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クリントン長官ナイジェリア訪問 Courting Nigeria’s Good Will

2009-08-13 | グローバル政治
2009年8月13日(木)

オバマ大統領は、先にアフリカの民主主義政体とその政策に関する優等生であるガーナを、「大地の子」として訪問して外交成果を上げた。その後を受けて、アフリカ歴訪中のクリントン国務長官は、外交手腕が問われる、「難しい国々」への訪問を続けている。 

同長官が、7カ国中の5カ国目として現在訪問しているのは、人口1.5億人の大国で、米国がその石油輸入を大きく依存しているナイジェリアである。この国では、部族問題を原因とする内乱により、石油パイプラインや関連施設の爆破が慢性的に起こり、石油輸出に時折障害が出る。

そして何よりも大きな問題は、汚職の蔓延である。Transparency Internationalが毎年発表する180カ国に関する腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index)のランキングでは、同国は121位である。

ちなみに直前に訪問したコンゴ民主共和国(旧ザイール)は、171位、ケニアは147位。一方オバマ大統領が訪問したガーナは、67位でいかに、同大統領がうまく訪問国を選び、クリントン長官には、難しい国を押し付ける結果となったことがわかる。

ナイジェリアでの同長官の発言は、あくまでもソフトタッチ(a noticeably softer tone)で、リベリアやシエラレオネ内戦への平和維持軍の派遣でのナイジェリアの貢献を賞賛した。これをThe New York Timesは、「クリントン、ナイジェリアの歓心を買う発言」(Clinton Courts Good Will in Nigeria)との見出しで報じている。

しかし、腐敗の蔓延問題に質問が及ぶと、とたんにあいまいな発言に終始した。「ナイジェリア政府による、透明性向上、腐敗の減少、そして清潔な2011年の総選挙のための努力を応援したい(support and encourage)。」 としか発言しなかった。

そして、最近、北部地域のイスラム教徒の暴徒鎮圧と称して村落を警察が制圧したが、700人が殺害され、「生け捕った」と発表された首謀者の射殺死体写真を公開して国際的な物議をかもしている事件についても、質問に答えなかったのである。

石油供給と軍事協力を得るために、普段厳しく糾弾している腐敗や独裁、人権抑圧問題に目をつぶるのは、二重基準の適用である。米国の外交が戦後犯してきたこの問題が、今回のクリントン長官の対応の中で、改めて浮上してきた。同長官は、直前のコンゴのキンシシャでの公開討論で、感情を激発したことに続いての失点となった。




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