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オバマ、クリントンをレバノンに派遣 Moderation is important

2009-04-28 | グローバル政治
2009年4月28日(火)

中東訪問中のクリントン国務長官を、レバノン大統領との数時間の会談のために、突然レバノンに派遣した。クリントン長官の直接の目的は、レバノンの総選挙を6ヶ月後に控えて、シリアとイランの影響下にあるイスラム過激派ヒズボラ(Hezbollah)の勢力伸張を阻止することにあった。

そのためにクリントン長官は、現在の穏健派の、スンニ派モスレム教徒とキリスト教徒による現連立政権を支持し、支援することを約束した。クリントン長官は、"I think moderation is important in the affairs of states." (政権担当するには、ほどよい穏健さが重要である)と発言したが、その意味は「現連立政権は弱体ではあるが、穏健である限り米国は支援する」ということにある。

しかし、クリントン長官の、今回の突然のイラクとレバノン訪問の本当の意図は、米国が、両国を見捨てる外交政策に転じたのではないことを確認して、両国の現政権を安心させる(hand-holding)ことにあったのである。

まず、戦闘部隊を撤兵させるイラクに対しては、「イラクから撤兵しても、イラクを見捨てる(abandon)ものではない」と確約した。また、米国は先月シリアに外交交渉団をシリアに送って、関係改善の糸口を見出そうとしているが、このことに関して、レバノンに対して、“The United States will never make any deal with Syria that sells out Lebanon and the Lebanese people.”と、sell-out(裏切り)は、絶対にしないことを言明したのである。

ところで、今回長官を乗せた飛行機が、バグダッドから実質敵国としているシリアの上空を通過する航路を取ったことが注目される。これは米国とシリアの間に何らかの関係改善の合意が成立していなければありえないことで、先手(gambits)を打って、有利にことを運ぼうとするオバマ大統領は、航路選択という形でも、そのメッセージを中東世界に送ったのである。



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