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オバマの南米との関係改善 “I want to be your friend”

2009-04-20 | グローバル政治
2009年4月20日(月)

トリニダード・トバゴの首都ポート・オブ・スペインで開催されたラ米・カリブ海諸国会議に出席したオバマ大統領は、会議を総括して、「長く対立関係にあったキューバやヴェネズエラとの関係の雪解け(thaw)の可能性に感触を得た。今後、これが本物になるかの試練(test)は、単なる言葉でなく実行に移せるかどうか(not simply words but deeds)だ」と語った。

オバマ大統領総括の言葉で、注目すべき表現がある。(ヴェネズエラやキューバなどの、対立関係にある諸国とは、まだその溝は深いが)、「互いに意見の違いを尊重し合える仲になった(respectfully disagree)」という言葉である。この言葉は、まさに外交の基本である。

今後は、キューバの会議への復帰が、日程に上ってくるが、米国内部の保守派のオバマ政権の外交政策に対する反発も高まることは必死である。キューバ問題のみならず、オバマ大統領はいよいよ、「就任後100日」のハネームーンが過ぎて本格的な政策運営に取り掛かることになる。

ところで、番外ながら、オバマ大統領とヴェネズエラのチャベス大統領とのやり取りは注目に値する。CNNなどのTV中継を見る限り、最初に会議開始前にオバマ大統領が、チャベス大統領のところに歩み寄り、握手を求めたのである。チャベス大統領は、「あなたと友達になりたい」(I want to be your friend)と英語でいったとのことであるが、あとで、「同じ言葉は、ブッシュ大統領に8年前にも言った。そして、この同じ手で握手をしたのだ」と付け加えたという。関係改善は米国次第だ、というわけである。


また、チャベス大統領は、オバマ大統領に一冊の本を贈ったのであるが、その本の題名は、"Open Veins of Latin America: Five Centuries of the Pillage of a Continent."。30年以上も前に、Eduardo Galeanoという歴史家によって書かれたもので、題名を無理に訳すとすれば、「ラテンアメリカの静脈の分析ーひとつの大陸の500年の略奪の歴史」となるが、南米大陸というからだの中の静脈と見立てた、金・銀・カカオ・綿・アルミ・鉄・石油・ニッケル・マンガンなどの資源という文脈から、欧米が行った略奪を叙述した内容であるという。早速この本の英訳版は、アマゾンのベストセラーになっている。




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