福島原発事故メディア・ウォッチ

福島原発事故のメディアによる報道を検証します。

人は見かけによらぬもの・・・金持ちだって反原発!:浜岡原発停止は正しいと、スズキ自動車社長

2011-05-08 17:15:13 | 新聞
浜岡原発停止の経済的影響を、「オオカミが来るぞ」という論調で報道する大新聞が、われ先にこぞって引き合いに出すのが、中部地方の自動車産業。昨日の記事で引用した毎日新聞のほかに、産経にもこんなのがあった。

『中部地域には、スズキやホンダなどの自動車完成車工場、自動車部品メーカー、・・・など、大型工場が集積している。中部電力の電力供給の約4割は大規模工場を抱える製造業など大口向けが占め、電力供給不足が現実となれば、各社にとって深刻な問題となる』

この記事はどう見ても、浜岡原発停止による「電力不足が現実となれば」スズキにとっても「深刻な問題とな」り、したがって、スズキも大変に困っている、と読める。さらに、この記事は、スズキを含む「大規模工場を抱える製造業」は現実となることが恐れられる電力不足を引き起こすであろう浜岡原発停止に反対している、という理解を誘発する。

ところが、毎日新聞によれば、スズキの鈴木修会長兼社長は7日、浜岡原発停止要請は「正しかったのではないか」と語ったというのである。さらに社長は、

『「・・・自分がもしそういう(=首相の)立場だったら、同じようなことをしたと思う」・・・また、運転停止による操業への影響は「仮定の問題には答えられない。大きな問題にならないよう、みんなが協力し合う生活をやっていくことだ」と語った。』

と、「オオカミ来襲」作戦に動じる気配もない。みんなが困らないように、やるべきことをやるだけだ、と。先の産経の記事は、「現実となれば深刻な問題」となる電力不足を、外国市場でのシェア減、円高などと同様の「逆風」要因であると指摘しているが、スズキだ、ホンダだ、トヨタだなどという巨大企業にとって、この程度の逆風など、日常茶飯事ではないか。それを乗り切るのが経営者というものではないのか。巨大企業スズキの社長さんが原発停止の影響を敢然と受けて立つという、この事実からしても、「原発がないと日本の産業は崩壊」という調子の財界人・ジャーナリストが実は、何よりもまず第一に「原発を存続・発展させたい」というモチベーションで動いているのがわかる。

浜岡原発停止を支持した人に大阪府の橋元知事がいる(ツイート)。橋元氏はすでに4月末に脱原発を目指すと声明を出しているから、今度の反応もうなずけなくはないのだが、私はこの人は、西の慎太郎のような気がしていて、世界に名だたる東の都のRacist Governor様と同じように、当然、ガリガリの原発推進派だと思っていた。大変失礼しました。

東京は渋谷をはじめ、昨日7日のデモには、結構たくさんの人が参加したが、その人々は、仕掛人の松本哉氏に言わせれば、みんな「貧乏人」、つまり、利権も特権も権力も巨額の財産もない普通の人だろう。その一方で、松本氏が大嫌いな「金持ち」たちもどうやら原発はごめんだ、と考え、行動しようとしている。自然エネルギー財団を作って代替エネルギーの研究開発の乗り出すと表明したソフトバンク・孫社長(このビデオは一聴に値します)。城南信用金庫は、企業として脱原発に取り組むと早々と宣言した。

以下、城南信用金庫理事長の吉原毅氏の談話から。

人は間違いを犯すものだという、一般的な真理に反して、原発について
『何があっても大丈夫という説明をしてきた。しかし、その説明がことごとく違うということも聞いて、我々は非常に衝撃を受けた。』
我々は、安心して電気の供給を受け、原発の危険性に無関心であったことを反省している。これまで反原発は一部の市民運動がやっていると思っていた。しかし、
『普通の人間、普通の企業としてもこれに対して真剣に考えて態度をはっきりと決めないと日本全体が大変なことになる』
と、あらためて気づいた。
『企業として原発に頼るわけにはいかない、とはっきり発言し、できることから地道に行動に移し社会をよりよくすることが大事』
そこで、節電、省エネ、自然エネルギー企業への支援、などを考え、実際、先月は本店で徹底して節電した結果、電気料金を3割(電力の原発依存率と同じだぞ!)減らすことができた。個々の企業によるエネルギーの地産地消、風力発電などへの我々のお客様である中小企業の技術力の提供への支援、などをとおして、
『原発に頼らない地域社会を作る。』
原発が『国策だといわれてきたが、その議論の過程がきわめてゆがめられたものだということは、マスコミ等を通じてすべての国民が非常によくわかったこと』であり、『それらを地道に認識して変えてゆかなければならない。一部の方々の政治活動ではなく、普通の国民が一人ひとり考えて変えてゆくことが必要なんじゃないか。』

正直言って、今までの人生で、信用金庫の理事長さんの話を真面目に聞いてみようとしたことはありませんでした。こういった人たちは、誰もかれも金儲け一筋だと思い込んでいました。ごめんなさい。


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