンシル型ロケットが日本海上空に打ち上げられたのだ。宇宙開発の黎明(れいめい)期だった。新聞などでも話題になったから、ちゃっかり小説に使ったのだろう。  

 だがこの発射場も7年ほどでその役割を終える。ロケットが大型化すると、狭い日本海では落下地点での事故やトラブルが避けられないからだ。新しい発射場は、広々とした太平洋に打ち上げることのできる鹿児島県内之浦に、そして種子島にも設置される。  

 その日本海に向け、北朝鮮がまたミサイルを発射しようとしている。今回はわざわざ国際機関に通告し、人工衛星の打ち上げだと称しているらしい。だが仮に積むのは衛星だとしても、打ち上げるのが「テポドン2号」というミサイルである可能性は極めて強い。  

 しかも発射後1段目は日本海に、2段目は日本をまたいだ太平洋に落下する予定だという。日本の上空をミサイルの実験場にするような無礼なやり方である。間違って日本列島に落ちてくる恐れや、将来の核搭載の危険を考えれば、日本が迎撃態勢をとるのは当然だろう。  

 問題はそんなときに「人工衛星」という北朝鮮の主張に惑わされ、日本国内の足並みが乱れることだ。「日本海の安全」への配慮ひとつをとっても、日本と比べたあの国の狼藉(ろうぜき)ぶりはわかる。そのことをかみしめなければならない。

産経抄 産経新聞 3/15
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