BLOG<アルトフィールドのクラシックギターな日々>

クラシック・ギタリスト高田元太郎が音楽大学での教授活動やアルトフィールド音楽教室の日常などを綴ります。

Il Fronimo

2006-06-26 17:01:47 | ギター
 表題の横文字はイタリア語で「イル・フロニモ」と呼びます。イタリアのクラシックギター専門誌の名前です。創刊したのがギター音楽学者のルジェロ・キエザ氏ですからそれはマニアックな雑誌で、毎回ギター音楽学的な記事が満載です。僕が勤務している音大の図書室に置いてあるものですから、空き時間にパラパラとめくってみるのですがいかんせんイタリア語で書いてあるので熟読はできません。
 しかし最新号は見逃せない記事がありました。まず我が師エドゥアルド・フェルナンデスがエリオット・カーターの<チェンジズ>の楽曲分析を書いています。20世紀を代表する作曲家のひとりエリオット・カーターの書いたオリジナル・ギターソロ曲です。プロのギタリストならば避けては通れない作品です。しかし何故かこの曲について書かれた記事はあまりありませんでした。かなり複雑な構造をしている曲だからです。しかし流石師匠フェルナンデス!硬派です。やってくれました。惜しむべくは何故英語で論文を発表してくれなかったのか?です。それともどこかに英語で発表した論文のイタリア語翻訳なのかしら?
 さらにフレデリック・ジガンテがな、なんとヴィラ・ロボスの未発表曲について記事を書いています。まだそんなものがあったとは・・・・。記事を斜め読みした限りでは未発表曲のタイトルは「ワルツ・ショーロ」。しかしできないイタリア語を読み飛ばして、自筆譜のファクシミリの断片の写真やタイトルから推測しているだけです。細かい経緯はわかりません。
 誰かイタリア語わかる人、読んで解説してくれ~。それともイタリア語を勉強してみようかしら・・・。

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で今(29日)また図書室に行ってちょっと眺めてみました。今回は文章もちょっと眺めてみたら、どうやらワルツ・ショーロという未発表曲ではなくてブラジル民謡組曲の「ワルツ・ショーロ」の出版譜には無い、未発表の部分があるという内容でした(多分・・・また休み時間にザッと眺めただけなので定かではない)。どうも未発表曲の名前が既存の「ワルツ・ショーロ」という名前なのはおかしいなと思っておりました。また休憩時間に新しい発見(笑)をしたらご報告します。新刊雑誌なのでまだ貸し出ししてもらえないんですよね。


高熱が・・・

2006-06-25 08:04:36 | ギター
 前回の投稿を終えてすぐに高熱がでました。なんといきなり39度。医務室の先生が「インフルエンザかもしれません」というので、大学を早退して帰宅後医者へ。インフルエンザではなかったものの次の日に本番が控えているのでなんとしても熱を下げなければなりません。しかも演奏会は岐阜の山の中。その後陸路で高知へ移動するという強行軍です。本番は解熱剤が効いてなんとか無事に終了!今回もバンドネオンの啼鵬氏とのコンサートです。もうすでに啼鵬氏のサイトにレポートがアップされています。
 しかし次の日の岐阜から岡山経由で四国高知県への移動は長かった!電車の中で座っているだけでもそれが6時間も続くととても疲れます。まして病み上がりだと辛い!でも移動日に丸一日確保して置いてよかったです。なんとか講習会をできるぐらいに回復できました。演奏家は病気もしてられないというお話でした。

カルレバーロ先生の思い出(2)

2006-06-22 09:37:45 | ギター
 ハードスケジュールです。明日は岐阜県でのコンサート土曜日に岐阜から高知へ陸路で移動して日曜日に講習会です。来週は先日書いた日本ギター作曲コンクールでの新作初演があります。その次の週末はGGサマースクール、その次は茨城・福島公演、その次の週は北海道ツアー・・・。これらの本番をこなしながら週3日の大学勤務、週2日のGG学院のレッスンをこなしているので、必然的に普段の練習がおろそかになります。本当は筋力低下を防ぐために毎日少しでもテクニック練習をした方がよいのですが、このスケジュールだとなかなかそういうわけにはいきません。アンサンブルの本番の場合は楽譜が直前にあがってくることも多く、移動中の電車の中で譜読みをすることがあります。そしてほぼ楽器で確認することなくゲネプロを迎えるわけですが、大過なく演奏会を終える度に「ああ、カルレバーロ先生のおかげだなあ」と感謝します。
 4冊からなる技巧教本は左手・右手のための練習課題集です。ただしこれは毎日この課題をこなすことでギターを弾くための筋力が養われる、といった類の練習課題ではありません。ポジション移動に必要な体の動き、スラーを実行するときにもっとも合理的な左肘の位置、とかいった「ギターの各テクニックを実行するときにどのように体を動かせば最小限の指の筋力で演奏できるか」を学ばせるための練習課題集なのです。ですからその目的を誤って毎日の筋力トレーニングと思ってやみくもに練習してもそれは無意味です。
 このような意図を持つ技巧教本なのですが、カルレバーロによって各課題に付けられている注意書きは妥当なものとはいえません。説明が絶対的に不足しているのです。週2回受けていたカルレバーロ本人のレッスンはこの技巧教本の各課題の解説を本人が行い、その内容が確実にできているかをチェックしてもらうものでした。この技巧教本中心のレッスンを受けて、最小限の力でギターを弾く、すなわち日常生活を営むがごとくギターを弾くことが可能になりました。現在のようなハードスケジュールで演奏会をひとつひとつ終える度にカルレバーロ先生の教えが役に立っているのだと実感するのです。

カルレバーロ先生の想い出(1)

2006-06-21 13:48:33 | ギター
 僕がアベル・カルレバーロ先生に師事したのは1989年から1992年までの4年間でした。留学前からフェルナンデス、アウセル、ピエッリといった名ギタリスト達の生みの親ということでカルレバーロにはとても興味をもっていました。そして以前に書いたスペインのセゴビアコンクール出場時に知り合ったウルグアイ人のつてで、雲の上の存在だったカルレバーロ本人に習うためスペインからウルグアイへと渡ったのでした。
 ウルグアイ到着後早速カルレバーロのレッスンが始まりましたが、最初は曲のレッスンはせずに4冊のクアデルノ(日本で言うカルレバーロ技巧教本)を用いてカルレバーロテクニックを伝授してもらうことになりました。
 カルレバーロの技巧教本は第1巻スケール、第2巻右手のテクニック、第3巻左手のテクニック(ポジション移動)第4巻左手のテクニック(スラー他)とギター演奏に必要なテクニックが総括されています。この4冊に含まれている課題をすべて、半年間かけてカルレバーロ本人から習ったことが僕のギター人生の中で最大の幸福だったと思っています。現在はカルレバーロに習おうとしても習えませんから・・・。ウルグアイでカルレバーロと並行して師事していたエドアルド・フェルナンデスのレッスンはこれに対して曲中心のものでした。ウルグアイ時代に受けたカルレバーロのテクニックを中心としたレッスン、楽曲分析を中心としたフェルナンデスのレッスンの2つが現在の高田元太郎の音楽の基礎となっています。

諸星大二郎

2006-06-18 18:37:19 | ギター
 何を隠そう諸星大二郎ファンなのです。小さいときに雑誌の連載で「暗黒神話」と「孔子暗黒伝」を読んで衝撃を受けて、それ以降彼の作品を追い続けています。でもやっぱり最初に読んだ「暗黒神話」のインパクトが一番強かったかな。あの本を読んで天文学に興味を持ったのか、はたまた天文学に興味があったからあの本を面白いと感じたのかは覚えていませんが、その後物理学専攻を目指すきっかけのひとつになったのは確かでしょう。
 去年は諸星大二郎の名作「生命の木」が映画化されたり、「妖怪ハンター」が単行本化されるなどにわかに諸星大二郎イヤーとなった感があります。現在書店は映画「ダヴィンチ・コード」のヒットで聖書やキリスト教・神話関係の書籍が山積みとなっているのですが、このブームにあやかって諸星大二郎作品を見直してもらいたいと思っているのは僕だけでしょうか?

琉球丼

2006-06-16 00:04:01 | ギター
 といっても沖縄に来ているわけではありません。大分名物の食べ物なのです。本日(6月16日)に別府大学大分キャンパスにてバンドネオンの啼鵬さんとデュオコンサートを行うため、大分に滞在しているのです。写真はすでに啼鵬さんのブログにアップされていますのでそちらを参照してみてください。ご飯の上に関アジの薄切りを敷き詰め、さらにその上に青ネギ、大葉のみじん切りをふんだんに振りかけたもの。たれは特製の甘いタレがかかっています。新鮮な関アジ!絶品でした。初めて訪れる地で今まで味わったこと無いものを食べることほど楽しいことはありません。明日の演奏に向けてよい景気づけとなりました。
 啼鵬さんとのデュオコンサートは来週金曜日(6月23日)に岐阜県中津川市の高峰楽器でも演奏します。こちらも入場無料ですので、近隣の方は是非おいでください。僕はその後高知県へ移動して講習会を行います。

今井ギター

2006-06-11 19:56:58 | ギター
 今井勇一さんの1991年製作のギターが僕のメインギターとなっているのはよく知られています。そう「Rocks on the Guts~天国への階段」の裏ジャケや公式サイトトップページにある写真のギターです。ずいぶん無理をさせているので表面板はボロボロですがまだまだ現役の楽器です。
 僕はこのギターとともにウルグアイ、ボリビア、ブラジルなど渡り歩き、苦楽をともにした楽器です。楽器というのは生き物ですから、そういう僕と一緒に旅してくれた経験が年輪として加わって、音が成長してきたのでしょう。新しい今井ギターも持っているのですが、やはり“僕の音楽を奏でてくれる楽器”ということで「ここぞ」という時にはこの楽器を使ってしまいます。ここまで僕の音楽と一体化してしまうとなかなか他の楽器に乗り換えられませんね。

無事終了

2006-06-09 23:20:24 | ギター
 「ギター二重奏によるスペイン音楽の歴史」無事終了しました。去年から一年がかりで選曲・編曲に携わってきたので気合いも入りました。去年選曲したときには気付かなかったのですが、ちょうど今年はフランシスコ・ザビエル生誕500年なのですね。どうりで今年はスペイン・ルネサンス音楽の演奏会が催されているわけです。そんな年にバルデラバノ、カベソン、オルティスを演奏することになったのは何かの偶然だったのでしょうか?
 早々とレポートを書いてくれた服部くんのブログ楠くんのブログでもこの3曲の評判が良いようです。さらにこの時代の研究を進めてギター・レパートリーの拡充に努めたいと思います。
 実は後半ももっとマニアックなプログラムにするつもりで、ハルフテルやトゥリーナ、ルイス・ピポーなども候補に挙がったのですが結局定番のアルベニス、グラナドス、ロドリーゴに落ち着いたのでした。またスペイン音楽だけのコンサートはやりたいですね。高田元太郎が一枚かむとひと味もふた味も違う演奏会になりますよ!

カリフォルニア・ジャム74

2006-06-09 00:44:01 | ギター
 日暮里サニーホールでのデュオ・コンサートが終わった。こういう集中度100パーセントの演奏会を終えた後はまったく別のことをして頭をクールダウンしないと眠れない。ってなわけで購入したもののまだ未試聴だったディープ・パープルのカリフォルニアジャム74のDVDをチョイス。
 パープルのカリジャムといえば僕が学生時代によく通ったフィルムコンサートの定番だった。フィルムコンサートというのは今の若者には分からないだろうが、ホームビデオも普及していなかった時代に海外のライブの映像などを映写するコンサートのことである。情報誌ぴあなどを見て、「ふむふむ今日は何処何処でカリジャムがあるな」などとチェックして足繁く通ったものだ。チェックしなくてもこのカリジャムは人気コンテンツだったらしくいきなり新宿アルタのアルタビジョンに男パープルの姿が大写しになったりして釘付けになったものだ。
 で、昔そんなに苦労して見ていた映像が簡単に自宅で見ることができるのだ。なんとフィルムコンサートでは見ることができなかった「レイ・ダウン・ステイ・ダウン」まで見ることができる。この曲はブートレッグで音だけは聴くことができたが、映像は見ることができなかった。映像なしで音だけで耳コピして演奏したものだ。それが今はリッチーがどう弾いてるのか映像で見ることができるのだ。よい時代になったものだ。
 やはし圧巻は最後の<スペース・トラッキン>だ。第3期が始動直後ということもあって、やはり二期の曲は観客のノリが違う。グレン・ヒューズのベース・ソロ、ジョン・ロードのキーボード・ソロ、リッチーのギター・ソロと延々とソロパートが続く。カヴァーディルは蚊帳の外で可哀想だ。しかしリッチーがこんなに何度もギターを交換していたなんて当時は気付かなかった。ギタークラッシュだけじゃ飽きたらず、マーシャルのヘッド、スピーカー、モニターとあらゆるものを客席に放り投げる。このパフォーマンスが終わった後ギターを持ち替えて演奏に戻ろうとするも音が出ない。うろたえるリッチー。マーシャルのヘッドをいじるも駄目だ。なんとシールドがアンプに繋がっていない。でもバンドは演奏を始めてフィナーレ(笑い)。結構笑えた。
 ガチガチのクラシック(しかもスペイン古楽のレクチャーコンサートのようなもの)を行った後にこんな記事を書くのもオツなものである。