昨日の本紙政治面に載った市原すぐるさんの漫画がおもしろかった。ソマリア沖の海賊対策で自衛隊の艦船を派遣することに社民党など野党が反対している。だがそのイメージは時代からずれているのではと、麻生首相がクレームをつけている図である。
その海賊とは、ひげ面に独特の服を着て帽子をかぶり、片手に剣を持った姿だ。それがドクロの印の帆を張った小さな舟に乗っている。まさか、野党の方々がそんなイメージを抱いているわけではないだろうが、日本人の多くが真っ先に思い浮かべる海賊だ。
恐らくは、明治時代から日本の子供たちが好んで読んできたスティーブンソンの『宝島』の影響が大きい。海賊が離れ島に隠した宝物を、少年たちが探しにいく冒険小説だ。あるいは戦後の「海賊もの」の映画のイメージがしみついているのかもしれない。
だが今、ソマリア沖などに出没する海賊はそんな物語風のものではない。ロケット砲などの武器やIT機器も備えた近代的武装集団だ。通航する船を奪い船員の身代金を要求するのを生業(なりわい)としているから、海賊には違いないのだが、その脅威は海上テロリストのものに近い。
だから、その海賊から日本の船を守るには、訓練を積んだ自衛隊の船を派遣するしかないと海上警備行動の準備に入った。この海域で結束して海賊退治に当たろうとしている国際社会の一員として、当然のことに思える。ところが野党側はこれに異を唱えているのだ。
社民党は例によって「自衛隊はダメ」のようだ。民主党は「なぜ海上保安庁ではいけないのか」と言う。こちらも例によって政局優先からのようだ。だがもし、海賊の古いイメージでこれを甘く見ているのだとすれば、その罪は大きい。
産経抄 産経新聞 1/31
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