マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

ポリオワクチン(補償について)

2011年01月08日 | ワクチン その他
小児科の先生かなと思われる方からコメントいただきました。

そういえば、万一のことが。。。とはちらっと触れていましたが、
補償についてはお話していませんでした。

不活化ポリオワクチンは任意接種でもありません。
あくまでも日本国内で認可されていないものを輸入して接種しますので、
万一の事態が起こった際には、公的な補償は一切受けることができません。

一応、輸入代行業者が替わりとなる補償制度を用意はしています。
ただ、いざ補償を受けようとなると、
まずは民事裁判で、医師側の過失がないことを証明しないといけないのだそうです。

「過失がない」証明なんて限りなく難しいのではないかと法律素人的に思ってしまいます。
個人的に気になる点がひとつあります。
普段、予防接種は熱さえなければ、ちょっとくらい鼻がでていたり、咳があったりなんて
あまり問題としないで接種可としています。
だって、小さい子どもが咳も鼻もまったくない時期なんて、そうそう都合よくめぐってきませんから。

で、たとえば、元気な鼻水、咳だけの乳児に不活化ワクチンを接種したとします。
5日くらいあとに乳幼児突然死症候群で亡くなったなんてことがあったらどうなるのか?
ワクチンとの因果関係を否定することなんて不可能でしょう(肯定も難しいけれど)。
風邪症状があるのに接種可とした医師は「過失あり」にされてしまうのでは??
まあ、悪い方向に考えすぎるとこんなことだって思いついてしまうという例えですけど。

うちの院長があまり前向きでなかったら、コメントいただいた方が踏み切れないとおっしゃるのも
病院・医院の経営やリスク管理を考えると当然のことでもあります。


そもそも予防接種というのは、個々人を守るという目的もさることながら、
国民全体の利益を守るために国が主導で行うという側面があります。

100%安全なワクチンというものは存在しませんので、
言葉は悪いのかもしれませんが、集団を守るために、少数の不幸な副反応には
国がしっかりと補償するという形でカバーしていくという構造です。

とはいえ、重篤な副反応が生じてしまったら、その子や両親、関係者はたまったものではないのも事実です。
ワクチンは危険だっ!!という意見はこういうところを問題にしていることが多いですよね。
いいとか悪いとかの白黒はっきりつけられる話ではないと思うのですけど。

不活化ワクチンが「安全」なワクチンと安全を全面的に謳われるのにもちょっと抵抗があります。
「ポリオ関連麻痺の可能性がない」と言って欲しいですね。

ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、子宮頚癌ワクチンの助成も始まりました。
昨日からさっそく多くの接種を行いました。
なんとか国主導で、ポリオも早く問題解決に向かってほしいです。


目次にしてみました。
ポリオワクチン(不活化ワクチン): 目次

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