GLAY Story

GLAY関連の書籍を一つにまとめてみました。今まで知らなかったGLAYがみえてくる――。

 TAKUROの貧乏ぶり

2009-09-20 | アマチュア時代



 デビュー前の俺たちは、経済的にゆとりがなさ過ぎた。

 例えば食生活でも、色々な雑誌の取材で「セブンイレブンの肉系の弁当はおいしいが、野菜系の弁当になるとファミリーマート系のほうがおいしい」などというコメントをメンバーが語っているが、コンビニの弁当が口に入ること自体いいほうだった。


●極貧時代

 TAKUROが一番ひもじい時期、つくづくと言ったことがある。

 「今日は、金がなくて何も買えないんだよ。ずっと前から買い置いておいた片栗粉が冷蔵庫の隅にあったから、片栗粉をお湯で溶かして醤油を入れて、混ぜて食べてきたんだ。でも、腹の収まりが悪いんだよな」

 このとき俺はコンビニに行き、カップラーメンを買って、店員さんに熱いお湯を注いでもらいながら、自分とTAKUROの分を2つ手にして出て店を出た。

 TAKUROに、「じゃ、これ食えよ」とお湯でめんがほどけたカップラーメンを差し出すと、TAKUROは目を輝かせながら「AKIRA、悪い。ホント悪いな。神様に見えるよ、おまえの顔が。おまえは神様だ」 そう言いながら、カップラーメンをうまそうにすすっていた姿を、今でも覚えている。

 TAKUROの貧乏ぶりはかなりのものだった。ある用事があり、TAKUROが函館に帰るという前の日のこと。

 「お袋に知らせたいんだけど、10円玉1個しか残ってないや」そう言ういながら公衆電話に向かった。10円玉を入れ、おもむろに函館に住む母親の実家の電話番号をダイヤルした。コインの落ちる音がする。

 「明日、帰るからね。じゃあね」 ほんの3秒から4秒の間の出来事だ。

 「だって、帰ることを伝えておかなきゃお袋が家空けるかもしれないじゃん。往復の飛行機のチケットを取ったら、実際これしかお金残らなかったんだよ。函館空港から函館市内までのバス代は誰かにカンパしてもらわなきゃ、家までたどり着くことができないな。」

 今では信じられないほどの、こうした極貧時代もあった。


●至福の時間

 メンバーにとってライブのステージも楽しみだったが、そのあとの打ち上げも楽しみの一つだった。

 打ち上げは、ライブの後ファンの子たちと居酒屋に行く。メンバーの飲食代はこうして来てくれるファンの子たちが折半で払うようなシステムをスタッフが取り決めている。

 そのため、メンバーは打ち上げのビールも飲み、食べ物も食べ放題だ。TAKUROだけでなく、メンバー全員にとって至福の時間だったことは間違いない。





【記事引用】 「Beat of GLAY/上島明(インディーズ時代のドラマー)・著/コアハウス


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