giotto34/Whale song  ―白い鯨のうた―

*詩はオリジナルです。
たずねてくれて、読んでくれて、
ありがとうございます。

詩132:朝の月

2008年12月18日 | 
 /朝の月




青い空に裸にされた月が

ぼんやり

交通渋滞と

小走りのスーツ姿や

畑の枯れ萎れた

野菜の抜け殻を見てた

昨夜神の祈りに

身を任せるように

淑やかに輝いていたあの月が

夜からはぐれ

まだここに居て

街を眺めているなんて

誰が知るだろう



東の空の端から

キラキラの眩しい太陽が

いつのまにか街を訪れて

畑を、萎れたからっぽの抜け殻を

通勤するスーツを

バスに揺られる

学生服の眠い少女の白い横顔を

夢を

祈りを

爛れた胸の桃色の皮膚を

萎れた野菜の抜け殻に注がれる

僅かな呼吸の側でのたうちまわる

黄土色の蛾の沈黙を


太陽、温かな光を放ち、

まっすぐに走る 広がる


真っ白に青ざめた月が

乾いた唇を噛むような姿で

其れを することもなくただ眺めている


時々、こうやって朝の

地球を眺めていたい、ときがあるらしい。


「whale song」


詩131:神様の望むこと

2008年12月14日 | 
/神様の望むこと


神様に問いかけをして

自分を鏡に映して

垂れた頭の重さに瞳は閉じられる、

ただ涙が溢れ、祈り続ける


そんな人は減ってしまったのだろうか

ぽっかり空っぽの丸い井戸を覗いて

ぼんやり、途方に暮れる私たちは

それを孤独というのだろうか


祈る場所もなく

自分の祈りも知らずに、沈黙が続く?


それとも地球は傾いて

どっと祈りの声は片隅に押し寄せて


神様の耳を塞いで

神様は悲しい瞳ばかりして

わたしを見ている


神様

あなたが望むことなど

本当は

何もないことを私たちは知っている


私たちには望むものがたくさんある

それをあなたは知るから

あなたはとても悲しい

あなたのその悲しみを


どうか

わたしの心で

生まれたその日から感じていること

忘れてしまわぬように


わたしたちは胸に手をあて

祈る姿を真似てみて、

神様の本当の悲しみに

触れてみる

わたしの悲しみが

寂しがらないように



祈りの声に

耳を傾けるわたしたちであること・・・



「whale song」