面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「うた魂♪」

2008年05月04日 | 映画
私は、美人で歌がうまい。
みんな私の歌を聞いている。
ああ…私は、歌っている私が好き♪

究極の自意識過剰「自分可愛い」女子高生・かすみ(夏帆)。
ある日、思いを寄せるイケメン生徒会長・牧村(石黒英雄)から、趣味の写真撮影の被写体として、「歌っている姿を撮らせてほしい」と頼まれ、自分の美貌と才能に対する自信は、最大限まで膨らむ。
ところが、あろうことか牧村から、「歌っている顔がシャケの産卵みたい」と言われ、一気に自信喪失・自我崩壊。
人生の奈落の底へと落ちたかすみは、合唱部を辞めると顧問の裕子(薬師丸ひろ子)に相談するが、最後のステージとして出場を勧められた大会で、権藤洋(ゴリ)率いる“ヤンキー合唱部”による魂のこもった合唱を見せつけられ、本当の合唱に、本当の「歌」に目覚める…

「しゃべれどもしゃべれども」を思い出した。
歌うことも落語することも、ありとあらゆるパフォーマンスの、その根底に流れるものは同じ。
いかに正しく、上手に、キレイに、見栄え良く“表現”しても、観客の心には届かない。
「この歌を歌いたい」「この思いを伝えたい」
パフォーマンスに“思い”がこめられていなければ、パフォーマーの声は、観客の表面をただ通り過ぎていくだけだ。

“ヤンキー合唱部”が熱唱する尾崎豊が心を揺さぶってくる。
「盗んだバイクで走り出」した尾崎の歌に共感する彼らは、尾崎の歌を歌うことで自分たちの心を解放することができ、その幸せを全身を使って表現する。
あんな合唱部を見たら、マジ感動してしまうぞ。

あらゆるパフォーマーは必見の佳作。


うた魂♪
2007年/日本  監督:田中誠
出演:夏帆、ゴリ、石黒英雄、徳永えり、亜希子、薬師丸ひろ子