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イスラエルに追随する読売新聞

2008-05-17 20:23:31 | パレスチナかイスラエルか
今年の5月14日は、イスラエルの建国60年の日(だった)。
というか、毎年5月14日はイスラエル建国の日に当たるけどね。
それは、パレスチナの人達にとって『ナクバ(大破局:Nakba)』と呼ばれてるのだが・・・。

それはともかく。
このイスラエル建国60年について、妙にイスラエルへの肩入れをしてる社説を見つけてしまった。
それも日本の新聞で・・・。
・イスラエル60歳 現状維持では未来はない(5月16日付・読売社説)(2008年5月15日 yomiuri.co.jp)

google の cache すら取らせてくれないので、嫌だけど yomiuri.co.jp の社説を全文引用しておく。
---- 以下引用 ----
イスラエルが建国60周年を迎えた。

 人なら還暦というところだが、国家としては無論、まだ若い。

 しかし、この60年の間に、当初約60万人だった人口は、700万人を超えるまでに膨らんだ。
1人当たり国内総生産では韓国や東欧諸国をしのぐほど、豊かな国に成長した。

 世界有数の研究者を輩出する教育機関を擁し、情報技術(IT)産業の勃興(ぼっこう)で地域の科学技術センターともなっている。
イスラエル国民はこの成果に、大いに胸を張っていいだろう。

 だが、この節目の年、イスラエルは手放しの祝賀ムードに包まれているわけではないようだ。

 治安に関しては安堵(あんど)できる状況にはない。
さらに、国が誤った方向に進んでいる、と考える国民が増えているのだという。

 イスラエル史とコインの表裏をなすパレスチナの苦難の歴史と、和平交渉の挫折の歴史も、イスラエル国民の心に暗い影を投げかけているのではないか。

 イスラエル建国の際、約70万人のパレスチナ人が自分たちの土地や家から追われた。
今や450万人にまで増えたパレスチナ難民は、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸やガザ地区のほか、近隣諸国の難民キャンプで暮らす。

 1993年のオスロ合意や2003年の中東和平ロードマップの提示など、和平交渉のきっかけは、いくつかあった。
しかし結局、すべてが振り出しへと戻るという繰り返しだ。

 求心力を欠くオルメルト・イスラエル首相とアッバス・パレスチナ自治政府議長による和平交渉にも、格別の進展はない。
和平実現への展望を示せないことが、双方とも暴力への傾斜を強める結果につながってきた。

 具体的な成果をあげられないまま推移すれば、パレスチナでは、ガザ地区の実権を握るイスラム過激派ハマスが一層影響力を広げることになるだろう。

 イスラエル国民の間には、和平を達成できない指導者に対する不信感が高まっている。
優秀な若い頭脳が欧米へ流出する現象も起きている。
これも国家の針路への不安をかき立てているのだろう。

 イスラエルが占領するヨルダン川西岸などの「土地」をパレスチナへ返還する代わりに、イスラエルは自国の「平和」を得る。

 両指導者は、「土地と平和の交換」という原則に立ち戻り、じっくり取り組めばいい。
強い意志で、具体策を積み上げることだ。

(2008年5月16日01時54分 読売新聞)
---- 引用以上 ----

・・・一瞬、イスラエル政府の広報かと思ったよ(謎笑)。
だって、パレスチナ難民の問題についてろくに扱ってないんだもん。
これだったら、パレスチナ難民の扱いに触れてる asahi.com の社説の方が1000倍マシだっての!
・パレスチナ60年―難民の苦境に終止符を(1本目)(2008年5月15日 asahi.com;web魚拓)

それに、yomiuri.co.jp の書き方だと、イスラエルとパレスチナが同じような立場(国家同士)という正しくない図式を補強してるんだよな。
実際には、パレスチナなんて国家は存在しないのに・・・。

さらに不可解なのは、パレスチナ問題の解決が単に「土地の交換」で得られるような書き方をしてること。
だいたい、「土地の交換」をするなら、イスラエルが強引に推し進めてる入植地の問題もあるし。
一応、1967年から2008年初頭までに作られたり壊された入植地の状況は↓
・Map Title: Settlements Established and Evacuated, 1967-2008(2008年2月?日 fmep.org)

これだけイスラエルの入植地がパレスチナ側にあると、撤去するのも相当大変だっぺよ~。
ってか、いざ入植地を撤去となると、イスラエル政府が入植地に住んでる人達をどこに移住させるかが大きな問題となるんだろうな。
確か、Gaza 地区にあった入植地から入植者を移住させる時も、相当反発があったらしいし・・・。
・Soldiers evict Gaza settlers(2005年8月17日 guardian.co.uk)

入植者の数が少ない Gaza 地区でこれなら、ヨルダン川西岸地区の入植者達を移住させる時にどのような事態になるか容易に想像できるわ。


yomiuri.co.jp が唱える「土地と平和の交換」でパレスチナ問題が解決できるなら、今頃イスラエルとパレスチナは共存してるっつーの。
ま、共存といっても、パレスチナが真に独立国家になってるかどうか怪しいが・・・。


2008年8月7日追記:
実は、Daily Yomiuri Online ではこの社説を掲載してなかった。
そして、The Daily Yomiuri の紙面でもこの社説を掲載してなかった・・・。
って、こんなんでいいの?


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