真夜中の映画&写真帖 

渡部幻(ライター、編集者)
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「リダクテッド」 あまりにも衝撃的なラストショットで語る、戦争の一断面

2010-03-20 | ロードショー



星条旗の星から滴る血。顔が黒く塗りつぶされた兵士。

「ハート・ロッカー」を観て「リダクテッド」を思い起こした。
ブライアン・デ・パルマのイラク戦争への「怒り」が暴発した問題作である。
今まさに進行中のイラク戦争におけるレイプ殺害事件の狂気と不快感を容赦なく横溢させてベルリン映画祭銀熊賞を得た。そのあまりにも衝撃的な描写ゆえか本国、日本ともにひっそりと公開されるにとどまった。

「ハート・ロッカー」の主人公たる爆弾処理班はエリートだったが、「リダクテッド」に登場するのは無名の兵士たちである。彼らが引き起こす無惨かつ不快このうえない罪も、戦争というシステムのなかでは、ほんの瑣末な出来事のひとつとなりえる。60年代世代のデ・パルマには反体制魂がある。これは、彼の名を知らしめた残虐なスリラー映画のすべてを足しても足りないほどの恐ろしさを持った反戦映画である。あのラストショットをもう一度味わうのにはちょっとばかり勇気が必要だが、観直してみたい作品である。




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