ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

お父さんの橋(1)

2007-02-05 | 自由だから愛/ お父さんの橋
あるところに、お父さん、それに二人の息子の仲良し親子がいました。

ある日、お父さんが二人の息子に言いました。

「今日は、デパートに行って買い物をして、それから美味しいものを食べて、帰ってこよう」

もちろん、二人の息子は、大賛成。

すぐにしたくをして、目指すデパートへと出かけました。



デパートに着くと、さっそく、おもちゃ売り場へ直行です。

お兄ちゃんも、弟も、おおはりきりで、あれを見たり、これを見たり、大変です。お父さんも、子どもたちが、ああだこうだ言いながら、おもちゃを選んでいるのを楽しげに見ています。

「予算は、これだけ。買うのは一人ひとつだよ」


さんざん見て、試して、迷って、考えて、そして、ついに、二人とも決めることができました。

レジまで持って行く間も、お兄ちゃんのほうは、実は、まだ迷っていました。

二人とも自分の選んだおもちゃを買ってもらって、大喜びです。



エスカレーターに乗って、今度は、最上階の見晴らしレストランに行きました。


レストランの入り口のところに、料理のサンプルがたくさん並んでいます。

二人は、それを見ながら、またまた、あれでもない、これでもない、と迷いに迷いました。

「残さないんだったら、デザートも頼んでいいよ」

子どもたちは、ますます、迷って、あれがいい、これがいい、と言いながら、サンプルの前を行ったり来たりしています。お父さんも、子どもたちが、あっちに行きこっちに行きしながら、料理を選んでいるのを楽しげに見ています。

やっとのことで、二人とも、料理を決めることができました。


食券売り場で,それぞれ自分の頼むものを言って、食券を買いました。それから、レストランの中に入って、席を探しました。

食事時間を少し外れていたのですが、レストランは、けっこう人でいっぱいでした。それでも、運良く、柱の影になったところで窓際の席が空いているのを見つけることができました。

席に着くと、すぐにウエートレスさんが来て、食券を持って行きました。

(つづく)