赤い彷徨 part II

★★★★☆★☆★★☆
こんにちは、アジア王者です。↑お星さまが増えました。

【本】「日本国家の神髄 ~禁書『国体の本義』を読み解く~」(佐藤優・著)

2017-05-27 23:40:15 | エンタメ・書籍所感
戦前の文部省(現在は別の意味で世の中を騒がせているようですが…)が編纂した「国体の本義」のテキスト全文を掲載しつつ、佐藤優さん流に丹念に読み解いた上でじっくりと解説してくれるのが本書です。「国体の本義」と聞くと、「戦後GHQ(占領軍総司令部)によって禁書に指定された!」という枕詞がどうしたってついて回ってくるので、何となく「極右の神がかり的テキスト」であり、「日本を無謀な戦争に導いた悪書」のような印象を持たれがちで、事実私自身もそのようなイメージを多少なりとも持っていました。ただ、佐藤さんが指摘されるとおり、そうした先入観を除いて虚心坦懐に読み込んでみれば、「天皇制絶対反対」といった左寄りのスタンスの方でなければ思いの他違和感なく読めるんじゃないのかな、という印象を持ちました(ちなみに、私は自覚する限り、少なくとも極端に右寄りなスタンスでないつもりですが…笑)。

本書では、「国体」について「日本国家を成り立たせる基本となる根本原理」とし、いわば「目に見えない憲法」ともいえる存在であると定義しています。先述の「国体の本義」では、その我が国の「国体」について、神話をベースに詳細解説しています(ちなみに自分は「神話は史実であろうがなかろうが少なくとも日本の国柄の一部であり、もっと言えば土台となるストーリーではあるはずだ、という理解)。その内容はと言うと、一般的にイメージされる排外主義的な内容など全くなく、むしろ、明治維新以降急速に流入した西洋思想や科学技術を日本人がすんなり消化して「土着化」させるという近代日本にとって極めて重要なテーマを真剣に掘り下げています。そして、少なくともそこでは、他国家や他民族に対する蔑視や偏見のようなニュアンスは微塵も存在しない点は強調しておきたいと思います。そういう意味では、むしろ昨今の「保守」を自称する皆さんにこそあらためて読んでいただきたい書と言えるのかもしれません。

5月26日(金)のつぶやき

2017-05-27 01:45:06 | Weblog