自民、公明両党は14日、平成30年度与党税制改正大綱を決定した。年収850万円超の会社員や高収入の年金受給者が増税になる所得税改革を32年1月に実施。たばこ税も段階的に引き上げるほか、観光促進や森林整備の新税も創設し、個人にとって増税となるメニューがずらりと並んだ。その一方で、賃金を引き上げた企業の法人税を大幅減税にするなど、企業優遇が際立つ改正ともなった。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は、大綱決定後に記者会見し、今回の改正により国税と地方税を合わせ全体で約2800億円の増税になることを明らかにした。30年度の税制改正案は政府が今月22日に閣議決定。関連法案を年明けの通常国会に提出し、来年3月末までの成立を目指す。
所得税改革は、高所得者の給与・年金にかかる税金を増やす一方、自営業やフリーで働く人は減税になるよう見直し多様な働き方に対応できるようにする。
改革は、税負担を軽くする控除を見直す形で、実施する。全ての人に一律38万円適用される「基礎控除」を10万円増額(減税)。会社員に適用される「給与所得控除」は10万円減額(増税)した上で、控除を年収850万円で頭打ちとし、控除額の上限を現在の220万円から195万円に下げる。
年収850万円超の会社員は増税になるが、22歳以下の子供や介護が必要な家族がいる人は増税の対象外とした。また、給与所得控除が適用されない自営業やフリーで働く人は、所得が2400万円を超えない限り減税恩恵が受けられる。
今回の見直しで増税となる対象は公務員を含め230万人程度。一連の改革に伴う税収増は約900億円となる見込み。大綱には、今後も所得税改革の議論を継続する方針を明記した。
30年度改正では紙巻きと加熱式のたばこ税を段階的に増税。新税として出国時に徴収する「国際観光旅客税」と森林整備に充てる「森林環境税」を創設する。企業向けでは3%以上の賃上げや設備投資などを条件に、法人税の実質負担を最大20%まで減税する。