マリ共和国の水の問題
(2009年のアクティブウォークで56団が作った紙芝居)
1.
アフリカの西のほうにマリ共和国という国があります。
この国は日本の約3倍の広さで1,160万人の人が暮らしています。
南の方にはニジェール川が流れています。
北にはサハラ砂漠が広がり、国の65%が砂漠です。
国民の70%が農業を仕事にしていて、綿花や米、キビ、アワなどを作っています。
気候は11月から5月にかけて雨がほとんど降りません。
地面が乾き、ニジェール川も水が減って、生活に必要な水が足りなくなります。
6月から10月までは今度は反対にたくさんの雨が降って生活に困った事がいろいろでてきます。
今日はこの国の水の問題についてお話しようと思います。
2.
雨が降らない時期の農村ではどのように水を汲んできているのでしょうか。
皆さんが今日歩いた距離の何倍もの道を毎日歩いて、女性や子どもが水を汲みにいっているのです。
しかも10kgも20kgもあるような水がめを頭に乗せて何往復も歩くのです。
どんなに大変な事でしょう。
今日おこなっているアクティブウォークは、アフリカの子ども達の水を汲む仕事がどんなに大変かを、
少しでもスカウトに実感してほしいと始まりました。
ところが、こんなに大変な思いをして汲んだ水には恐ろしいいろいろな病気がかくれているのです。
3.
では、どのようなところから水を汲むのでしょう。
私達のように水道が無いので、地面を10メートルほど掘った浅い井戸や池、沼から汲んできます。
水道のように清潔な透き通った水ではなく、土や砂や時には家畜の山羊や牛の糞や尿が
入ってしまっていることがあるのです。
このような水には微生物やミジンコが発生し、下痢やメジナ虫病、結膜炎の原因になってしまいます。
この水を飲む子ども達は、普段から下痢をしていて、なかには死んでしまう子もいるのです。
マリでは、5歳までに死んでしまう子が4.6人に1人もいるのです。
下痢は死んでしまう原因の約15%にもなっているのです。
4.
水が原因で起こるおそろしい病気の一つ「メジナ虫病」についてお話しましょう。
恐ろしいお話ですが、本当にアフリカの人達が苦しんでいることですから聞いて下さい。
メジナ虫の幼虫や卵を持ったケンミジンコがいる汚れた水を飲むとかかる病気です。
幼虫は人の体の中で大きくなり、長さが約1メートルにもなります。
メジナ虫は体の中を動きまわり、筋肉や内臓を傷つけ約一年後、肌を食い破って外に出てきます。
どんなに痛いことでしょう。
残念な事にこの病気になってしまうと治す薬がありません。
痛みに耐えて皮膚から出てきたメジナ虫を棒に巻きつけて取り除くしかないのです。
多くは足から虫が出てきますが、中には鼻から出てくる場合もあり、
息が出来ずに死んでしまう人もあるそうです。
5.
マリのように水が足りないとどんな事が起こるのでしょうか。
まず、野菜などの農作物を育てる水がありません。
農業が出来ないと、食べるものに困ってしまいます。
わずかな水でも育つヒエとかアワなどの雑穀を作るので栄養が偏ってしまいます。
このため水が足りない地域の子ども達は、栄養不良でお腹がポッコリとでています。
栄養不良だとお腹だけ出て、顔手足はがりがりにやせてしまっているのです。
そして、市場などで作物を売る事が出来ないのでお金に困ってしまいます。
お金が無いと、学用品を買ったり、学校へ行く費用が足らなくなるので、学校に通えない子が出てきます。
6.
マリの国の水の問題をいろいろ見てきましたが、
今日アクティブウォークで歩いた道のり、又これから歩く帰りの道のりの中で、
今この時も生きるために何倍もの道のりを重い水を運んでいる
アフリカの女性や子ども達に思いを馳せましょう。
そして、私達にも何か出来る事はないのか考えてみましょう。
最後にそのヒントとして、ガールスカウトにつながりのあるユニセフの取り組みを紹介しておきます。
世界中で毎日4100人の子どもが、安全な水や衛生施設が無いために下痢にかかり亡くなっています。
ユニセフはこのような状況を改善するために2000年9月ミレニアム開発目標をかかげました。
・ 2015年までに、安全な水を飲めない人の数を半分に減らす
・ 2015年までに、清潔なトイレを使えない人の数を半分に減らす
・ すべての学校にトイレと手洗い場を作る
ユニセフは、毎年90億ドルの資金があれば2015年までに、
困っている地域の人びとに安全な水やトイレを作ることが出来ると考えています。
これらの援助を必要としている国の80%はアジアとアフリカ地域です、と締めくくられています。
さあ、皆さんも考えてみて下さい。