マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

感冒性腸炎(感染性胃腸炎)

2009年11月28日 | 診療
新型インフルエンザもよくおなかの症状を訴えることがあるのですが、
そのインフルエンザの患者さんに混じって、感冒性腸炎(感染性胃腸炎)と思われる子をみかけるようになりました。
同時に流行されるとこちらとしてもつらいものがありますね。

ノロウィルスとかロタウィルスなどが代表的な原因ウィルスで、
頻回の嘔吐、下痢で結構苦労することがあります。

外来で、吐いているお子さんを連れて来られた時に、皆さんよく「何飲ませても吐くんです」とおっしゃいます。

嘔吐で当科受診された経験のある方は既にご承知かとも思いますまが、
急な嘔吐時の対処でお願いしたいことがあります。

「一度吐いたら、しばらく何も口にさせないでください」

脱水になりませんか?と必ず質問されますが、
脱水の原因で一番多いのは、吐いているにも関わらず、
脱水を心配しすぎて、あるいは本人が欲しがったと飲ませてしまう
→また吐く→吐いたとまた飲ませる→吐き続ける。。。です。
正直点滴しなければいけなくなる子の大半がこのパターンです。
挙句、点滴中も嘔吐が止まらず、結構一泊入院せざるを得なくなります。
翌日別人のように元気になって、退院です。

軽度の脱水なら点滴しなくても治ることも多いです。
たとえもうちょっと脱水になっても点滴ちょっとするだけで急に元気になる子がたくさんいます。
あわてて飲ませる必要などないのです。
ほっといて言いとは決していいませんが。

薬局で売っている「経口補水液」は例外的に嘔吐時でも少しずつ飲むのはかまいません。
うまく使えば点滴の代わりになるくらいですので。

嘔吐というのは原因は何であれ、注意が必要な症状です。
1,2回嘔吐するようなら、何かおかしいのです。
しばらく何も口にさせずにみていてもまだ嘔吐するなら受診が必要です。
飲ませてしまったから吐くのか、飲ませなかったとしても吐くのか。
これが大事だと考えています。

様子みていたら、それ以上は吐かなかった場合は?
極端な話、スプーン1杯ずつの水分を時間をあけて慎重に与えてみます。
大丈夫なら増やしていきましょう。
ある程度増やして、やっぱり吐くようなら病院へ。

子どもの「喉かわいた」「おなかすいた」にだまされないでください。
吐いたら一旦すっきりして子どもはよくこう言います。
治ったと安心して飲ませたり、食べさせたりすると、
またごぼっと吐くことが多いです。
口をすすぐくらいは仕方ないですけどね。

水分がなんとか取れるようになったら、炭水化物と糖分を少しずつ交互に与えてあげてくださいとお伝えしています。
慎重かつ大胆に増やしていくのが難しいところなんですけどね。
元気になったらどんどん普通の食事に戻していきましょう。
多少の下痢なら無視してもいいと思います。

ロタ腸炎で強烈な下痢になることがあります。
いくら口から水分取れても追いつかないくらい。
そんな時には少しでも元気がないな、などあれば早めに受診したほうがいいでしょう。

短くまとめるつもりでしたが、とっても長くなりました。
育児書の「吐いたら水分を」に腹が立って仕方なかったんですよ。
「吐かなくなったら水分を」ですよ。
感冒性腸炎流行時に入院が少しでも減ることになればうれしいです。
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