山と道・野の花のこと

揺れずに咲く花がどこにあるだろうか
この世のどんなに美しい花も揺れながら咲くのだ
<ト・ジョンファン>

空木岳山頂⇒池山尾根⇒菅の台☆空木岳@日本百名山№61

2022-11-09 | 61空木岳(秋)
事前に調べた山の天気予報では
この日は霧で展望がないという情報から
空木岳山頂で20分程の休憩後
晴れるのを待たずに下山します。

池山尾根は高低差2000m・
歩行距離10㎞を、ほぼ同じ傾斜で
下り続けると予想していました。
林道終点まで車が入れると
高低差500mを短縮できるのですが
駒ヶ根市のHPには、ゲートが閉まり
立ち入り禁止になっている
という情報がありました。
空木岳からの下山ルートの地図は
約1時間ごとに経由地点の表示があり
下山のペースと残りの距離が
分かり易く、このガイドブックの
気に入っているところです。

東に向って下山を開始するとすぐに
空木駒峰ヒュッテがあり
天気が良ければ
尾根道を選ぶところですが
地図の通り右の空木平に下ります。

残念ながらこの辺りでは紅葉も終盤となり
沢のように石がゴロゴロの道を下り
傾斜が緩み、草原が広がると

山頂から45分で
空木平避難小屋に到着です。

小屋の中には誰もいません。
テント泊は禁止になりましたが
テントが張れる小さな広場も
まだ残っていました。
更に進むと、樹木が途切れて
遥下に街並みが見えたり

曲がりくねったダケカンバに
松の緑や紅葉のオレンジが

大岩が続いた千畳敷からの縦走路と
対照的で、秋の山に来たことを
思い出しました。
山頂から1時間で尾根道との
合流地点です。
丁度、上ってきた単独登山者が
休んでいました。
「駒石」を見に来たと強烈なオシで
私が尾根道を選ばなかったことを
後悔させてくれました。
木曽殿山荘の朝食時のテレビで
大きなニュースはなかったのに
その後、北朝鮮がミサイルを発射して
アラートが鳴ったとの情報をもらいましたが
山の中では隠れるところもありません。

尾根道と合流してからは、林の中を
緩めの傾斜の登山道を下ります。

すれ違いが多いと
時間がかかりそうでしたが
しばらく上りの人はいませんでした。

ヨナ沢の頭を過ぎ
傾斜がきつくなると

階段や橋が多くなり、そのおかげで
歩きやすい道が続きます。

合流地点から1:20で
大地獄・小地獄の注意看板が
ありました。

長い下りなのでゆっくりと
歩いたので、遅いペースです。

長い階段や

クサリ場があり

緊張した道が20分ほど続いて

高低差のある九十九折の道を下ると

マゼナギに到着し、ここからは
緩やかな林間コースです。

登山道と遊歩道の分岐を
距離も時間も短い遊歩道を選択し
大地獄小地獄から1:20で
池山小屋分岐に到着です。

近道の遊歩道を選んだせいか
水飲み場にいる
学校の登山クラブらしい若者たちに
追いつきました。しかし
ロープ金具のシャンシャンという音は
すぐに遠のき、再び静かな山になり
林の中の穏やかな道を50分で
池山林道終点の駐車場に到着です。

駐車場には
3台ほど車が止まっていました。
悪路も走れそうな車ばかりでしたので
特別な許可があったのかもしれません。
再び、登山者用の道を下り
途中で何回か、
車が通れる林道を横切り
道が枝分かれして迷いそうな遊歩道を下り
スキー場の駐車場を横に見て
更に真っすぐ下ると
菅の台バスセンター500mという
方向指示標があり
道路が工事中で通行止めだったので
迂回路を通り

池山林道終点から1時間で
菅の台バスセンターに到着です。

登山地図アプリのYAMAPに
大変お世話になりました。
大地獄小地獄以外は穏やかな道で
距離は長いですが
きつい上りではないと思います。
稜線のコースにある岩場が苦手なら
池山尾根の往復も悪くないでしょう。
1日目の歩数:17,821歩
2日目の歩数:25,556歩
上り:千畳敷駅⇒極楽平⇒濁沢大峰⇒檜尾岳⇒熊沢岳⇒木曽殿山荘⇒空木岳山頂
0:30 ⇒ 1:10 ⇒ 1:20 ⇒ 2:20 ⇒ 1:30
下り:空木岳山頂⇒分岐点⇒大地獄⇒池山小屋分岐⇒林道終点⇒旗の台バスセンター
1:00 ⇒ 1:20 ⇒ 1:20 ⇒ 0:50 ⇒ 1:00
上り合計:6:50
下り合計:5:30
中央アルプスの岩の多い稜線歩きを
満喫しました。
後半は視界が悪く、もう一度
晴れた日に歩いてみたいと
心残りの山旅でした。
end

熊沢岳⇒木曽殿山荘⇒空木岳山頂☆空木岳@日本百名山№61

2022-11-03 | 61空木岳(秋)
1日目の最高峰である熊沢岳は

北側の大きな岩と急登の登山道と対照的に
南側は熊沢五峰と呼ばれる
小ピークが並ぶものの

登山道はハイマツに覆われて
穏やかになり、晴れていれば
今まで見えなかった
中央アルプス南部の山並みに
魅せられたことでしょう。
空木岳もすっぽりと
雲に覆われてしまいました。

熊沢岳の山頂から少し進み
振り返る山頂から

進む先が
白く見えなくなるまで広がる

平坦な広い山頂広場から
ガスが次第に濃くなり

緩やかに下っていく道以外は
ほとんど視界がなくなり
ソニーのカメラα6400は
ザックにしまうことにしました。

岩場の緊張から解放され
気が緩み、スローペースになって
熊沢岳より1:40で
東川岳に到着です。

ガイドブックには
ここから見る空木岳に圧倒される
とありましたが、何も見えません。
写真だけ撮って
木曽殿山荘への急坂を下ります。
途中から、丸太を使った階段が整備され

山小屋が近いのかとホッとすると
雲が薄くなり、下の方に
山小屋の建物が見えました。
空木岳との間の雲は
右から左に流されていて
少しずつ、薄くなっている気がして

荷物を下ろし、α6400を取り出して
待ってみることにしました。
すると、次第に視界が回復し
目の前に大きく
空木岳が姿を現しましたので
全貌が撮れるように願い
何回もシャッターを切りました。


雲が晴れたのは10分くらいの間
だったと思います。山頂部分の雲は
完全には取れませんでしたが
思いがけず
幸せな時間になりました。
写真を切り取った空木岳山頂です。

迫力のある岩山です。
明日登ることを思い、気が引き締まります。
再び空木岳が雲に隠れたので
ほんの少し下れば
東川岳から40分、熊沢岳から2:20で
木曾殿山荘に到着です。

大部屋1つに到着順で
寝る場所が決められました。
翌日、早い人の出発を見送り
遅い人の前に出発できましたので
空木岳山頂までストレスなく
上ることができ、気の利いた
システムだと感心しました。
食堂に、日本百名山完踏を祝う
写真やアルバムがたくさんあり
空木岳を最後に残す人が多いことに
驚きました。今回登ってみて
最後まで取っておく気持ちのわかる
魅力の多い山です。
今回の山旅から、もう一つ
アプリが加わりました。
YAMAPという登山地図アプリです。

無料で地図が2枚まで
ダウンロードできて
自分の現在地が確認できます。
上りではあまり道に迷いませんが
下りでは分岐点で進む方向がわかり
重宝しました。
初めての分岐が多い山では
心強い味方になりそうです。
木曽殿山荘は鞍部にあるので
強い風が吹き続けていました。
ガスがかかり、外は真っ白なので
皆さん、消灯前に静かになりました。
翌朝は、5時の朝食の後
空が明るくなり
早い人が出発して落ち着いた6時に
空木岳山頂に向って登り始めました。

風は治まりましたが
ガスで遠くは見えません。
昨日の晴れ間に見た記憶では
山頂近くまで、岩場ではなく
尾根道を九十九折に登っていく
はずです。予想通り
40分は順調に進みました。

大きな岩が現れると

赤ペンキで第一ピークとあり

ここから幾つものピークがあることを
覚悟します。
(地図にある3番目の!マークです)
写真が段々と白くなりますが
レンズの前のガラスが曇ったので
実際はもっと視界がありました。

恐竜の背中のような岩が続き

傾斜がきつくて
足がかりのないところには
木製の階段や

鉄棒を曲げた手がかりが
整備されていますが

緊張する場面が続きました。


岩の大きさが巨大になると

その先に見える三角の辺りが
空木岳山頂(標高2864m)でした。

木曾殿山荘から1:30です。
誰もいません。
何も見えません。
深田久弥さんの日本百名山では
雲で何も見えずという記述は
数えるほどです。どうしたら
晴天に恵まれるのか
聞いてみたかったです。
つづく

濁沢大峰⇒檜尾岳⇒熊沢岳☆空木岳@日本百名山№61

2022-10-31 | 61空木岳(秋)
濁沢大峰(標高2724m)は
大きな岩の集合体です。

振り返ると北側に
ガスがかかり始めました。

しばらくは大きな岩の間を
右や左に回り込んで進みますが

何か所か、反対側に移るときに
岩を登ります。鎖がついていて
鉄棒を曲げた足場もあり
身体全体を使いますが
足がすくむ程のことはありません。

少しずつ下ります。

岩の道は細いですが、両サイドは
怖いほど切れ落ちてはいないので
慎重に進めば問題ありません。


檜尾岳への鞍部が見えると
東側に回り込む梯子や階段が急です。

ここが地図の1つ目の
!マーク地点だと思います。


鞍部までは200mほど下り
濁沢大峰を振り返ります。

山頂部が丸まった優し気な
檜尾岳まで200m上り返します。

左に見える山小屋は
檜尾避難小屋です。
上りはきついのですが
大岩は少なく、道は穏やかで

周りの景色を楽しみながら
濁沢大峰から1:10で
檜尾岳(標高2728m)に到着です。

東には丸い丘の上に檜尾避難小屋と
南アルプス越しに
富士山も見えます。
富士山のすぐ右隣は塩見岳です。
檜尾避難小屋は管理人さんが入ったと
聞きました。
振り返れば、濁沢大峰の先は
ガスがかかり始め

木曽駒ケ岳ははっきりと
確認はできませんでした。
そして、南の空木岳は
とうとう雲の中に入りました。

次の目的地の熊沢岳は
かろうじて見えています。
再び130mほど下ります。
檜尾岳を振り返ると、丁度
檜尾岳で下山するという2人が
山頂に立ったところでした。

鞍部まで下ると、また
大きな岩が目立ち始めました。

次の上りは、手前の三角の山
大滝山(標高2708m)です。

高低差は少ないのですが
急坂なのでしんどいです。

何とか登りきると

熊沢五峰はかろうじて見えますが
ますます雲が下がっている
気がします。

なんとか熊沢岳までは見えています。
熊沢岳の真下まで来ると

大きな岩があり
左の岩の手前を10mほど横切り
右の急な岩場を垂直に5mほど登ります。
どちらも鎖がついているので
慎重に進めば問題ありませんが
逆ルートで下る人は、出だしの岩が
張り出していて怖いかもしれません。
ここが地図の2つめの!マークです。
後は、彩り豊かな秋の山で
周りの大岩を楽しみながら

熊沢岳(標高2778m)に到着です。
檜尾岳から1:20かかりました。

つづく

極楽平⇒濁沢大峰☆空木岳@日本百名山№61

2022-10-28 | 61空木岳(秋)
千畳敷駅で
駒ケ岳ロープウェイを降りて
ほとんどの人が木曽駒ケ岳への
ルートである八丁坂に向います。
人気の山は14年前と同じ
長い人の行列が八丁坂にありました。
空木岳へは山に向かって左側の
極楽平に続く名もなき坂に
取り付きます。

進むにつれて、人の気配が減り
静かな山が迎えてくれます。

紅葉も見ごろで
バスを待った疲れを忘れます。
振り返ると千畳敷カールは
紅葉のピークではありませんが
秋らしい賑わいがあります。

人々は小さくなり
風景の一部になっていました。

大きな白い石を敷き詰めた道は
歩きやすく整備されていて
30分で極楽平(標高2827m)に
導かれました。

空木岳の標高は2864mですから
ほぼ同じ高度に達したことになります。
ガイドブックで難易度が4に
なっていた理由はこの後
自分の目や手足で確かめることに
なります。
極楽平は名前の通り
平らで平穏な場所です。
西には、御嶽山。

近くから見下ろす裾野の広さは
独立峰としての美しさが
一番引き立つものです。

北は、宝剣岳に向かう道。

この道は空木岳方面よりも更に
難易度が高いようです。
東には、シルエットの南アルプス。

真ん中より少し右に
富士山も頭を出していました。
南には、空木岳に向かう
なだらかな登山道。

天気予報は下り坂ですが
幸運にも360度の視界が確保され
ありがたい山旅が始まりました。
島田娘ノ頭に向かうと
空木岳への縦走路の全貌が
見えてきます。

平らで真っすぐではないと
覚悟していましたが
遠くから見れば
岩が美しい自然な造形に
うっとりします。
空木岳の左(東側)の長い尾根が
高低差2000m、移動距離10㎞の
池山尾根でしょう。

極楽平から平坦な道を
30分ほどで、島田娘ノ頭に
着きました。
豪快な岩石群の奥に

空木岳が見え、これだけで
来てよかったと思える
今年1番の写真が撮れました。

深田久弥さんの
日本百名山より
私たちは木曽殿越の鞍部へ向って急坂を下った。
それから先の行程は、鞍部から更に山稜を北へ登り、
二千七百米級の峰を幾つも上ったり下ったりして、
宝剣岳を超え、駒ケ岳本峰へ達した。本峰に立って振り返ると
経てきた長い山稜がうねうねと遠くまで続いていた。
その中に一きわ高く、空木岳と南駒ケ岳の二つが睦まじそうに
並んで立っているのを見逃しはしなかった。

島田娘ノ頭を過ぎると、道は
鞍部へと下っていきます。

写真は濁沢大峰の上りから
振り返って撮ったものです。
左に見えるのは
木曽駒ケ岳かと思い調べると
700m西にある木曽前岳でした。
下る途中で2組を追い越しました。
1組は檜尾岳から檜尾根で
下山するそうです。
日帰りで中央アルプスを楽しめる
気軽なルートを教えてもらいました。
鞍部から上り返す濁沢大峰は
三角のおにぎりの上に
たくさんの岩があり
白ゴマのふりかけに見えました。

山頂に近づくにつれ
白ゴマが大きくなり

極楽平から1:10で
大きな岩が積み重なった
濁沢大峰山頂に到着です。

ここで5名のグループを
追い越し、この後は
前も後ろも離れてしまい
自由だが、心細い道中になりました。
つづく

小黒川PA⇒千畳敷カール☆空木岳@日本百名山№61

2022-10-24 | 61空木岳(秋)
初めて登った日本百名山は
中央アルプスの木曽駒ケ岳でした。
角田山(標高482m)から山登りを始めて
だんだん高い山にあこがれ
初めての2000m峰が谷川連峰の平標山。
初めての3000m峰が木曽駒ケ岳。
一番やさしい山を選びました。
あれから14年が過ぎ
登った日本百名山は60座を超え
北海道と近畿以西を除くと
80座しかありませんので
4分の3の達成率になりました。
61座目に選んだのは
中央アルプスの空木岳です。
まずは、14年ぶりの千畳敷カールを
目指して、高速道路を
駒ヶ根インターに向います。
途中の小黒川パーキングで休憩すると
東に、南アルプスの山々が
くっきり見えました。電線が邪魔で
撮影スポットを捜すと、人が
エリアの外に出ることができる
ゲートがあり、田んぼの中から
迫力のある展望を満喫しました。

これで、
明日登る山から何も見えなくても
十分に記憶に残りました。
天気予報は下り坂です。
甲斐駒ヶ岳

仙丈ケ岳・藪沢カールと間ノ岳

(北岳は仙丈ケ岳の奥になります)
更に南の山々

今回の山旅から
AR山ナビというアプリが加わり
山の名前を調べるのが
すごく楽になりました。
翌朝5時から
菅の台バスセンターで
チケットの行列に並びました。

1時間でチケットを購入した後
今度はバスの行列に並びます。

結局、バスに乗れたのは
7時過ぎでした。
休日は混むだろうと
平日にしたのに、まったく
何とかならないものでしょうか?
行列の1つ前に並んでいる人が
3年前までは、チケットがないと
バスの列には並べなかったのに
今はノーチェックなので
2組に分れて
先にバスの列に並ぶ人が
いるのだとか?
バスはチケットの番号順に
乗せるようにするとか
もっと公平なシステムに
してもらいたいものです。

ロープウェーに乗れたのは
7:45

中腹の紅葉はまだ早いようです。

千畳敷駅に着いたのは
8時になりました。

予定より随分遅い出発ですが
慌てるほどのこともなさそうです。
つづく