前回のお話の続きですが、ピロリ菌の除菌というのは、知らない間に除菌できているケースが結構あります。
それは、疾病による入院経験によることが多いです。かくいう私は、今から10数年前、「化膿性扁桃腺炎」で1週間ほど入院しました。その時、のどが張れていたので、食事もほとんどのどを通らず、点滴と水分補給だけで過ごしてしました。当時の私は、医療者ではありませんでしたし、今みたいに「お薬手帳」もありませんでしたから、その時に「抗生物質」の点滴を受けていることなど、知るよしもありませんでした。しんどい思いで入院し、退院後も、1週間は抗生物質の内服をしていました。
私にとって、病気入院など初めてのことです。親元を離れ、ただ一人で入院すること、誰も世話をしてくれる人もいない心細さも、嫌というほど味わいました。そして入院した自分は、「なんてツイてないんだろう・・・」そんなことに不満を持って腐っていたのを覚えています。
それから10数年が経ち、「ピロリ菌」の除菌を思い立って、専門医を受診して検査したところ、なんと「ピロリ菌」は陰性(-)でした。
両親もすでに検査をしていましたが、二人とも、しっかり感染していたのに、息子の私が感染していないことに医者も不思議がっていました。そこで医者は私に尋ねました、「あなた、過去に入院したことない?」
「はい、ありますよ。化膿性扁桃腺炎で入院したことがあります」「その時に、抗生物質の投与をしっかり受けているはずです。おそらくは、その時に除菌できたのでしょう・・・」
「エッ?そうなんですか・・・。」それから、医者に、確かにあの入院以降、痩せていたのに、健康的に体重が増えたこと、そして胃を悪くした経験がそれ以来なくなったことを話しました。
「その時の入院が幸運でしたね。ピロリ菌の除菌を知らない間にしていたのですから。ところで、どうしますか?あなたは除菌の必要性はありません。このままにしていてもいいですし、念のため、検出限界値以下のピロリ菌の除菌のために、自費になりますが、一度だけ治療しておきますか?」
「はい、この機会ですから、是非お願いします」
・・・こうして、1週間分の「ピロリ菌」除菌のための、薬を処方してもらい、服用を終えました。その時以来、口内炎が一度もできていません。やはり、微量ではあるけれど、ピロリ菌が残っていたんだと思います。
私がここで言いたいのは、ピロリ菌の除菌に成功したという話ではありません。
人は一見、ツイてないと思える出来事も、あとあとになってみれば、その経験があったからこそ、今が助けられていることもある、ということなのです。「人間万事塞翁が馬」という「ことわざ」の意味を自分の身をもって経験したと思っています。自分に入院経験があるからこそ、患者さんの気持ちも分かるというものです。人は経験から、何を学ぶか、たとえ一見「アンラッキー」なことであっても、それをどう自分が解釈し、活かしていけるのか・・・そのことの大切さを、「ピロリ菌」を通して学んだと思います。
ありがとうございました。
それは、疾病による入院経験によることが多いです。かくいう私は、今から10数年前、「化膿性扁桃腺炎」で1週間ほど入院しました。その時、のどが張れていたので、食事もほとんどのどを通らず、点滴と水分補給だけで過ごしてしました。当時の私は、医療者ではありませんでしたし、今みたいに「お薬手帳」もありませんでしたから、その時に「抗生物質」の点滴を受けていることなど、知るよしもありませんでした。しんどい思いで入院し、退院後も、1週間は抗生物質の内服をしていました。
私にとって、病気入院など初めてのことです。親元を離れ、ただ一人で入院すること、誰も世話をしてくれる人もいない心細さも、嫌というほど味わいました。そして入院した自分は、「なんてツイてないんだろう・・・」そんなことに不満を持って腐っていたのを覚えています。
それから10数年が経ち、「ピロリ菌」の除菌を思い立って、専門医を受診して検査したところ、なんと「ピロリ菌」は陰性(-)でした。
両親もすでに検査をしていましたが、二人とも、しっかり感染していたのに、息子の私が感染していないことに医者も不思議がっていました。そこで医者は私に尋ねました、「あなた、過去に入院したことない?」
「はい、ありますよ。化膿性扁桃腺炎で入院したことがあります」「その時に、抗生物質の投与をしっかり受けているはずです。おそらくは、その時に除菌できたのでしょう・・・」
「エッ?そうなんですか・・・。」それから、医者に、確かにあの入院以降、痩せていたのに、健康的に体重が増えたこと、そして胃を悪くした経験がそれ以来なくなったことを話しました。
「その時の入院が幸運でしたね。ピロリ菌の除菌を知らない間にしていたのですから。ところで、どうしますか?あなたは除菌の必要性はありません。このままにしていてもいいですし、念のため、検出限界値以下のピロリ菌の除菌のために、自費になりますが、一度だけ治療しておきますか?」
「はい、この機会ですから、是非お願いします」
・・・こうして、1週間分の「ピロリ菌」除菌のための、薬を処方してもらい、服用を終えました。その時以来、口内炎が一度もできていません。やはり、微量ではあるけれど、ピロリ菌が残っていたんだと思います。
私がここで言いたいのは、ピロリ菌の除菌に成功したという話ではありません。
人は一見、ツイてないと思える出来事も、あとあとになってみれば、その経験があったからこそ、今が助けられていることもある、ということなのです。「人間万事塞翁が馬」という「ことわざ」の意味を自分の身をもって経験したと思っています。自分に入院経験があるからこそ、患者さんの気持ちも分かるというものです。人は経験から、何を学ぶか、たとえ一見「アンラッキー」なことであっても、それをどう自分が解釈し、活かしていけるのか・・・そのことの大切さを、「ピロリ菌」を通して学んだと思います。
ありがとうございました。
とても興味深い内容です。
その時は最悪だと認識していても、長期で見た時にツイていた出来事になることはありますね。
ピロリ菌が教えてくれた体験記、普段の物の考え方の参考になります。
コメントは時々しか出来ないと思いますが、これからも更新を楽しみにしています。
よかったら、これからもご覧になってくださいね。
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