マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

インフルエンザの意識障害

2009年12月15日 | 診療
タミフル騒動で有名?になりましたが、
インフルエンザを筆頭に、特に小児は高熱の際に幻覚をはじめとする異常行動が問題となります。

タミフルを服用後に異常行動が原因で亡くなった例があったことから、
昨今のタミフルたたきが起こったわけです。
現在のところ、タミフルもリレンザも問題ないとの方向になりつつあるようですが。。。
インフルエンザが異常行動を起こしやすいのは間違いない事実であり、
それがタミフルなどの抗ウィルス薬服用で増強されるのかは判断が難しい問題だと思います。

いくら高い熱を出しても何もない子どもが圧倒的に多いなかで、
インフルエンザでなくても高熱の際にしょっちゅう変なことを言うなんてお子さんもおられます。

幻覚を見たり、暴れたりするのが異常行動なのですが、大半は熱の経過とともに
落ち着くようになり、後遺症もほとんど残りません。
これは「熱せん妄(せんもう)」と呼ばれる状態であることがほとんどでしょう。
起こしやすい体質があるのは明らかです。
ところが、みなさんが心配される、インフルエンザ脳症の発症の最初のサインが
異常行動であることが報告されていますので、異常行動に関しては過敏にならざるを得ません。
異常行動に伴って、意識障害や痙攣を起こさないかなど注意してみていかなければなりません。
観察入院にすべきかどうか現場の医師も悩みながらの治療となります。
だいたい夜間や早朝が多いと思いますので、救急受診すべきかどうかの判断が必要になりますが、
これくらいなら大丈夫などという基準は残念ながらわかりません。
ある程度の時間続く、一旦落ち着いてもまた起こるなどはやはり診察が必要ではないかと考えます。
当院では夜間・休日の対応が難しいため、申し訳ないのですが、
それでもまずは受診可能な病院にあたってもらえたらと思います。
受診する頃には落ち着いていて、1泊だけ観察入院や
帰宅して慎重に経過観察となることがほとんどだとは思うのですが。

ちょっと極端ではないかと思いますが、インフルエンザにかかった1割くらいに
異常行動を認めるなどの話も聞きました。
寝起き直後が最も異常行動を起こしやすいとのデータもあるようです。
11月30日までに日本小児科学会が把握している脳症例は78例だそうです。
報告漏れも多少あるのかもしれませんが、1000万人以上がかかっている中での数字です。
過剰に怖がる必要はないのですが、知っておくことは大事かと思います。
もしインフルエンザにかかって何かおかしなことがあるようなら、
できるだけ冷静に対処してもらえればと思います。
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