傾聴ボランティア~緩和ケアにて~

~薬剤師・社会福祉士による小さなボランティア活動~

ある晴れた冬の昼下がりのことでした(1)

2009年01月23日 | 緩和ケア
緩和ケア病棟に毎日お見舞いに来ている奥さん。

けして近い距離ではありません。

電車とバスを乗り継いで、片道1時間近くかけて通っているのです。

奥さんは60歳を過ぎています。

通うのも体力的に大変で、もうクタクタ。限界です。

家事をする時間もないので自分一人分の食事も作らないまま、
なんとか毎日を生きています。

入院しているご主人は奥さんにあれこれ食べたいものを注文するので、
それらを作って自分で食べるくらい。

奥さんはこう言います。


『主人が死ぬか、私が先に倒れるか』



ご主人は病気のせいで、毎日お見舞いに来てくれている記憶がありません。

ご主人は奥さんに言いました。

『誰も見舞いに来ない。』

毎日来ていることを言っても伝わりません。

注文した料理もいつも一口しか食べません。


独立して遠くに住んでいる子供には

『もう少し行く回数減らしたら?』

『行ってもムダじゃない』

『自分がお母さんの立場なら行かないね』


それを聞くと『そうかな』と思う反面、

悲しくなります。

そしていろんな思いが頭をよぎります。

<つづく>

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