医療者として、そして一人の人間として・・・

 当方は、SMAP世代の医療従事者です。そして自分の思いを伝える場が欲しくて、ブログを始めることにしました。

ピロリ菌の駆除と、病気入院を経験することの意義

2013-07-23 17:17:36 | 日記
 前回のお話の続きですが、ピロリ菌の除菌というのは、知らない間に除菌できているケースが結構あります。
 それは、疾病による入院経験によることが多いです。かくいう私は、今から10数年前、「化膿性扁桃腺炎」で1週間ほど入院しました。その時、のどが張れていたので、食事もほとんどのどを通らず、点滴と水分補給だけで過ごしてしました。当時の私は、医療者ではありませんでしたし、今みたいに「お薬手帳」もありませんでしたから、その時に「抗生物質」の点滴を受けていることなど、知るよしもありませんでした。しんどい思いで入院し、退院後も、1週間は抗生物質の内服をしていました。
 私にとって、病気入院など初めてのことです。親元を離れ、ただ一人で入院すること、誰も世話をしてくれる人もいない心細さも、嫌というほど味わいました。そして入院した自分は、「なんてツイてないんだろう・・・」そんなことに不満を持って腐っていたのを覚えています。

 それから10数年が経ち、「ピロリ菌」の除菌を思い立って、専門医を受診して検査したところ、なんと「ピロリ菌」は陰性(-)でした。

 両親もすでに検査をしていましたが、二人とも、しっかり感染していたのに、息子の私が感染していないことに医者も不思議がっていました。そこで医者は私に尋ねました、「あなた、過去に入院したことない?」
 「はい、ありますよ。化膿性扁桃腺炎で入院したことがあります」「その時に、抗生物質の投与をしっかり受けているはずです。おそらくは、その時に除菌できたのでしょう・・・」
「エッ?そうなんですか・・・。」それから、医者に、確かにあの入院以降、痩せていたのに、健康的に体重が増えたこと、そして胃を悪くした経験がそれ以来なくなったことを話しました。

 「その時の入院が幸運でしたね。ピロリ菌の除菌を知らない間にしていたのですから。ところで、どうしますか?あなたは除菌の必要性はありません。このままにしていてもいいですし、念のため、検出限界値以下のピロリ菌の除菌のために、自費になりますが、一度だけ治療しておきますか?」

 「はい、この機会ですから、是非お願いします」

 ・・・こうして、1週間分の「ピロリ菌」除菌のための、薬を処方してもらい、服用を終えました。その時以来、口内炎が一度もできていません。やはり、微量ではあるけれど、ピロリ菌が残っていたんだと思います。

 私がここで言いたいのは、ピロリ菌の除菌に成功したという話ではありません。

 人は一見、ツイてないと思える出来事も、あとあとになってみれば、その経験があったからこそ、今が助けられていることもある、ということなのです。「人間万事塞翁が馬」という「ことわざ」の意味を自分の身をもって経験したと思っています。自分に入院経験があるからこそ、患者さんの気持ちも分かるというものです。人は経験から、何を学ぶか、たとえ一見「アンラッキー」なことであっても、それをどう自分が解釈し、活かしていけるのか・・・そのことの大切さを、「ピロリ菌」を通して学んだと思います。

 ありがとうございました。

3 コメント

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Unknown (めぐみ)
2013-07-23 23:01:20
はじめまして!めぐみっていいます、他人のブログにいきなりコメントするの始めてで緊張していまっす('-'*)エヘ。ちょくちょく見にきてるのでまたコメントしにきますね(*´ェ`*)ポッ
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興味深い内容です (提供ボランティア)
2013-07-25 00:03:52
入院したのが幸運だった。
とても興味深い内容です。
その時は最悪だと認識していても、長期で見た時にツイていた出来事になることはありますね。
ピロリ菌が教えてくれた体験記、普段の物の考え方の参考になります。
コメントは時々しか出来ないと思いますが、これからも更新を楽しみにしています。
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Unknown (ようすけ(このブログの主宰者))
2013-07-25 06:52:32
めぐみさん

 よかったら、これからもご覧になってくださいね。

提供ボランティアさん

 このブログがお役に立てるのなら、何よりです。これからもよろしくお願いします。
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