/彼
黒い目玉をお空に向けて
小さな私は、彼を探した
あの白い雲の上
ひょっこり顔を出すのでしょう?
シロツメクサを手のひらに乗せ、
編む母を真似る仕草も飽きて
小さな私はシロツメクサの
お花畑に寝転ぶ
空は青く、雲は固そうにモクモクと広がる
彼は
笑わずに、
怒らずに、
何もない顔で
きっと私を覗き込むのよ
彼は知らない
私がその日
酷く脅え、
その何もない顔で
ちょっとした悪戯も笑わずに
嘘やズルさも怒らずに、
ただ眺める
そんな彼が
もしも、ひょっこり現れて
私をみつけてしまったら・・・・・・・・
おかあさん、神様ってどこらへんにいるのかな
私は胸に手をあてる
ふくらみを未だ知らない胸と幼い手のひら
それもやがて柔らかなぬくもりを覚えた手と胸となり
私は神を未だ探すだろうか
彼は
ある日、
古き親友である彼女の胸の中にいました
楽しそうに笑い、喜びを伝える彼女は
私に今日も幸せだと告げたのです
彼は、彼女の胸の中から、そっと私を眺めていました。
そして彼は
ある日、あの人の胸の中にもいました
あの人は私の愛するものを酷く批判し、
できれば一緒に時間を過ごしたくないと言うのです
私も酷くあの人を憎み、
あの人といると、自信を失い、
自分の価値がとてもちっぽけなものに見え、
何故あの人はこんなにも、私を攻め、悲しくさせるのだ、と
胸が痛くて何度も泣きました
しかし、あの人の胸には
やはり、彼はしっかりと存在し、
私の目を眺めています
彼はそこにいるのです
彼は
すれ違う子どもの胸にもいました
無邪気に笑う声と共に
彼は
愚痴っても、愚痴っても
全然
楽にならない、といった
電車のつり革に体重を乗せてぐったりする
ある女性の胸中にもいることを知りました
彼は
罪を償えない
沈黙の人の胸の中にも
存在し、
彼は
死に向き合う
孤高の人の胸にも
しっかりと腰をかけ
共に今日の夜をむかえています
彼は
あなたの胸の中にいます
それは温かなものでした
すべて存在する姿で、
涙のような温かな神の胸を重ね
『whale song』
黒い目玉をお空に向けて
小さな私は、彼を探した
あの白い雲の上
ひょっこり顔を出すのでしょう?
シロツメクサを手のひらに乗せ、
編む母を真似る仕草も飽きて
小さな私はシロツメクサの
お花畑に寝転ぶ
空は青く、雲は固そうにモクモクと広がる
彼は
笑わずに、
怒らずに、
何もない顔で
きっと私を覗き込むのよ
彼は知らない
私がその日
酷く脅え、
その何もない顔で
ちょっとした悪戯も笑わずに
嘘やズルさも怒らずに、
ただ眺める
そんな彼が
もしも、ひょっこり現れて
私をみつけてしまったら・・・・・・・・
おかあさん、神様ってどこらへんにいるのかな
私は胸に手をあてる
ふくらみを未だ知らない胸と幼い手のひら
それもやがて柔らかなぬくもりを覚えた手と胸となり
私は神を未だ探すだろうか
彼は
ある日、
古き親友である彼女の胸の中にいました
楽しそうに笑い、喜びを伝える彼女は
私に今日も幸せだと告げたのです
彼は、彼女の胸の中から、そっと私を眺めていました。
そして彼は
ある日、あの人の胸の中にもいました
あの人は私の愛するものを酷く批判し、
できれば一緒に時間を過ごしたくないと言うのです
私も酷くあの人を憎み、
あの人といると、自信を失い、
自分の価値がとてもちっぽけなものに見え、
何故あの人はこんなにも、私を攻め、悲しくさせるのだ、と
胸が痛くて何度も泣きました
しかし、あの人の胸には
やはり、彼はしっかりと存在し、
私の目を眺めています
彼はそこにいるのです
彼は
すれ違う子どもの胸にもいました
無邪気に笑う声と共に
彼は
愚痴っても、愚痴っても
全然
楽にならない、といった
電車のつり革に体重を乗せてぐったりする
ある女性の胸中にもいることを知りました
彼は
罪を償えない
沈黙の人の胸の中にも
存在し、
彼は
死に向き合う
孤高の人の胸にも
しっかりと腰をかけ
共に今日の夜をむかえています
彼は
あなたの胸の中にいます
それは温かなものでした
すべて存在する姿で、
涙のような温かな神の胸を重ね
『whale song』