山崎 巖の、ひとこと言わせてくれ!

団塊の世代より一足早く生まれた私にだって、言いたい事はいっぱいあるのだぁ!

大魔人と戦う

2006年07月31日 10時21分37秒 | 芸術


アイヌラックルはひらりひらり
と柵をのりこえた。
まず木の柵、次に金の柵、
そして岩の柵6作を全て越えていった。

ケムシリ岳の神を待機させ、
さらに進んで討ち入った。

その時、
大魔人は泣いている
赤子に目をやった。
その横には、木の手箱、金の手箱
岩の手箱、それぞれ6箱づつ
重ねてあり、その中に
「日の女神」を幽閉して
いたのである。

アイヌラックルは、右手に金の剣
を持ち、左手ですばやく木の手箱
金の手箱、岩の手箱壊し、
「日の女神」の手をしっかり
取る事に成功した。

大魔神が身がまえた時には、
神々を赤子に造り変えた
60個の揺り籠の紐を
きりはなしていた。
よみがえる神々は、
はるか遠い奥地に
音を立てて消えていった

アイヌラックルは「日の神」と
外におどりでた。

大魔人の山城に入る

2006年07月28日 15時38分13秒 | 芸術



アイヌラックルと戦う神は
ケムシリ岳の神だった。

アイヌラックルは茅の1本を
炉の火に刺し込み、
炉から上がる煙に乗って、
高窓の上にとびのった
そしてケムシリ岳の神と
一緒に神の駕(が=乗物)にのり、
空をとんで大魔人の山城をめざした。

金色の神の駕の細いひもは
ヒュウヒュウと
太いひもはブウンブウンと鳴り、
従う者達の激しい音も加わって、
村々も崩れんばかりに
とどろき渡った。

アイヌラックルの部隊は
山の奥地に高く上り、
別の部隊は海の沖に出て行った。
そして本隊は上空の
雲の上にのぼり、
まるで水紋のように
広がっていった。

今まさに、木の柵 金の柵 岩の柵
6柵をすべて越えて、
大魔人の内へ内へと
入っていたのである。

戦いの支度

2006年07月21日 15時16分52秒 | 芸術


ようやくアイヌラックルは
立ち上がったのだ。
鎧(よろい)や脛当(すねあて)
をつけて結んだ。
それだけで3日3晩も
かかったので、神々の中には
声を荒げて「いつまで待たされるのか」
と、あきれはて去っていくものもあった。

「本当に大切な事は、魔神に勝利すること
であり、あわてることなどあるものか」
と、アイヌラックルは落ち着いていた。

今までの神とは違って、もっと偉く
尊い神がアイヌラックルの所にやってきた。

「ここの大神アイヌラックルよ、
さあともに行こう、共に力を合わせて
魔神に勝利し、日の神を助けよう」。
と言ったのである。

鎧と脛当をつけてアイヌラックルは
立ち上がった。
裾の燃えるような厚司(あっし)、
黄金の帯など、
みなきらびやかに光っていた。

闇の中での生活

2006年07月17日 17時44分24秒 | 芸術


「こうして、神も人間も日常を闇のなかで
生活するようになった。
そのため死ぬものも続出した。
そこで、近い山の神々、遠い山の神々が集まり
相談した。その神々が、救いにおもむこうとしても
魔神に見抜かれてしまう。真に神力の強い神までも
見抜かれてしまった。

そのうち、魔神はすべての神々を赤子に造り変え
六十個ほどの揺り籠をつくって、
その中に入れてしまった。

赤子になってしまった神々は、魔神にあやされ、
魔神もあやすことを楽しんでいる様子であるのだ。

「アイヌラックル・オイナカムイよ、
お前ほどの神はいないのだから、
すぐに日の神(女神)を助けにいってくれないか」
と何回も何回も頼まれて、
アイヌラックルは静かに立ち上がったのである。

日の神呑んだ大魔人

2006年07月14日 11時49分43秒 | 芸術
  

神は次のようにアイヌラックルに命じた。

「これ、アイヌラックル・オイナカムイよ、
お前程の者が、
なぜこの大事件を気ずかなかなかったのか。
日の神(女神)が昇ろうとする時、
大魔人が日の神をとりこにしようと
その大口を開けるのだ。
そこで一族の多い狐神は、
大魔人の口の中に狐を
2匹~3匹投げ入れて
あごをかみ合わせる時、
日の神が通っていた。又、
西の果てに日の神が入ろうとすると。
こんどは一族の多いカラス神が
1羽~2羽投げて、大魔人が
あごをパクリと噛合わせる時に
日の神が通るのだ。」

ところがある日、
とうとう大魔人が日の神を
呑んでしまったのだ。
木の柵 金の柵を6重、その中に
岩の柵6重 さらにその中に
木の箱 金の箱 岩の箱6重を
入れ、日の神を幽閉してしまったのだ。

神々が集まる

2006年07月05日 15時26分28秒 | 芸術

遠い山々、近い山々から多くの神が
アイヌラックルの山城めがけてやってくる。
その時の凄まじさはすごいものだった。

先ず山々に多くの神の雲が湧き起こった。
それは、小さな雲達が互いにぶつかり合い、
その雲達のさきから、大粒の雨や氷が落ちて
大きな雲に変わっていくのである。

こうして暴風が吹き、地上の草や木が
巻き上げられ、その音が、ガラガラ、ゴウゴウ
と響きわたった。多くの吹き上げられた物が
鳥の群れのように、山の頂(いただき)を
グルグルまわる。そして、まるで投げ槍のように
遠くとんでいく。

巻き上げられた物は、アイヌラックルの
山城にバラバラ落ちてきた。
神の宿る雲々が大雨の黒雲と変わり、
山城の空いっぱいに被い、かむさってきたのである。

生活

2006年07月03日 16時34分32秒 | 芸術

「アイヌラックル物語」 (Ⅰ)
     生活

アイヌの祖先だったアイヌラックルは、日の神を
救出したことがあった。
アイヌラックルは、美しい山々にかこまれて育った。

そこには透き通る大きな沼があり、毎日を菅草(すげぐさ)を
敷きつめた床の上で、宝刀や鞘(さや)の彫刻をしていた。
その沼は「さざなみ沼」と呼ばれ、その沼の東の岸に、
神が創った山城があり、その山城の中で幸せな日々を送っていた。

さざなみ沼には、沢山の小魚がいて、あたりの神々だけでなく、
遠い所からの神々も来ていた。
神の力の弱い神、普通の神、本当の偉い神など、力のよみがえる
神となって、その魂が天に昇っていくのである。

魂が天に昇っていった神々が返礼として、戸口の上、窓の上に
捧げ物を下さるので、アイヌラックルは幸せに暮らしていたのである。