Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

横浜港シンボルタワー

2012-08-21 23:13:24 | 神奈川

 

「横浜三塔」とは横浜の由緒ある塔を3つ合わせてとそう呼んでいますが、
勝手に「横浜3タワー」もしくは「新・横浜三塔」なるものを挙げるとすると、
ランドマークタワー・マリンタワー・シンボルタワーでしょう。

横浜ランドマークタワーとマリンタワーは多くの方が知っていると思いますが、
横浜港シンボルタワーを知る人は少ないかと。

それもそのはずシンボルタワーは本牧埠頭のD突起の先端に位置します。
交通の便は悪いです。



このタワーは横浜港に出入りする船に信号を送る役割を担っています。
しかし周囲は公園として整備され、展望デッキ・展望台も付いているため観光スポットにもなっているのです。


しかし何と言ってもタワーの形がおもしろい!
特撮の秘密基地のようです。

 

 

富士山型の芝生の山を登った先にタワーはあります。

登りきったところには『遥かなるもの・横浜』という彫刻が構えています。



 





タワーの周りを半周しているのが展望デッキ。

海側に突き出しているために眺めは良好。
対岸には大黒ふ頭、左手コンテナとクレーンの先にランドマークタワーも見えます。

 





ベンチやゴミ箱も用意されて使いやすいです。

 頭上を走る恐竜の骨もような白い半円状のものが無駄な気もするけれど結構好き^^

解放感を奪っているようで引き出しているようでもある・・・・






対岸に見えるわちゃわちゃも見ていて飽きません。
パイプが絡まっている姿が迷路っぽくていい!

港なので船も多く行き交います。








展望台は塔の内部にあってエレベーターなどはありませんから、辿り着くには階段を上らなくてはなりません。
階段を上りきった人だけが展望台からの景色を楽しむことができるのです。

 あくまで灯台です。





タワーが円筒状になっているため、展望台からは360度の景色が楽しめます。
狭いですが、説明版や椅子等も用意されています。

 

 

見えるものと言ったら、工場やコンテナばかり。

あまり動くものが見えませんが、工業地帯特有の景観です。

こいつらがここから船で、トラックで運ばれるのでしょう。
それにしてもカラフルです^^





それにしてもこのタワー下の公園は不思議な形をしています。
富士塚の進化系のようですね。

鬼ごっこしたら楽しそうです^^



横浜港の要であるシンボルタワーは
実際に訪れることでその重要性をじわじわと感じることができます。

 


東京スカイデッキ

2012-08-20 22:26:59 | 東京都

 

六本木の森ビルにある展望施設「東京シティビュー」から「東京スカイデッキ」に行くことができます。

東京スカイデッキはビルの屋上から景色を眺める事の出来る都内で数少ない施設で、
東京シティビューのチケット+300円で登ることができます。

野外のため雨や強風などの悪天候時には使用することはできず、荷物もロッカーに預けなくてはいけません。

しかし一見の価値はあります。

柵の位置も低く、ガラス等隔てるものがないので開放的な自然のままの風景に出会えます。
私は昼間に訪れましたが、夜もまた綺麗でしょう^^

 

 
東京シティビューからエレベーターで上がると、
屋上らしさ漂うむき出しの階段とよくわからない機械たち。
ドキドキします。





屋上は高い柵もなく開放的。
風が気持ちいい。

中心にはヘリポートがあります。

 




一面に広がるのはどこかで見たことあるような東京の街!

東京タワーに東京湾、そしてお台場。


館内で見るより広角の景色です。

 





左に目を移すと丸の内のビル群の先に東京スカイツリーの姿が。

ビルを見下ろしながら見るスカイツリーも珍しいです。

 





ウッドデッキ上を移動できます。
何段か降りれる場所があったり望遠鏡があったりっと楽しみ方はいろいろ。

 

 

まっすぐ伸びる首都高速の先には渋谷の街。

東京の主要都市は大方見つける事ができます。

 




東京西部を見渡す。

明治神宮、新宿御苑などの緑地も思っていたより面積は広大。

そしてビルの街に残る霊園というギャップも面白いです。


東京西部、神奈川県まで続く関東平野には圧巻!
どのあたりまで見えるのか望遠鏡で覗いてみたいですね。
 




噂には聞いていたものの、ここからの景色は素晴らしいの一言です。
数々の展望スポットを巡ってきましたが、 東京スカイデッキほど景色の見やすい展望台はありません。

 

 


東京シティビュー

2012-08-19 16:23:44 | 東京都

 

東京の六本木、森ビルには森美術館と東京シティビューがあり、
共通券なのでどちらも見ることができます。

大人1500円、学生1000円。
前売り券があるので早めに予定の決まっている方にはおすすめです^^

 


六本木駅から直結、六本木ヒルズ内を歩いて、
落ち着いた館内からエレベーターに乗って海抜250mの世界へ。

館内は統一されたデザインでオシャレです。

ビルの展望台ならではの広々とした館内からは東京の街を一望。
大きなガラスなので眺めはたぶん東京一!

もっと解放感を味わいたい方には屋上・東京スカイデッキがおススメ。
+300円で入ることができます。

 

 

 程近くには東京タワーが見えます。
こうやって見ると東京タワーの大展望台は結構低い位置にあるのですね。

 





東京湾方面。
右から羽田、品川、臨海副都心。

 





臨海副都心を拡大。
レインボーブリッジ、そしてお台場・フジテレビ。

 

 

周囲に高い建物が無く、東京なのに空が高いです。

 

 

雪のかかる山々の奥には富士山がチラリ。

 



右に池袋、左に新宿。
手前には国立新美術館と青山霊園。

 





新宿新都心方面。
ぎっっと密集したビル群が目印。

それにしてもコクーンビルは目立ちますね^^

 

 

 青山霊園内の交差点。

墓地の交差点とは不思議なスポット。
六道の辻とか呼びたくなります。

 


京都探訪記20 ~ちょっとだけ一人旅~

2012-08-19 00:50:36 | とらべる!

 

朝、母衣君の声で目を覚ました。

彼は私に
「昨日は楽しかったぜ。じゃあまたな。」

と言い残して去って行った。
まだ午前6時前の事だ。

彼は私情のために、この日は朝一番の新幹線で東京に戻り
昼頃の高速バスで東京を出、夜にまた京都に戻ってくるという。

まったく、忙しい奴である。



一人になった。




私はその後2度寝をしようか迷ったが、せっかくの京都を満喫すべく
眠い目をこすりながら外へ出た。


外は昨日から引き続いて生憎の雨模様である。

とりあえずアーケードを抜けて白川沿いに出る。

川沿いに門があって、どうやらここからは知恩院が近いらしい。


広い道路には誰もいない。

周囲は浄土宗系の学校や施設が密集しており、浄土宗町を形成している。
緩やかな坂の頂上に位置するのが知恩院だ。







知恩院といえば三門である。

昨日は様々な寺院の三門を見てきたが、ここはスケールが違う。
高さ24m、木造門としては日本最大級だ。


目の前に立つと、ドッシリとした構えに早くも圧倒される。
嬉しいことにすでに境内に入ることができた。



意味もなく三門の下で雨宿り。

誰もいない境内はモノクロの世界である。
傘を差さぬ今では聞こえる音は瓦に打ち付ける雨の音だけ。

ゆっくりとした時間の流れに心洗われるかのようだ。

羅城門の下で雨やみを待っているのは下人であるが
私は知恩院の門の下で止まぬと分かっている雨を眺めながら過ごす。

帰りは知恩院七不思議のひとつ、瓜生石を見て帰った。

 


京都探訪記19 ~夜は銭湯で~

2012-08-17 23:10:58 | とらべる!

 

前回



どれくらい時間が経ったかわからない。
時計の小針はすでに10よりも11側を差している。

畳の部屋で寝たのはどれくらいぶりだろうか。
暖かな光が天井から射している。


しかしここで寝るわけにはいかない!
宿の主人さんに教えてもらった銭湯に行かなくては。

雨の夜に京都で銭湯。
うーん、夢みたい。こんなことがしてみたかった。


いつの間にか寝ている母衣君を起こし、タオル片手に誰もいない夜の商店街を歩いて、銭湯へと向かう。
住宅街に入って見えたのは懐かしいような暖簾。

看板には『柳湯』の文字。

暖簾をくぐって中に入る。

中には映画や漫画で見たことのある銭湯の風景、
脱衣所に大きな扇風機、曇りガラスに木製のロッカー・・・・
そして向かえてくれる気さくな番台さん。

私たちにとっての非日常風景。

しかしそこには地元の人々が慣れ親しんだ様子で過ごしている。

地元の人の日常に紛れ込む。
今日だけは京都人だ。


銭湯は湯に入ること以外にも様々な物が目を楽しませてくれる。

特に浴場入口あたりには平安神宮の神苑がタイルで描かれていて美しい!
浴場に積まれた黄色いケロリンの桶も可愛らしい。



様々な意匠の凝らされたこの柳湯にはどれくらいの歴史があるのだろうか。


熱い湯に浸かってどーんと開いた天井を眺める。

血流が良くなって、そんな事はどうでもよくなってしまった。

 


京都探訪記18 ~京都迷宮~

2012-08-16 13:00:14 | とらべる!

 

前回

 

雨に打たれながら闇夜の知らぬ街を疾走するのはなかなか出来ぬ体験だ。

とはいえなかなか心細い。

左手には御所の深い闇を抱え、烏丸通を下る。

烏丸丸太町あたりからは遠くに灯る京都タワーが見え始めた。
雨の影響でぼんやりとしているが、それがまた暖かい。


ヘンテコな灯台を見て私はまた京都にいると実感するのだ。

 

京都タワーを見て安心したので、なんだかお腹が減ってきた。
我が友、母衣君は空腹だと機嫌が悪くなることで有名である。


烏丸御池を過ぎて烏丸通と別れ左折する。

このあたり一帯はは京都でも有数の繁華街である。

三条通、六角通、蛸薬師通・・・・

まるで迷路である。

なかなか入れそうな店を見つけられずに巨大な映画館の前や
なんだか広いアーケード商店街を通って先程までとの環境の違いに多少戸惑った。

 





やっとのことで海鮮丼屋を発見!
久々のご飯をぺろりとたいらげてまたも出発。


四条河原町周辺はデパートにアミューズメント施設、ホテルに飲み屋と何でも揃っている。

そして、バスの乗り換え地点および阪急が乗り入れているなど交通の要所でもある。

そのために車道・歩道とも予想以上に混雑していた。


しかも自転車は車道に出てはいけないというオリジナルルールが我々を困惑させた。

自転車を押しながら人々にもまれるというのは初体験だ。

 

 

やっとの思いで真っ黒い鴨川を渡り、祇園界隈に辿り着く。

白川沿いの風情ある街並みに私は立ち止まらずにはいられなかった。

Y字路、石畳、町家、明神・・・・

白川に架かる巽橋、その奥には切通し。

人の姿もまばらになった祇園界隈は静寂に包まれて、
映画でも見ているかのよう。

しっとりと降っている雨が石畳を濡らし、美しいことこの上ない。

 

このあたりは「伝統的建造物群保存地区」にしていされているという。
金沢のひがし茶屋町や倉敷の美観地区も同じくこれに指定されている。


しかしながら時は私の祇園と対面を長くは許さなかった。

雨がついに本気を出し始め、
先程まではしっとりと降っていた雨も、容赦なく顔面にたたきつける雨に変わった。


幸い宿までは1km程だったのでずぶ濡れになりながらも到着。

 

 




部屋に戻ると暖かい畳と布団が迎えてくれた。

約14kmになる自転車での旅も終わったのだ。
慣れない土地と雨のおかげでクタクタ。


昼間の疲れも手伝っていつの間にか眠りについていた。

 


京都探訪記17 ~闇夜の五芒星~

2012-08-13 15:30:00 | とらべる!



前回


いよいよ空は暗くなってきて、妖しい。
裏路地をうろちょろしていたものの交差点から飛び出してくる車や歩行者が怖いので
堀川通りに出る。

堀川沿いを上って目指すは晴明神社だ。


すると
ぽつぽつと邪魔者が降ってきた。

予報通りにしっかり雨が降ってきてしまった。

なんとしても晴明神社だけは!!
と急ぐ。
 

 




時刻はまもなく6時で、
堀川通りに面した晴明神社も拝観終了の時間が来ている。

闇夜をぼんやりと照らす五芒星の提灯が素敵だ。

平安時代の陰陽師、安倍晴明を祀った神社は境内のいたるところに
五芒星が施されている。

昼間は修学旅行生等でにぎわうのだが、
この時間でこの天気なので静か。

この時間の晴明神社は私のイメージする陰陽師の世界にぴったりだ。

式神がひょっこり出てきてもおかしくはない。







と思ったらいた。


ぱらぱらと降っていた雨も少々本気を出し始めて
友人の母衣氏もソワソワし始めたのでこれにて本拠地の祇園方面へと戻ることに。

 




晴明神社のすぐ近く、堀川に一条戻橋が架かっている。

非常に小さな橋であるが、
この橋の下で晴明が式神を隠していたとか、
橋の上で死人が蘇生したとか、
平安期に様々な怪異が伝えられている。

現在のコンクリート橋は怪しげな雰囲気さえ拭い去っているが
今夜の戻り橋はスリップしそうで恐ろしげだ。

二度とこの世に戻れなくなるかもしれない。

 先を急ごう。

 


京都探訪記16 ~六道の辻で逢いましょう~

2012-08-11 00:10:31 | とらべる!

 

前回

 

白川から東大路通りへ出、祇園・八坂を爽快に走り抜ける。
八坂神社が八坂の塔が左側を流れていく。

車道を走る車が恐ろしいスピードを出していて怖いので
清水道で右折。

路地に入ってもなお車通りが多い。

 

 

道を下っていると、六道の辻へと辿り着いた。
この世とあの世を結ぶ場所。怪しいこと限りない。

背後に赤い門が建っている。これこそ六道珍皇寺だ。
なかなか可愛らしい名前をしたお寺である。


六道の辻に建つ六道珍皇寺は平安時代の小野篁ゆかりの地である。

篁は謎多き人物であり、昼間はこの世で仕事をし、夜はこの寺の奥にある井戸から冥界へ行き
閻魔庁に仕えていたという伝説が残されている。


境内には賽の河原や閻魔像を安置した閻魔堂など
他の寺とは異なった世界がある。


怪しい鐘の音が境内に響き渡るのを聞きながら我々は次なる場所へ!

しばらく行くと鴨川沿いに出た。
五条大橋を渡るとびっしりと京都の建物が並んだ京都の街並み。

町家にビルにアパートに電柱に車に自転車に・・・
非常にゴタゴタしている。

しかし東京とはちょっと違う。違和感は地形にあるのだろうか。


京都の街は道路が碁盤の目状になっているので地図で見ると一見わかりすい地形のように思える。
しかし実際には交差点が多すぎて路地へ入ってしまうと迷子になりかける。


小さな地図を片手に東から西へ・・・
もうすでに日は暮れたのだろうか。

分厚い雲が空を覆っており、時間がよくわからなくなっている。

 





直角に折れてまた直角に折れて・・・・
どれくらい漕いだことだろう、
右手に二条城が顔出した。

がむしゃらに走っていたら、いつの間にか五条から二条まで上っていた。

堀沿いに美福通に折れれば目的の二条公園は近い。

 

 

二条公園は二条城の上にある整備された都市公園だ。

北側一角には鵺大明神を祀った祠と“鵺池”と呼ばれる人工池がある。


鵺とは頭は猿、胴は狸、手足は虎、尻尾は蛇という妖怪である。


鵺という怪鳥とは似ても似つかぬ雰囲気だが、
説明版も施されてかつてここが源頼政が鵺退治の剣を洗った場所だとわかる。




時は経て雰囲気は一新されても碑だけはなお残るのである。



京都探訪記15 ~京都魔界サイクリング~

2012-08-09 23:40:21 | とらべる!

 

前回

小型の自転車に飛び乗って宿を出発したのはもう16時ごろ。

宿の主人が
「天気予報はすぐにかわりますからね」
と言っていた。

というのもこの日の予報は夜から雨。明日にかけて降り続くらしい。
なんだか空も昼間とは変わってどんよりとしている。


しかしせっかくなんだからと傘も持たずに一枚の地図と一緒に京都の街に飛び出してしまった!
きっと大丈夫!なんとなくそんな気がした。

 






宿から少し走ると、風情のあるよく整備された川沿いに出た。
これが主人お勧めの“白川”だ。

柳の木が涼しげで夜に散歩したくなる様な場所で、
川には人が一人通れるような細い橋が架かっていて小学生の通学路になっている。
自転車で渡ると結構スリリング!


白川に沿って走ると脇に案内板が立っていて“明智塚”とある。
車の通れない小さな路地、左右に迫る家々の中を進むと本当に小さな塚があった。






これが明智塚。。。。


明智とはあの有名な明智光秀のこと。

京都に首が運ばれる途中にこの地に埋められたのだという。
歴史に名の残る人物の史跡がこんな住宅地の中にひっそりと佇んでいるなんて。

京都の道端には様々な史跡や碑があって驚かされる。


明知塚から始まる京都サイクリング。
昼間の名刹古刹とは変わって、夕刻のあやしい天候の中、京都の裏物語・あやしい史跡たちを巡る!!

 


 


京都探訪記 総集編Ⅰ

2012-08-08 23:56:07 | とらべる!

 

 春から始めた「京都探訪記」も連載に3か月半の間が空いてしまったので
途中までの総集編を載せてみます。

お暇な方は読んでくださいませ(^^)笑


 

 

闇夜を走る小田急線の車内でじっくりコトコト揺られながら私たちが目指しているのは終点・新宿だ。
22時をまわった頃の車内は普段の喧騒も嘘のようで空いていて少し寂しい。

 

待ちわびていた京都への旅行が始まるというのに未だに実感していない。
隣で中吊り広告をぼんやりと眺めている親友の母衣君は何を思っているのだろうか。

思えばこの旅行に至るまでは棘の道だった。

お互い、受験・就活だったのは言うまでもない。

“卒業旅行”は前々から温めていた試みだった。
参加者も一般受験中にもかかわらず嬉しいことに私を含め8人集まった。
ざっと紹介すると母衣君、D君、クソリン、O野君、OK氏、KD氏、山口氏といった面々。

去年の末から場所の候補も選び虎視眈々と準備をしてきたのだが、近くになるにつれて
集金日当日まで音信不通、
旅行開始日一週間前に発熱、
まさかの赤点で再試、
などが幾度となく順調な計画信仰を拒んだ。


予約後も数々の変更がなされ驚くべきことに出発の10分前まで旅行の手配をしていた。
んもぅ!

それでもなんとか今、思い鞄を手にしながら列車に乗っている。
多少の変更をしながらもついに旅路は始まったのだ。

コトトトト・・・・・

それにしても快速急行という奴は速い。
ふと、胸をなでおろした私は今、登戸を通過して真っ黒い多摩川を渡った―。

 

とはいえ、夜出発するのも半年ぶりのことだ。
夜の旅はちょっとした寂しさと高揚感が混ざり合って不思議な気持ちになる。

初めて夜行列車で京都へ行った3年前の事を思い出す・・・・

徐々に速度を落とし、
列車は新宿駅のホームに滑り込んだ。

今回は初めての夜行バス。
夜のうちに目的地まで運んでくれる低価格な乗り物。


乗車するのはJRバスの『青春エコドリーム号』。
いかにもなネーミングだが、JRだから安心かと往路・復路共に今回はこのバス。

だって閑散期だから片道3500円。
土日は4000円。
もうこれにはかなわない。

バス停は新宿新南口。
南口は再開発工事中なのでバス停の『新宿』とはほぼ嘘。

南口からタイムズスクエアのデッキを渡ってトコトコ歩いて、
次の駅、代々木駅の目の前にある。

余裕をもって到着したので近くのコンビニに夜食を購入。
母衣君はというとエヴァンゲリオンウエハース(カード付き)を購入した模様。
なんだかちょっと嬉しそうだ。
いいカードが出たらしい。

バスは大体10分前に到着する。
私たちの乗るバスは22:30発『青春エコドリーム19号』。
2階建ての大きなバスがついにやってきた―。

 

改札開始のアナウンスが流れるとすぐに乗車。
つるりとしたバスの側面に蛍光灯の光が反射してカッコいい・・・


平日の便でもほぼ座席はびっしりと埋まっていて、
私たちの席は2階の先頭1Cと1D席。
幸い、前面に何もないのでほかの乗客を気にせず寝ることができる。

それでも170㎝越えの男が2人座ると狭い・・・
ほぼ身動きがとれない。

定時刻に新宿を出発して運転手さんによる親切なアナウンスが始まるとお隣の母衣君は夢の中。
本当に寝るのが早い男だ。

カーテンが閉まっていて外の景色は見えないが
大橋ジャンクションをグルグルと旋回して東名高速に入ったのがわかった。

さぁ一路、関西へ。

日付が変わる頃には車内は真っ暗になって、ウトウトした私も束の間の休息に・・・・・


***


ふと目が覚めた。
時計を見るとまだ00:40。
束の間すぎた。


それにしても尻が痛い。
尻の痛さが気になって眠れない・・・・

畜生。

体制を変えようとするも右手には鉄壁の母衣君。
足も延ばせるようなスペースは無く仕方なく通路側に足を投げ出してみる。

尻の痛みがゆっくりと和らいで再び束の間の休息に・・・・・

 

***

ふと目が覚めた。
室内が明るくなって、アナウンスが流れた。

「足柄SAで休憩をとります。」

休憩によってまたも私の休息が短いものになってしまった。


仕方がないので乗車前に新宿で購入したおやつをほおばってやり過ごす。
茎わかめにプリッツ、ひもQそして水。

夜のお菓子はなんだか美味しく感じて、
結局、全部食べてしまった。

その頃にはバスも出発していて、元通り室内の照明も消されていた。

小腹も満たされた所で、おやすみ。



***


また、目が覚めた。

腹が痛ぇ・・・・・

冷たい汗が頬を伝うような嫌な感覚に見舞われた。
ちょっと食べすぎたと後悔してももう遅かった。


畜生・・・

 

浅い眠りの中、腹痛の波が定期的に私を襲う。
これは夢か現実か・・・

京都は・・・まだか。


尻も痛ぃ・・・

 

2月22日未明、ついに私たちはJR京都駅前に降り立った。
いつものような喧騒はそこにはなく暗く、静かである。

目の前のガラス張りの巨大な建物が京都駅だ。

半年ぶりの京都、
この建物は古都・京都にふさわしいか賛否両論があるけれどもこいつに迎えられなければ
京都に来た気がしない。

そう、中学の修学旅行の時、私はこのビルに恋をした。
大胆な設計、むき出しの鉄骨、迷路のような回廊、必要性を疑う大階段。
そのすべてにグッと来た。

憧れの地京都、再びの出会い。

「嗚呼、京都・・・・!!」
胸の高鳴りを感じながら駅ビルと対峙してみる。


バスから降りた多くの人々の姿も、すでになかった。


感慨にふけっていても仕方がない。
トイレを探そう。腹が痛いことを思い出した。




トイレを探して駅ビルの地下へ。
安堵の思いで入ると個室が全部使用中ではないか。
ざっと数えて5個以上もあるのに・・・


しまった、バスから降りた人々はまずここを目指していたんだ・・・
迂闊だった。

仕方なく駅ビル地下から地下街に入りトイレを探すも空いてない・・!



3年前の2009年、初めて夜行で京都に来た時に腹を痛くして
朝の閑散とする地下街をトイレを探して死に物狂いで駆け回った2人の友人をふと、思い出した。

私も今、同じことを―

している。

 

母衣君はというと自販機で買ったポタージュをすすりながらまったりしている。
なんだか幸せそうだ。

 


トイレ問題を何とか解決して、地上ののバスロータリーへと出る。
京都市バスのバスカードを販売する自販機で1日乗車券を購入し、早速バスへ。

本日、2月22日の予定は“嵐山電鉄で行く名刹古刹巡り”。
夜が明けきらない京都駅前を後にしてバスでまずは四条大宮まで。

まっすぐ伸びる二車線の道路を駆け抜けて行く。

車窓からは所々に町家や寺院が望め、色の控えめなコンビニ看板が目に付く。
それにしたってビルはあるし都会の風景。


様々な情報の中から京都のイメージを作り上げてきた人が初めて京都に来たときに
「これが京都・・・?」と思ってしまう。

JR京都駅に然り京都タワーに然り・・・

私も中学3年の修学旅行の時、それに似た感想を持った。

しかしそれは幻滅というより驚きに近かったのだ。

自分の中の京都のイメージがもっと時代の止まったような古めかしいものだったのもある。

その時に京都が教科書に載る過去の存在でなく、現在進行形の生きた都市だということを感じた。

「京都はとても奥の深い場所なんだ。」

京都をもっと見たくて知りたくて、この旅は始まった。

 

四条大宮には阪急京都線の大宮駅と嵐電の四条大宮駅がありバスのロータリーも存在する繁華街。
とりあえずこの場所で荷物を預けて身軽にならなくては。

地上にコインロッカーが見当たらないので地下に潜る。
地下には阪急線の駅がある。京都の中心を走る鉄道はほぼ地下を走っているという。

幸い地下にコインロッカーがあったので2人分の荷物を一緒にぶち込み身軽に再出発!


ここから嵐電には乗車しないでまたバスで北上。
嵐電北野線の北野白梅町駅を目指す。

千本通りをまっすぐ、二条駅を過ぎて左折して今出川通りへ。
北野白梅町の手前、学業成就で有名な北野天満宮前で下車。

京都の寺社は拝観時間が決まっているゆえ早朝は入れないことが多いが
北野天満宮は朝5時から参拝することができるのだ。









今出川通りに面した入り口から参道を進むとゆるーく右にカーブしていく。

左右には寄進されたものであろう大きさがまちまちの灯篭が建っていて社殿へと誘う。


修学旅行生に人気のこの場所も朝が早いと誰もいない。
時々、散歩中と思しき人たちとすれ違うくらいだ。









参道を進んでいると気になるのが牛の像。
ブロンズのものから石のものまであり、どれもドッシリと座った姿をしている・・・・

これは菅原道真公に関する逸話に基づくものらしく、
どうやら道真公は牛(丑)に縁があったようだ。


そして梅!
梅も道真公のお気に入りだったらしい。
境内には梅園まであるが、残念ながらまだ蕾。

日のあたる場所から少しづつ咲き始めていた。









北野天満宮に祀られているのは菅原道真公。

平安時代に活躍した道真公は、怨霊の代名詞とも言える存在。


彼の怨霊を祀ったのがこの神社の始まりなのに
現在では学業の神様として全国の学生に信仰されている。


1000年前は誰もが恐れる怨霊が今では学問の神様に。


なんだかとってもポジティブ!!







物音すらも聞こえない朝の境内は清々しく、禍々しい気は感じられない。


道真公は1000年という時代の流れをどう感じているのだろうか・・・・

朝の境内に柏手が響いた。




北野天満宮から今出川通りを西にトボトボ歩いていくと目の前に北野白梅町駅が現れる。
予想以上に小さな駅舎だ。

ココから嵐電こと京福電気鉄道に乗って京都の西側を旅する。
嵐電は四条大宮から嵐山を結ぶ本線と、帷子ノ辻から北野白梅町を結ぶ北野線の2路線からなり、
この駅は北野線の終着駅だ。

窓口で1日乗車券を500円で購入し入場する。
1日乗車券は各施設で優待が受けられる券も付いており、乗れば乗るほど使えば使うほどお得。





しばらくするとホームに1両の小さな電車が到着。
神奈川に住む私にとっては江ノ電を彷彿とさせる抹茶色のボディ。

どちらも古都をコトコトと走る小さな電車だがどうやら姉妹協定を結んでいるらしい。


わずかな乗客を乗せて列車は出発。

江ノ電のように景色はそれほど楽しめないが、
等持院、妙心寺、竜安寺と駅名に寺院の名前が続く。

さすが京都、といった感じ。

まもなく御室仁和寺駅に到着。
降りる時にはバスのようにチャイムで知らせる方式。









駅名の通り、仁和寺の最寄駅。
踏切を渡ると仁王門が見えるので迷わずに辿り着く事ができる。




まっすぐ伸びる緩やかな上り坂の先には仁王門!
このアプローチがとても好き^^

電線が地下に潜ってくれるとさらに嬉しいなぁ。

 



木造の仁王門にはその名の通り仁王像が待ち構えている。

テンション上がってこのまま門に突っ込もうとすると意外に目の前の道の車通りが多いので無念の死を迎える可能性が高い。
右側にある信号を使った方が安全だ。


仁和寺というと中学校の国語で習った『徒然草』を思い出す。
“仁和寺にある法師”と題された章を勉強した気がする。

作者の兼好法師こと卜部兼好は仁和寺からほど近い双ヶ丘で『徒然草』の執筆をしたといわれている。



仁和寺もどうやら庭や宝物館の拝観時間にはまだ時間があるということで
金堂まで往復してバスに乗車。


木々の覆われたきぬかけの路を通って、降りるバス停は竜安寺前。


次なる目的地は石庭で有名な竜安寺。世界遺産でもある。
訪れるのは今回が初めてだ。

今まで4回京都に来ているのに竜安寺に訪れたことがないのには理由があった。
庭園や枯山水に興味が無かったからだ。


嵐電1日乗車券の優待券で拝観料も1割引き。
拝観料を支払って鏡容池を横目に見ながら目的の方丈を目指す。

それにしても緑の多い境内。
朝早くから樹木の手入れ作業が至る所で行われている。







方丈内に入って靴を履き替える。

スリッパは大人用と子供用が用意されており子供用はミッフィーが描かれていて可愛い。
竜安寺可愛いな^^


お寺で靴を脱いで入るという行為が何となく好き。
人の家にお邪魔するような、親近感にも似たような気持ちがしてドキドキする。

でもこういう感情って日本人独特のものなのだろうか、、



薄暗い方丈をスリッパでパタパタ歩いていくと、
ついにアレが姿を見せる。







「な・・なんなんだこれは・・・・・・・!!」


噂には聞いていた竜安寺石庭。
そんな庭との対峙が始まった・・・・



思ったより小さいが、
土塀に囲まれたモノクロの空間に配置された15の石・・
それ以外には何もない。

これが本に載っていた“極端にまで抽象化された世界”?


何もない庭、
しかし、何かある。
庭に興味のない私をも引きつける何かが・・・


縁側に腰を下ろして、その石の数を数えてみる。

「ひとつ、ふたつ・・・・
みっつ・・・・

一つ足りない・・・・」

そう、この庭の石をすべて同時には見れないというのだ。

はたして何故―?

そしてこの庭園は何を現している?

謎が謎を呼ぶ石庭。

 





“虎の子渡し”や“七五三配置”などとも呼ばれ、
従来から様々な憶測がなされるこの石庭。

もちろん私にその謎が解けるはずもない。


人の少ない朝の竜安寺。
縁側に座る者は私の他にあと2人ほど。
静けさがあたりを包んでいる―。

「まるで額の中の絵のようだ。」
と思った。

もっとじっくり見つめてみる。

それは全体の庭ではなく、その石がとても気に入った。
すると・・・

「この庭、角度美人だな。」

自分が気に入った場所から見た2つの石。
ゆっくりと流れる時間の中でその風景が生きてるように、動いているように見えるではないか。

「これが・・・枯山水か。」

静けさの中にこそ枯山水の良さはあるのかもしれない。
たとえそれが抽象的なものでも。
いや抽象的だからこそ根源的なものに気付かされるのかも・・・・


庭に興味がなかった私は謎に満ちた竜安寺の石庭で、少し庭が好きになった。
その謎を解かなくたって石庭と仲良くなれた気がする。

 

竜安寺の方丈内には売店が組み込まれていて、
この寺にちなんだグッズが販売されていた。

中でも気に入ったのが竜安寺オリジナルの御朱印帳。
表紙に「我唯足知」のつくばいの印が押してある。

今年に入って気になり始めた御朱印。

従来は寺院で納経するといただけるものだったようだが
現在は参拝するだけでもいただくことができる。

御朱印は寺院によって多種多様、神社でもいただくことができるという。


この機会に御朱印帳を購入。
そして拝観受付で御朱印帳をお寺の人に預ける。






しばらくすると御朱印帳が返ってきた。
そして300円を納める。


御朱印帳を開くと達筆な「石庭」の文字、個性豊かな押印!!
書きたてほやほやな御朱印に感動。

御朱印はお坊さんなどがリアルタイムで手書きしてくれるのだ。
ゆえに世界に一つだけのもの。2つと同じものはない・・・
それだけでただのスタンプではないことが分かる。


ついに人生初の御朱印をゲット・・・!
竜安寺と私は御朱印によって結ばれた。
素敵すぎる!!

お寺に参拝した証として、これからも御朱印を集めていこう。