世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

フランス大統領選、サルコジ大統領、社会党オランド氏に後塵

2012-01-08 | 2012年、四大大統領選挙の現状

2012.1.7

The Financial Times土曜版が、フランスの大統領選の動静を伝えている。

その見出しは、”Sarkozi and Hollande lock horns”(サルコジとオランド角遂)となっているように、大統領選緒戦となる最初の選挙はまだ3か月先であるというのに、すでに二人の間の対立は激しい。

世論調査結果は今のところ社会党のオランド氏が常にサルコジ氏をリードしているが、普段は冷静なことで知られるオランド氏の舌鋒は鋭い。同氏はサルコジ大統領を公開書簡でその失政を次のように論難した。

“The country under Mr Sarkozy had been “humbled, weakened, damaged and degraded”(サルコジ大統領のもとで、フランスは屈辱をなめ、弱体化し、傷つき、そして格落ちしてしまった)。degradedという表現は、格付け機関がフランスの信用度を、近く最高位のAAAから「格下げ」しようとしていることを指している。

今のところ、サルコジ大統領に挑戦している候補の中で有力なのは、社会党のオランド氏と、反ユーロ、EU離脱を主張する国民戦線(national Front)の、マリーヌ・ル・ペン女史、中道右派の民主化運動(Democratic Movement)のフランソワ・バイロウ氏の合計3人である。

フランスも公的債務の膨張が重大な問題であることに他のEU諸国と変わりがない。その上に既報のごとく原子力政策で社会党と緑の党連合から深刻な挑戦を受けている。そのような中で、サルコジ大統領はどんな巻き返し策を打ち出してくるかが注目される。

米国大統領選を理解するために

2012-01-05 | 2012年、四大大統領選挙の現状
2012. 1. 5.

共和党のアイオワ州党員大会結果が出たことを昨日報じたが、米国大統領選挙を、ひいては米国の政治を正しく
理解するためにには、献金活動の実態を理解し、さらには:

1)民主党と共和党の各々が主張する「自由」の概念には天と地ほどの差があることを理解すること
2)人種的な差異の問題、特にユダヤ人の隠然たる支配力を理解すること
3)宗教的・道徳的価値観を無視して、経済的合理性のみを追求すると大統領にはなれないことを理解すること

が、重要である。

各々について、読みやすい参考書を紹介しておこう:

1)マイケル・サンデル 「公共哲学」(ちくま学芸文庫)
2)土井敏邦 「アメリカのユダヤ人」(岩波新書)
3)飯山雅史 「アメリカの宗教右派」(中公新書)



米大統領選、アイオワ州共和党党員大会の超接戦で、候補者選びの行方は混沌

2012-01-04 | 2012年、四大大統領選挙の現状
2012.1.4

11月の大統領選挙の候補者になるには党の候補者選びのプロセスを長期戦で勝ち抜く必要があるが、その長い道のりの第一歩が、アイオワ州の共和党党員大会で踏み出された。

その結果を“The Financial Timesは、"Romney ekes out Iowa caucus victory"(ロムニー、アイオワ党員大会選挙で辛勝)と報じている。

各候補者の得票と得票率は、次の通りであるが、前マサチューセッツ州知事Romney氏が前ペンシルバニア州上院議員のSantorum氏にわずか8票差で勝利を収めた。

Mitt Romney    30,015 (25%)
Rick Santorum    30,007 (25%)
Ron Paul    26,219 (21%)
Newt Gingrich    16,251 (13%)
Rick Perry    12,604 (10%)
Michele Bachmann    6,073 (5%)

Tea Partyなど保守主義者と地方のキリスト教団体の支持を受けるSantorum氏が踏ん張り、共和党には珍しい自由主義者(Libertarian)Perry氏が事実上の撤退を発表するに至ったことは、共和党のオバマ大統領と政策論争で、共和党はさらに保守主義傾向を強めていくことになると観測される。

一方、共和党の有力候補と目されていたGingrich氏が、選挙前の個人攻撃広告の影響を受けていわば「惨敗」という結果に終わったのは、同氏にとって屈辱であり、広告を出した人たちとつながっている、Romney氏を"liar"とまで言い切って反撃を開始した。

これから共和党の党員大会ないしは、予備選挙が11州で行われ、党員集会が集中する3月6日の"Super Tuesday"で前半戦での候補者絞り込みが完了する。誰がそれまで生き延びているか。

一方民主党内で対立候補が事実上いないObama大統領も、世論調査による支持率は芳しくなく共和党の内部での戦いを洞ヶ峠を決め込むだけの余裕はない。

日本のように、「政局」と呼ばれるコップの中の嵐で首相が選ばれ短期で放り出される仕組みとは全く異なる民主政治のやり方が、各国の大統領選挙である。じっくりと米・仏・韓・露の大統領選挙を観戦すれば、世界はどう動いているのかが良くわかる。




ロシア大統領選: プーチン首相の大統領選出に「黄信号」

2012-01-03 | 2012年、四大大統領選挙の現状
2012.1.2


31日付けのモスクワ発のロイター電は、「ロシア政府は抗議デモ参加者60人を逮捕」と報じ、それをFinancial Timesが転載している。

12月4日の議会選挙後、選挙の不正操作に怒りの声を上げるデモがロシアで相次いでいるが、厳寒のモスクワ市内各所で発生したこの日のデモは、反プーチン勢力の声が沈静化していないことを如実に物語っている。

そして、このデモは、来る3月の大統領選での、「プーチンの大統領返り咲き」、ないし「メドベージェフ現大統領との政権たらいまわし」に対する民意の離反であり、「プーチン帝国の腐敗構造」への明確な「ニエット」である。

さて、プーチンの新年あいさつなるものを見てみよう。

「2011年も押し詰まったが、危機はここかしこで起こっている。集会や選挙も行われているが、こうした事態に対して、国民に対して何を願っておられるか?」との国営メディア「Voice of Russia」 のインタビューには次のように答えている。

「まさに世界経済はおっしゃるように安定化していない。そうした中、ある意味、ロシア国内には種々の心配の種があるにはあるが、「安定した島」のようなもの。

すなわち世界が苦しむ経済危機からは、すでに我が国は脱したといえる。わが経済には勢いが付き、来年こそ良い年になると確信している。

今、混乱状態にあるので、こういう時には政治家は選挙民の心理を操ろうとするのだ。すべてが、大変動のさなかで荒れているが、これは民主化したことの避けがたい代償である(the inevitable cost of democracy)。特に異常なことは何もない。(There’s nothing unusual here)」と言い切っている。

抗議行動はこの年末放送の直後に起こった。

このプーチンの不敵とも取れる発言は、選挙を力でねじふせる自信の表れなのかもしれない。しかしもう一度、選挙の不正操作や、力での弾圧、金銭による買収があからさまにおこなわれたら、今度は国際世論が許さぬ事態となるであろう。

仏大統領選挙、争点は原子力の是非。社会党と緑の党の共闘体制でサルコジは窮地に。

2011-12-31 | 2012年、四大大統領選挙の現状
2011.12.31

フランスでは、ここ何十年にわたって「原子力発電はエネルギー政策の中核」とする世論が支配的であり、その結果58基の原発が、フランスの発電量の3/4を発電するという原子力大国を形成してきた。

しかし、この盤石とみられてきたコンセンサスを根底から揺さぶった(unified support for nuclear power is crumbling)のが福島の事故であるとBusinessWeekが論評している。

大統領選挙を控えて野党社会党と緑の党の間で反原発を軸に共闘関係が成立し、11月15日に至って、両党は共同声明を発表し、「2025年までに24基の原発を廃棄する」と宣言したのである。

さらに、社会党が大統領選に勝利したら、運開後33年経過しているドイツ・スイス国境近くに立地するFessenheim原子力発電所を閉鎖すると発表した。

社会党党首のFrançois Hollande氏は、「まさに石油で動く輸送機関と原発に依存する発電からの決別の時は来た」(“about moving progressively away from all-oil for transport and all-nuclear for electricity,”)と左翼系有力紙Le Mondeに寄稿し、反原発ののろしに点火した。

これに対してNicolas Sarkozy大統領は、「そんなことをすれば、何十万人の失業者、電気料金の引き上げ、重工業の空洞化が起こる。ろうそくの時代に逆戻りすることを許すことはできない。進歩に恐怖し、進歩から逃避した中世を再現させるのか」とかみついて反撃に出たのである。

しかし、従来は原発に賛成していた労働組合や、原発推進に熱心であった議員が多数いた社会党が反対に回り、そして社会党・緑の党連立体制が現出した今、世論も、「原発反対」が優勢になっている。

Nicolas Sarkozy大統領は経済政策でも人気を失っているさなか、原発政策でも世論を敵に回すと、社会・緑連立勢力を抑え込むことは、ますます難しくなる。年明けにフランス政府の政策の方向性を示せねば、国民の信頼を一挙に失う危険性が高い。

韓国大統領選挙:北朝鮮新政権の韓国大統領選挙への影響力行使開始

2011-12-31 | 2012年、四大大統領選挙の現状
2011.12.31

北朝鮮の政権の世襲交代は、当然のことながら韓国の政局に大きな影響を与えている。

特に大統領の任期が2013年2月24日までとなっており、今年行われる大統領選挙において、Lee Myung-bak現大統領が再選されるか否かにも重要な意味を持ってくる。

北朝鮮労働党は故Kim Jong Il(金正日)労働党総書記の後継者Kim Jong Eun(金正恩)氏を人民軍最高司令官に推戴した。国防委員長、党総書記のポストにも順次就任する見通しであるという。

このニュースの直後に出された国防委員会(National Defense Commission)の声明文は、「弔問団訪朝」を制限した韓国政府に対して、"We will surely force the group of traitors to pay for its hideous crimes committed at the time of great national misfortune," (この大きな国難に際して、残忍極まりない犯罪行為に走った国賊どもにその代償を必ず支払わせる)と激越な調子である。

そして、「逆賊Lee Myung-bak一味は永遠に相手にしない」(North Korea would shun Mr. Lee's government "forever,")という表現が使われていて、Kim Jong Eun氏が、両国関係の緊張緩和策をとるのではないかとの期待は完全に粉砕されたというのが海外メディアの分析である。

これらの激越な言葉の下敷きには前政権の「太陽政策」"Sunshine Policy"を白紙還元し、経済支援を打ち切ったLee Myung-bak現大統領に対する北朝鮮側の積年の鬱憤もあることは間違いがないとも指摘されている。

忘れてならないのは、北朝鮮側の声明には必ず重要なメッセージが、常にそのレトリックの裏側にこめられていることである。すなわち、激越なレトリックに目を奪われて本質を見失ってはならないのである。

若い後継者の権力確立を急ぐ中、新たな軍事行動の兆候があるのか否か、韓国大統領選挙に影響力をどのような形で行使しようとしているのか、米中政府は必死に情報収集と、分析を行っているであろう。

日本政府にその能力はあるのだろうか。

米国大統領選挙: 大統領権限の超法規的拡大、是か非か

2011-12-30 | 2012年、四大大統領選挙の現状
2011.12.30

29日付けのThe New York Timesが、共和党大統領候補への出馬を表明したNewt Gingrich, John M. Huntsman, Ron Paul, Rick Perry, Mitt Romneyの6氏に大統領の超法規的権限開戦決定権、「国家の敵」容疑者の殺害(target killing)指令権を認めるか否かのアンケートを行い、その調査結果を発表している。

Texas州出身の議員であり、自由主義者(libertarian)であるRon Paulを除いて全員が、非常事態における大統領権限の拡大(expansive)を容認すると回答している。

すなわち、こうした「緊急行動が国家利益にかなう」と判断される事態においては、大統領は最高裁判所の司法判断に優先して、軍事行動を指揮したり、テロや国家反逆の容疑者の殺害を指示できると主張していることは注目される。

Gingrich氏に至っては、大統領の行政権(executive power)の拡大を主張し、最高裁の判断を合法的に無視してよい( presidents may lawfully ignore Supreme Court rulings) と言ってはばからない。

大統領権限の超法規的拡大は、George W. Bushが、911以降の中東における軍事行動や、テロ容疑者の逮捕・拘束・尋問を行うに際して取ってきたのであるが、前回選挙中こうした大統領の行動に疑問を呈していたObama大統領も就任以降は、実質的にその政策を継続している( overruling Justice Department and Pentagon lawyers )。ビンラディン殺害や、リビア攻撃・カダフィ殺害などの軍事行動はこのオバマ大統領の翻意に基づくものである。

米国の三権分立原則と、非常時の大統領権限強化の矛盾は米国の憲法論議にとっては極めて重要であるが、911以降は「愛国」と「ならず者国家(rogue countries)」撲滅論をベースにする感情論が優勢である。

サンデル教授のご意見を聞きたいところである。

米国、感謝祭小売売り上げ大幅上昇  “Black Friday” On-line

2011-11-28 | グローバル経済
息苦しいニュースが続く米国経済の中、感謝祭明けの金曜日の小売売り上げが前年比で6.6%と、大幅上昇したとFinancial Times が論評している。

感謝祭は木曜日、そして土日にはさまれた金曜日は”Black Friday”と呼ばれる。小売業にとってまさに書入れ時で、帳簿を黒字にできる日という意味での”Black”である。

米国小売業のこの日の売り上げの前年比は、2007年 +8.0%、 2008年-0.9%、 2009年+4.8%, 2010年+0.3%と推移してきた。多少の雇用情勢の好転(a slight fall in job insecurity)があったことをこの好転の理由としているが、さらにもっとも重要な理由として、小売業側ののるかそるかの(a make-or-break period for many US retailers)の勝負の成功であると解説している。

特にオンライン売り上げが前年比24.3%上昇したことは、Smartphoneの普及(the surge of smartphone shopping)が大きな後押しになった。

また大型小売店は終夜営業や、朝4時からの早朝営業を行ったことも集客に大きく寄与したが、なんと言っても、大幅な値引きを行ったことの効果も無視できない。

深夜の買い物に来て、レジに並んだ客が、最後までsmartphoneで価格をチェックしている姿が、今後の小売業のあり方を象徴しているといえる。

Super-Rich and Super-Elites to emigrate from China 中国のリッチとエリート海外逃避本格化

2011-11-06 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2011-10-06

中国のエリート層が資産の海外逃避を図っている(shifting some of their money abroad)というのは何年も前からよく知られてきた事実であるが、いまや、彼らはいまみずからとその家族を海外に脱出させて、祖国に見切りをつけようとしていると、4日付けのFINANCIAL TIMESが北京と上海発の記事で活写している。

先週金曜日、北京の「金ぴかのホテル会場」(The gaudy, gold-lacquered ballroom of the Legendale Hotel)で開催されたのは、欧州の金持ち向け不動産業者によるフランスの古城、カリブ海の島、マンハッタンのペントハウスの即売会であり、会場は立錐の余地もなかったという。

こうした豪華資産の即売会はここ2-3年盛況を極めているが、何とも言ってもその魅力は、一回の取引で巨額の現金を一気に海外に逃避させることができることにある。
そしてこの記事が最も強く伝えようとしているのは、この資産保有高1000万元(160万ドル)以上を有するエリート集団の60%の人々が, 資産のみならず、海外移住の準備を始めている、ないしは検討中というBank of Chinaの調査結果である。

これらの海外逃避を試みる人たちの、第一の不満は急激に都市化した中国での暮らしにくさである。交通混雑に加えて、想像を絶する大気汚染が、彼らの”quality of life”を著しく侵していると感じている。

そして日常生活のあらゆる局面に蔓延する、わいろの横行に耐え切れないと不満が爆発している。「食の安全、環境問題は日々悪くなっていくばかり。学校の先生にちゃんと教育してもらうための付け届けがますます必要となっている」というリッチ主婦の声を掲載している。医者に行っても袖の下を出さねばまともな治療を受けられないというのが中国なのだとFTが解説している。

さてこのエリートとされている階層とはどんな人たちか。それは共産党幹部、億万長者、有力政治家の家族たちである。彼らはその地位とため込んだ資産の保全に危うさ(insecurity)を感じ始めている。「いつ何時、この資産を取り上げられるかもしれないという恐怖」が強くなり始めているのだ。

中国には、いわゆる「法治制度」は存在せず、権力や権限を持った役人による「人治制度」が、社会を制御し、支配している。法の下の公正、平等、保護という建前すらいまだ確立していない。

インターネットに刺激を受けた階層が、あまりの格差と社会的不公正にその不満を爆発させ始めているが、さすがに政府もこれを黙過できず、おざなりの贈賄・収賄取締くらいでは、新しい世代を抑え込めないので、特権階級の地位のはく奪や資産の没収といった強硬政策を「本気」で実行する事態が来るのではないかとエリートたちは心配し始めている。

これがかれらの海外「逃亡」の本当の動機である。中国のわいろの横行はますますひどくなるばかり。格差への民衆の怒りの温度もうなぎ上り。スーパーエリートとスーパーリッチが、大金とともに祖国にグッドバイというのも中国5000年の智恵である。

中国、地方財政破綻防止のため自治体起債を許可 The local government debt burden

2011-10-22 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2011-10-22

Financial Timesは、中国政府が、上海市、浙江省、広東省、新セン市の4自治体に3年物と5年物の起債を認めたことを、重要ニュースとして報じている。

これは省や特別市が、2008年のリーマンショックの波及に驚いた中央政府の指示によって、巨額のインフラ投資を半ば強制されて、半ば便乗して行った際に、その資金を賄うために巨額の借り入れを行ったツケを払う時期が来たことを如実に示している。

中国政府は、地方政府の放縦な財政運営で破綻することを恐れて、地方が独自の起債をすることを1994年以来禁じている。しかし地方自治体は、特別目的会社(Special Purpose Company)を設立して、実質的に巨額の借り入れを行って、その「禁令」を骨抜きにしてきた。その実態は、怪しげ(murky)で、野放し(unregulated)であるとFTは評している。

中国には「決定事項について人々が抜け道を考え出す」という意味で使われる「上有政策、下有対策」という有名な言葉があるが、このまさにその言葉通りのことを省政府が行い、中央政府が黙認するという、いわば「大人の政治」が行われてきたわけである。

FTによれば、2008年の北京オリンピックと同時期に世界的にリーマンショックが走った際に、地方政府は、中央政府から景気刺激のための公共投資の積み上げを命令されたことを奇貨として、この仕組みを「活用」した結果、2007年の借り入れ総額4兆元が、2008年に14兆元に跳ね上がっている。

問題はさらに深いところにある。これらの借入金の使途が、採算の立つ見込みがない案件への投資がかなりあるとみられるため、地方政府が早晩債務不履行に陥る可能性が高いことが懸念されているのだ。

大半が、土地使用権を担保にした不動産投資に向けられていて、不動産バブルの原因となっている。このため中国の景気減速によって、バブルが崩壊すれば直ちに金融機関の破たんの懸念に繋がる。そして地方政府は土地使用権の販売で資金を作ってきたが、来るべきものは、いつか必ず来る。したがって上記4自治体のほかにもさらに地方起債を認めざるを得なくなると観測されている。

「オリンパス英人社長追放が写す」日本的経営の問題点 Anti-social Forces

2011-10-19 | 世界から見た日本
2011-10-19

先週からfinancial Timesや、The Wall Street Journalなどの一流経済紙は、オリンパスの菊川会長(70)が先導して、英人社長社長Michael Woodford氏(51)を就任6か月で解任したことを、好奇の目で報道を続けている。

解任の理由を会社側は、「経営の方向性と手法の違い」(“differences in management direction and methods”)と説明しているが、Woodford氏の主張は大きく異なる。

同社は2008年に英国の会社を約2000億円で買収した時に、アドバイザーを務めた会社に謝礼金として約700億円を支払っているが、「この額が過大であるだけでなく、その会社は謝礼金を受け取ったあと清算されて関係者は行方不明という事態となっていることに関して事実を糺したにもかかわらず、会長や関係役員は説明責任を果たしていない」というのが同氏の主張である。

本日のFinancial Timesの見出しは、「オリンパス、会長の謝礼金(は半額だった)という説明に矛盾露呈」(Olympus contradicts chaiman over fees.)となっている。会長が、「元社長の主張額は間違っており、謝礼金はその半分だった」と反論した翌日に、「やっぱり元社長の額が正しかった」と訂正したのである。そしてFTは通常の謝礼額は、取引額の1%が相場だと説明を加えている。

元社長は、この不明朗支出には、「金銭上の不正行為の疑いを排除しない」(financial misconduct could not be ruled out)との監査法人の意見を取り付けているが、「本件には反社会勢力(anti-social forces)がかかわっているらしいという雑誌報道を読んで震え上がった」と述懐している、とFTは報道している。

さらに「会社側は、ここ数年間で734億円を払って買った有象無象の会社を、買収後ほどなく清算してしまった、との元社長の主張を認めた」とも報じている。

廊下に落ちたチリを気にするほどきめ細かいことまでに神経を使いながら、会社のトップが、怪しげな資金導入に絡んで大きな詐欺事件に巻き込まれて巨額損失を出したり、反社会勢力に絡め取られたりすることが周期的に起こるのが日本の企業文化」の特徴である。

「占拠運動」は燎原の火のごとく広がるか “The Occupy Wall Street”

2011-10-16 | グローバル政治

2011-10-16

今週末の新聞各紙は、米国発の「ウォールストリートを占拠しよう」デモ(“The Occupy Wall Street Demonstration”)が、全米各地のみならず、全世界的な広がりを見せていることを大きく取り上げている。

その源となったNew York Cityでは土曜日、マンハッタンの Washington Square Parkで深夜に集合した人々が、北上してTimes Squareで約1,000人の集会を行ったが、解散させようと躍起となる警察との小競り合いの末に、80人の逮捕者を出して終息したと報じられている。

集まった人たちの矛先が向かうのは、銀行を中心とした金融界である。デモ隊が叫ぶのは、"Banks got bailed out. We got sold out," (銀行はリーマンショックから、政府の金で救済された。しかし我々は結局裏切られた。我々は長期に失業し、ローンが払えず家を失い、健康保険にも加入できない、我々の貧しさは深刻化するばかりではないか)。

USA Todayは、AP電を引用して、デモ隊のプラカードに書かれた "Keep your corporate hands off my government," and "Mr. Obama, Tear Down That Wall Street."という訴えを紹介している。「ウォールストリートよ、私の政府の政策決定に手出しをするのはやめよ。オバマ大統領、ウォールストリートの解体を」。放縦な貸し出しで巨額の損失を出し破たんした大銀行が救済されたのは2009年。ゼロ金利と、QE1とQE2と呼ばれる大規模なドル資金の供給が行われて金融界は立ち直った。


国家財政破たんから、経済危機に苦しむ欧州各国でも、銀行救済措置を優先し、庶民の苦しみが放置されていることに「怒れる人民」("the indignant")のデモが各都市に広がっている。特にローマでは、ついにデモは週末暴徒化した。

この「占拠運動」への人民の動員はインターネットが裏側から支えている。アラブ国家と社会を長年牛耳ってきた軍事独裁政権を内部崩壊させた同じ力が、西欧民主主義国家を内部から揺さぶり始めた。「選挙制度」を通して民意を反映するはずであった、民主政治システムは実は大いなる虚構ではなかったのか。そのような問いが発せられているのかもしれない。

中国になぜ「Steve Jobs」は出現しないのか “Not a Chance”

2011-10-09 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2011-10-09

PCとインターネットを万人のものとする技術革新を実現させ、Appleというビジネスモデルを創出して、20世紀後半から21世紀初頭の人類社会を大きく変革した巨人Steve Jobsがその短い人生を終えた。

まさに「巨星、墜つ」の衝撃を世界に与えたが、5億人のインターネット人口をすでに持つ中国でもその死を悼む声が、ネット上に多く出現している。

それを伝えるThe Wall Street Journalの7日の電子版の見出しは、「中国のインターネット:なぜ中国にはSteve Jobsが出ないのか?」(China’s Internet: Why China Has No Jobs)となっている。

同紙は、「中国のネット上の議論は、常に問題の核心が中国政治・社会の問題点に収れんしていく」として、「独裁国家体制、独占企業体制、万事後ろ向きの国民文化、蔓延する技術盗用のわが国で、『イノベーションの神様』の話?あり得ない。考えるのも無駄だ」(Not a chance! Don’t even think about it.)とのある文化人のブログを紹介している。

さらに、「今や世界の工場としての中国は、競争相手を倒すことに血道を上げる国になったが、業績はApple並みに上がっても、その製品の革新性においてAppleとは、比べるべくもない」との自己反省のブログ論評も紹介している。

一方、その原因を極める議論の中で、「それは、中国人が劣っているわけではない。教育に問題があるのだ。中国では人と違っている才能を伸ばすのではなく、その角をこすり落として丸くさせる金太郎あめ教育に専念するのが中国の教師だ」との大学教授の意見を引用している。

「もしAppleが木になった果物とすれば、その果物を育てた木の枝は、「思想と革新の自由」であり、根っこは「立憲民主制度」にある。独裁国家は集団でことをなすことには向いているが、科学技術の天才を育てることはできない」と言い切る大学からの意見を紹介し、さらにそれを補完するように、「その幹には、法治精神と知的財産権の尊重がある」という投資顧問会社幹部の指摘を紹介している。

さて、この理由づけが正しいとすれば、日本にもSteve Jobsは現れず、世界の工場でもなくなりつつある現実をどう説明すればよいのだろう。

名門コダックの孤独:特許切り売りでも出血止まらず Burn Through Cash

2011-10-01 | グローバル企業
2011-10-01

本日のThe New York Timesは、131年の名門写真フィルムメーカー、イーストマン・コダック社の経営危機を、「コダック、倒産のうわさの中、法律顧問と契約」との見出しで報道しているが、このニュースに同社株価は、金曜日のNY市場で54%下落し、同社は格付け機関Moody’sによって、「ジャンク」まで格下げされてしまった.


アナリストの一人は、「倒産のうわさは波紋を呼んでいるが、これはそうした連鎖反応(cascading effects)の一部である。いわば滝壺に真っ逆さまに落ちている状況といえる。」と評している。

同社は、2004年以来一度しか黒字決算をしたことがないという惨憺たる経営状況にある。原因はデジカメの普及でフィルム需要が急減したことにあるが、しかしそのデジカメも携帯端末にその地位を奪われるという、急速な技術革新が今なお進行中である。

同社は、起死回生を図るべく、フィルム以外の事業の拡大を図ってきた。インクジェット・プリンター部門への進出や、保有するディジタル・プリンティング特許の売却をもくろんだが、結局赤字の垂れ流し(burn through Cash)から脱却できていない。

今回の弁護士事務所2社と契約したことは、広く破産法適用申請準備(filing for bankruptcy)だと信じられているが、同社は必死にそれを打ち消している。リストラ実行や、知的財産権の売却のためには、法的な相談をする顧問弁護士事務所が絶対必要であるから、との説明である。

一方、倒産することを知りながら、片方で特許を売却して収益源とすることは、詐欺的権利譲渡(fraudulent conveyance)であるとの批判が出始めている。もちろんそのような事態となれば、買い手は詐害行為として、賠償を求めることはできる。しかし、こうした疑義が生じた以上、買い手としては購入に二の足を踏み、購入は倒産後に改めてということになるのは必定である。
100年続いたコア・ビジネスが、競合技術の出現で市場を喪失して蒸発してしまい、成功物語が一転、転落物語となってしまう典型例として、ビジネススクールのケーススタディーに長く使われることになるだろう。

小沢民主党元代表秘書有罪判決 The Voice of Heaven

2011-09-28 | 世界から見た日本
2011-09-28


今週月曜日、小沢一郎元民主党代表の政治資金管理団体、陸山会の政治資金規正法違反事件で、元秘書3人に執行猶予つきの有罪の判決が下された。10月6日に初公判を迎える小沢氏にとって、不利な状況となった。

こうした状況をFinancial Timesは、簡潔に報道しているが、小沢氏の事務所が、公共事業の発注先を決める実質的な決定者であったこと、すなわち『天の声』(the voice of heaven)を発していたとする判決を次のように引用している。“Mr Ozawa’s office was seen as the “voice of heaven” in deciding public works contracts.”

そして、小沢氏を、民主党を選挙での勝利に導き、政略を成功させてきた『闇将軍』(shadow shogun)であったと、次のように評している。(one of Japan’s most effective political dealmakers, a “shadow shogun” who helped make the DPJ an effective electoral force.)

この二つの表現、the voice of heavenとa shadow shogunは、小沢氏の役割と影響力を表現する代名詞として今や、英語世界でも定着した感がある。