胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

Was ist Invasion? (2) Das ist Invasion.

2008-11-20 | 胃分化型腺癌
 独逸時代の恩師にもらったAbbildungです。右上手書き矢印のところ注目です。腺管構造と基底膜をしっかり保ったものでも粘膜下層以深の空間に腫瘍が浸潤すれば周囲にぐるぐるっと線維化がみられるんだよという説明です。
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Was ist Invasion? (1) tub 1の粘膜下層浸潤

2008-11-20 | 胃分化型腺癌
 胃のtub 1(腸型)です。この写真は本邦の病理医が見れば、tub1が粘膜下層浸潤しているところと即座に診断できると思います。これは外国からのコンサルト症例で、粘膜下層浸潤か、粘膜筋板を越えるherniationかという質問がありました。英米系の病理では、どこの臓器でも腺管が崩れてバラバラなってないとなかなかInvasionとみなしてくれません。腺管周囲に同心円状に線維化が生じていますが、これも一種の間質反応であると考えていると説明しています。次の記事を参照してください。
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体部腺・固有腺型胃がん, Dr. Curry type

2008-10-21 | 胃分化型腺癌
 これはMUC6の染色です。MUC6は幽門腺型粘液のマーカーとしてよく知られるようになっていますが、炎症も腫瘍もない健常成人粘膜上皮組織では幽門腺、頚部粘液細胞(副細胞)、ブルンナー腺で発現がみられます。本例でMUC6を染色したところ腫瘍腺管が強陽性を示し、粘膜深部~粘膜筋板内で手つなぎ・横這い様の分岐・融合をしている姿が描出されました。MUC6やMUC5ACあるいはその系列の染色が婦人科病理分野でもよく用いられていますが、その点についてはDr.近江富士やFrau Dr.鈴鹿山脈の論文をご参照下さい。Dr.鈴鹿山脈は私の妹弟子です。
 なお、腫瘍を語る前には胃粘膜の分化と増殖の正常動態を知っておく必要がありますが、この分野では私の恩師である伊賀流一門総帥Prof.Ninjaに叩き込まれました。胃の頚部粘液細胞(副細胞)はペプシノゲン1を分泌する主細胞の前駆細胞と考えられています。(発生学的に異論を唱えるものもいますが・・・)
 このタイプの腫瘍ではMUC6とpepsinogen-1にdouble positiveになるものがほとんどで、頚部粘液細胞-主細胞系列への分化を示していると考えることができます。文献的にはchief cell differentiationを示す胃がんと報告されたものがあります。またchief cell hyperplasiaと報告されているものもこれである可能性があります。
 MIB-1抗体で染色しますと、正常増殖帯のところ以外に、腫瘍と目されるところにパラパラと陽性細胞が認められますが、indexは低く、low gradeなものであることが示唆されます。
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固有腺・体部腺型胃がん

2008-10-21 | 胃分化型腺癌
 先ほどの拡大写真です。胃底腺に類似していますが、不整に、鋭角的な分岐を示しています。やはり核異型も認められると思います。正常胃底腺と比較しましょう。
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固有腺・体部腺型胃がん

2008-10-21 | 胃分化型腺癌
 Dr.Curry型と呼んでいる胃がんを紹介します。この前も遭遇し、Curry先生にもみてもらったところです。このごろちょくちょくコンサルトされます。知ってないとスルーするし、知っていても診断に勇気がいるかもしれません。胃底腺(体部腺)細胞への分化が明瞭な分化型腺癌で、胃底腺粘膜の下の方で増殖し、ゆっくりと、間質反応にも乏しく、粘膜筋板から粘膜下層に浸潤していきます。非常にlow gradeと考えられます。SMT様の低い隆起でみつかることが多いので、内視鏡的には上皮性変化に乏しいと思います。まずは弱拡大、クリックしてください。一見正常の胃底腺粘膜ですが、下のほうに注目しましょう。すでに粘膜筋板の中に侵入しています。
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手つなぎ癌、横這い癌

2008-08-19 | 胃分化型腺癌
 
胃癌取扱い規約で中分化管状腺癌(tub 2)に分類されるもので、俗に「手つなぎ癌」といわれる診断の難しいものがあります。内視鏡的にも質的診断・範囲診断がしばしば困難であるとされています。これには色々な芸名があって
 ・手つなぎ癌
 ・横這い癌
 ・低異型度完全腸型癌
 ・不規則吻合腺管癌
 ・低異型度中分化型腺癌
などです。それぞれ指すものが微妙に異なることもありますが、粘膜内や粘膜下層で低分化型腺癌に変わる可能性が高い病変です。低分化型に変わらなくても、そのまんま浸潤し進行癌になることもあります。
 鋭角的な分岐融合が特徴で、我々伊賀流一門では手裏剣型分岐と(私が勝手に)言っています。手裏剣が粘膜固有層内を飛び回り、隣接する腺管の基底膜を破壊していくイメージです。
 この形態について、構造異型という先生、粘膜内浸潤像であるという先生色々です。独逸時代のChefであるボルヒャルト先生は、Das ist Invasion.と論文に書いておられますが、残念ながら独逸語であり、日の目を見ておりません。
(写真小は和製手つなぎ癌、写真大は韓式手つなぎ癌です。)
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韓国の胃型腺癌その2

2008-07-29 | 胃分化型腺癌
粘膜下浸潤部です。周囲にxanthogranulomatousな反応があり、Dr.Curryはリンパ管の破壊があったのではないかとおっしゃってました。
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韓国の胃型腺癌その1

2008-07-29 | 胃分化型腺癌
韓国からコンサルトがありました。胃型の分化型腺癌で、細胞異型の弱いタイプです(低異型度癌)。この部分は一見浸潤しているようですが、癌腺管の周囲に正常と同様の粘膜固有層(間質)があり、粘膜筋板が取り囲んでいます。したがいまして、真の浸潤ではなく、粘膜下異所性胃腺と同じように陥入性に増殖しているのか、あるいは粘膜下異所性胃腺を置換して増殖したものと考えられます。別のところにsm浸潤部がありました(次の記事)。
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