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書評・英国人記者が見た連合国戦勝史観の虚妄・ヘンリー・S・ストークス

2014-03-09 12:58:10 | 大東亜戦争

 大晦日に本屋で何か買おうと思って、タイトルでパラパラと見て買った。この手の本でも西洋人のものは、案外日本に対する偏見が見え隠れするものだが、この本には不思議な位ない。それは日本での滞在が長く、三島由紀夫などのいわば特異な人物との付き合いが深かったことも一因であろう。南京大虐殺を全否定するのも、経験などから日本人がそのような事をする民族ではない、という心証が背景にある。「戦場で女を強姦し、男を惨殺するというプロパガンダはまちがっている」(P216)と断言するのである。

 子供の頃の体験で、故郷を進軍する米軍の戦車と米兵を見て、「アメリカの若造が戦車でやって来て、まるで王であるかのように振る舞っていた」のに嫌悪を感じ「本能的にアメリカ軍がわれわれの国を支配するように感じた」(P20)ことも影響しているのであろう。実際米国は、大英帝国を破壊し、世界の覇権を握ったから子供の頃の直感は正しかったのである。

 本人は「私がユダヤ人や日本人に親しみを感じるのは、クエーカー教徒だからかもしれない」(P209)という。クエーカー教徒は少数者であり色々な差別を受けてきた。日本人やユダヤ人は優秀であり異端だから他の民族から嫉妬される。だからいわれなき「性奴隷」や「南京大虐殺」などのレッテルを貼られるのだという。

 東京裁判についても単純明快である。西洋諸国が世界中を侵略してきたのになぜ日本がアジアを侵略したと言われるのか。それは侵略戦争が悪いのではなく、「有色人種が白人様の領地を侵略した」からだ。白人が有色人種を侵略するのは『文明化』であって、その逆は神の意向に逆らう「罪」であるというのだ。(P39)

 ついでに日本軍の収容所に入れられた従妹から、一家が3年半悲惨な生活をしたと聞いた話がある。悲惨な生活とは、やわらかいトイレットペーパーがなく、聖書のページを破って使わなければならなかった、という程度のものだったそうである。小生の体験によればトイレットペーパーがなかったのは、当時の日本ではごく当たり前のことである。

 ユダヤ人を救ったシンドラーは実は金目的であった(P203)のだが、実際シンドラーは工場で使うユダヤ人を確保する目的だったのである。「ゴールデン・ブック」には、ユダヤ民族に貢献した外国人の名が記載されているのだそうだが、日本人としては樋口季一郎中将と安江仙弘大佐が記載されている(P202)。

 著者によれば本当にゴールデンブックに記載されるべき人物は東條英機であるというのだ。樋口少将が関東軍参謀長に二万人のユダヤ難民の満洲入国の境を求めたところ、「民族協和と八紘一宇の精神」に従って許可を与えた。この参謀長が東條である。東條は単に許可を与えたばかりではない。ドイツ外務省が日本政府に強硬な抗議を行ったが、東條は「当然な人道上の配慮」だとして一蹴した。東條は巷間言われるごとき思想なき有能な官僚なのではなく、信念の人であった。大東亜会議を積極的に推進したのも同じことである。

 意外だったのは、白洲次郎の人物評である。GHQとも対等に交渉したプライドある人物というのが一般的である。しかし、著者の見た白洲は少しばかり違う。「僕はボランティアではない」というのが口癖で、金儲けに目がない人物であった(P223)「私は白洲が傲慢で威張ってばかりいたから、好きにはなれなかった。自己顕示欲が強くて、いつも自慢話を言いふらしていた。・・・映画俳優のように男前で、流暢なイギリス英語を、反り返って、まるで人を見下すように話した。自分が関心を持たない人物がそばに来ると、無視するようにそっぽを向いて、無礼な態度をとった」(P223)。著者によれば唯一の長所はイギリス人が驚嘆する博覧強記である。


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