マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン(プレベナー)/同時接種

2011年05月16日 | ワクチン その他
13日にもさらっと触れていましたが(こちら)、
うちだけではなく、やはり全国でヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン(プレベナー)の接種をするかどうか悩んだり、
同時接種をためらったりという方たちがかなり多いようです。

あれだけ最初から全面的にネガティブな方向でドーンと報道されてしまいましたので、
後からいくら問題なしと言われても、「はい、そうですか」というわけにはいかないのはよくわかります。

とりあえず三種混合ワクチンの1回目だけを接種しに来られる方もちらほら。
その際に、当然ヒブとプレベナーをどうするかってお話になりますね。
最終的に親御さんに決めてもらわなければいけないのですが、
そんなん決めろというのも正直酷な話で、いくら考えても悩みが深くなるだけ。。。

そんな中、ある大阪の小児科の先生が説明のチラシを作って、自由にしてよいとおっしゃってました。
せっかくですので、ちょっと自分なりにアレンジさせてもらうことにしました。
参考になるでしょうか。


3月初旬を中心に、肺炎球菌ワクチンやヒブワクチンの接種後に乳幼児が死亡したケースが相次ぎました。
それを受けて、一旦いずれのワクチンも接種見合わせという措置がとられます。
接種見合わせの間に厚労省の委員会で検討が行われ、その結果を踏まえて、4月1日より
いずれのワクチンも見合わせ前と変わらず接種可能となり、同時接種についても特に問題とはならないとされました。
ワクチン接種と死亡についての因果関係は確認できないということですね。

世界での接種実績をみてみると、ヒブが20年以上2億接種以上、
プレベナーは10年以上で、数千万接種以上だそうで、安全性に関しても問題なしとされています。

同時接種についても、個別接種が主流だったのは日本だけで、世界中で各種ワクチンの同時接種が日々行われています。
すでに1995年の時点でWHOから同時接種に関して推奨勧告が出ているそうです。

では、同時接種で副反応の頻度が増えることはないのか?
確率だけで考えると、別々に接種するよりも足し算になるわけですから、理屈の上では増えると言えるのかもしれません。
でも、逆に同時接種にしないと、例えば2週間かけて2種類接種している間に風邪をひくことだってありえます。
その熱が予防接種の翌日だってこともありますね。
予防接種の副反応報告にはこうした紛れ込みとされるケースが結構あるはずなのです。
同時接種だと紛れ込みの確率は当然低くなりますよね。
結果として、現実的には副反応の頻度をどうこう悩む必要はほとんどないということになります。
そして、同時接種することによって、副反応の程度がひどくなるという報告はありません。

一番返事に困る質問が、「ワクチンのせいでなかったら、なんで亡くなったんですか?」ですね。
すべてを乳幼児突然死症候群(SIDS)と決め付けることはできません。
SIDSは「病歴、健康状態、死亡時の状況、精密な解剖を行っても死亡の原因を特定できないもの」とされます。
日本では年間150例程度だそうですが、解剖がされなかった場合は、
診断基準にあてはまりませんので、実際の数はもっと多いであろうと考えられます。
そして1年を通して、明らかに冬に多い傾向にあるようです。
原因が不明な疾患群ですので、話がとてもややこしくなりますが、
SIDSであった可能性を考える小児科の先生は多くおられるようです。

ちなみに3月の委員会では、日本でのヒブワクチンとプレべナー接種後の死亡報告
(予防接種との関連の有無にかかわらず,すべての死亡例を含む)の頻度が,
諸外国で報告されている状況と相違は見られないという結果が示されているそうです。

逆に予防接種の有効性を考えておくこともとても大事です。
予防効果って目にみえませんから、実感しにくいのですけどね。
ヒブワクチンの導入によって、細菌性髄膜炎の頻度が激減することは明らかです。
肺炎球菌に関しても、プレベナーの接種により、侵襲性肺炎球菌感染症(髄膜炎や敗血症)が劇的に減少します。

いつもよく言います。
「熱がでて心配する理由はなんですか?」
「熱で頭がやられませんか?ですよね?」
「熱で頭がやられることはありませんが、もし髄膜炎だとその可能性がありますね?」
「だとしたら、それだけでもその予防のワクチンの重要性は明らかですね」

三種混合だけ接種に来て、話を聞いて予定を変えて、三種同時接種を済ませて帰られる方もおられます。
もしくは、三混→ヒブ→プレベナーの順で3週の予約をして帰られるケースも。
少なくともワクチンの重要性に関してはみなさん疑問は感じておられないようですので、
あとはリスクと利益をどう考えるかだけですね。
個々人で色々な考え方があって当然ですので、悩むときの判断材料にしてもらえたらと思います。

あ、そうそう、
先生におまかせします。。。は本当は困りますが、
もし、おまかせされたら、迷うことなく三種混合・ヒブ・プレベナーを同時接種してもらいますね。
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