見たい・・・けど見たくない

とても怖がりのくせに、不思議な物や怖い物が
大好きだ。後々困る事になるのは分かっているのに、
ついついTVの心霊特集や怖いドラマを見てしまう。
そして、見てしまった事を後悔する事になる。

まず、そういった番組を見ている最中だが、
自分以外に一緒に見ている人がいる場合は問題無い。
しかし、1人で見ている場合は大変だ。数分に1度は
後ろを振り返って、何も（誰も？）いないことを
確認しなければいけない。とてもせわしない。

何事も無く見終わった後にも恐怖は続く。

風呂に入ろうと思っても、まずふたを開けるのに
勇気がいる。もし長い髪の毛でもたくさん浮かんで
いたら、一体どうすればいいのだ。
とりあえず、浴槽に何もない事を確認。ほっとして
入浴するも、次はシャンプーをしなければいけない。
このシャンプーをする時が1番怖い。
何故なら、目をつぶらなくてはいけないからだ。
洗い終わって目を開いた時に、目の前に何もいない
事を願いつつ、急いで髪をゆすぐ。すぐ後ろに何かが
立っているのじゃないか・・・と言う考えが何度も
頭をよぎるが、目を開けるとシャンプーがしみるので
必死に我慢する。

やっと入浴を終えて今度はドライヤーで髪を乾かすの
だが、洗面所の鏡を見なくてはいけない。恐る恐る
鏡を覗くと、後ろには廊下の暗い闇。慌てて廊下中の
照明をつけて明るくする。ほっ、少し安心。

やれやれなんだか疲れたな、さて寝るか・・・とは
思うも、すなおに寝れるわけが無い。僕は照明を
消さないと寝られないので、しかたなく消してから
布団に入る。ただ、小さなオレンジの豆球だけは
点けたままだ。真っ暗は怖すぎる。

横になって目を閉じてもやはり気になり、いきなり
起き上がって辺りを確認したりする。後ろに空間が
無ければ何も存在する事は出来ないだろうと考え、
壁際に布団をぴったりくっつけて、壁を背にして
寝たりもするがやはり不安は消えない。
結局、照明を明々と点けて一晩中起きている事に
なったりする。

こんな苦労をするぐらいなら見なければ良いのだが、
どうしても好奇心の方が優ってしまう。
「リング」を初めて見た時は大変だった。こんな事を
1週間も続ける羽目になったのだ。

さて、僕は今まで不思議な体験や超常現象の類を
体験した事が1度も無い。内心ほっとしている反面、
1度ぐらいは見たいという気持ちもある。

見たい、けど見たくない。とても複雑な気分である。