紙魚のつぶやき

読んだ本と美味しいものあれこれ

久しぶりの銀座

2012年07月29日 18時57分43秒 | 外でごはん
先週、久しぶりに銀座で買い物。といっても私のものじゃなくて、連れのシャツのオーダーにお付き合い。わざわざ出かけてきたのは、買い物のあとのお楽しみ。今日は、串処「最上」に行くのだ!


じゃん。ほぼ二年ぶりである。まずはビールで乾杯。うー。


まずは海老とキス。うまし!


玉ねぎと牛肉。うまし!


アワビと? うまし!


赤ワイン。今年飲んだ赤のなかでいちばん美味しかった。


アスパラと鶏肉(とんぶりが乗ってた) うまし!


烏賊(雲丹のせ)と? うまし!


蟹の爪と? うまし!


じゅんさいの赤だし。うまし!




何だったか忘れたけど、とにかくうまし。


デザートは枝豆のアイスクリーム。うまし!

最上の串揚げなら毎日食べてもいい! と思った銀座の夜でした。


春日武彦「自己愛な人たち」

2012年07月23日 09時34分20秒 | 読んだ本

春日さんはわたしが尊敬する精神科医。わたしが精神を病んだらぜひ診察してほしいと昔から思っている先生である。本書は「自己愛」について述べられた一冊。自己愛性人格障害の話かと思ったら、自己愛そのものから派生する精神的病理について語られていて、興味深く読めた。
この本に限らず、春日先生の本が面白いのは、いろいろな小説の登場人物を分析するところ。特に精神を病んだ人間でもないような人物でも、先生の分析はじつに鋭く説得力がある。まるで実際に診察をしたんではないかと思えたりして、とても楽しい。ずいぶん前に、精神科医の方に取材をしたことがあるが、その先生は著名な作家の精神分析をしていると言っていた。面白そうなので、ぜひ本にしたらどうかと提案したら、遺族の反対にあうのでほとんど不可能だとおっしゃっていた。でも、小説の主人公なら文句は出ないもんね。
それにしても、本の帯にもあるように、「あなたをじわじわ苦しめる微妙に困った人」ってホントに困るんです。困るというより怖いです。最近、確実に増えています。こういう人には近づかないことです。お気を付けください。

満足度 ★★★

奥田英朗「東京物語」

2012年07月22日 08時29分01秒 | 読んだ本

漫画本かと見紛う装丁なので、今まで手が伸びなかったが、奥田さんの本だし読んでみよう。
1959年生まれの主人公が受験で上京し一人前の社会人になるまでを、時代色たっぷりで描いている。わたしも59年生まれなので、同時代を生きてきただけになつかしい。20代はちょうどバブルで、華やかな人は華やかだったよね。わたしは新宿二丁目のゲイバーで、「金が余ってしょうがない」とのたまう常連のオジサンにときどき酒を奢ってもらう程度だっだけど…。
でも、この小説に出てくるように、「ゴーストバスターズ」もデートで観たし、松尾率いる新日鉄釜石と平尾率いる同志社大のラグビー日本選手権も観た。ジョン・レノン射殺のニュースに驚いたし、その日、やけに「イマジン」が聞こえたのも覚えている。奥田さんはこういう小説を書くのがうまいです。あっという間に読了してしまった。でも、ちょっと何か足りないような気がした。いわゆるカタログ小説で終わってるからか。
最後に、気になったことをひとつ。「山手線をまたぐ歩道橋」という表現が何度も出てくるのだが、これは「跨線橋」といえばいいんではないだろうか。著者が知らないんだろうが、編集者か校閲者が教えてあげたらよかったのに。そういうのも編集者の役目だと思うんだけど。

満足度 ★★★

バースデー・ディナー

2012年07月21日 16時41分24秒 | 外でごはん
7月某日。わたしの誕生日はご近所のビストロ・シュクレでディナーをいただいた。


まずはシャンパンで乾杯。きりりとしてて美味しい。


お店がサービスしてくれたパイシュー。サーモンクリームが入ってた。うまし。


本日のワイン。シャトーではないマルゴー産。飲みやすい赤ワインだった。


鮮魚のカルパッチョ。野菜がたっぷりだね。


フォアグラのサラダ風。マスカットが入っていて風味がよかった。


パンもうまし。


アクアパッツァ。スープがとてもおいしい。パンにつけてむしゃむしゃ食べた。


肉料理は鶏肉のチーズソース。ボリュームたっぷり。
料理はそれぞれ一人前をシェアして食べたが、これでお腹いっぱいになった。


桃のシャーベットは連れのオーダー。


モンブランはわたし。
お腹は一杯だったけど、こちらのデザートは美味しいのでついオーダーしてしまう。


エスプレッソをお願いしたら、おまけの一品もいただいた。自家製のお菓子。
この日の夜はお客さんがいっぱいでにぎやかだった。みんなが幸せな顔をして食事をしていると、自分も楽しい気持ちになるね。とても楽しい夜でした。ごちそうさま。


三谷版「桜の園」

2012年07月12日 10時33分36秒 | 芝居・絵画・音楽鑑賞
コクーン歌舞伎を堪能した翌日(7月5日)は、渋谷パルコ劇場で「桜の園」を鑑賞。
チェーホフの戯曲を三谷幸喜が翻案・演出。主演は浅丘ルリ子。三谷さんの芝居を見るのは、なんとほぼ20年ぶり。じつはワタシ、誕生日が同じです。ふふふ。

まず会場に入り席を探していると、舞台に青木さやか(家庭教師役)が登場。テレビの公開録画などでよくみられる“前説”というやつらしい。替え歌を歌ったりして客をなごませるのだが、ま、どうでもよかった。
せっかくの古典演劇を観るのだからと、原作を読んだのだが、例によって登場人物の名前がなかなか覚えられず、けっきょくおぼろげにしか内容は頭に入らなかった。没落する貴族と相反するように興隆する農民。そんなところかなあーと思って観劇。
まず感じたのは、浅丘ルリ子の芝居についていけない。一本調子のせりふが、どうも浮いているような気がした。むかし観た杉村春子の芝居(晩年)を思い出した。あのころの演劇スタイル。でも、「存在感」と言われればそうなんでしょうか。わたしは彼女が台詞を言うたびにしらーっとしたけど。
対してロパーヒン役の市川しんぺーがよかった。成り上がり者の品のなさやがさつな雰囲気がよく出ていた。青木さやかは演技と言うより“まんま”のような感じ。なにより、一幕ものにした以外はほぼ原作に忠実だったので驚いた。もっと三谷解釈が入るのかと思った(だから頑張って原作を読んでいったのである)。「喜劇」として演出したというけれどやっぱり悲劇でもある。最後の場面ではじーんとさせられた。
それにしても、お客さんの多くが、笑おう笑おうとしているように見えた。ちょっとしたセリフなのに大笑いしようとする人ばかり。「そんなに笑えないだろ」と独りごちていました。三谷演出だから期待してきたのは分かるけど、無理に笑わなくてもいいのに。それがいちばん印象に残った。

満足度 ★★★




コクーン歌舞伎「天日坊」

2012年07月08日 16時44分51秒 | 芝居・絵画・音楽鑑賞
7月5日(木)、渋谷コクーンにて「天日坊」を観てきました。

出演 中村勘九郎、中村七之助、中村獅童、白井晃ほか
原作 河竹黙阿弥
脚本 宮藤官九郎
演出 串田和美
粗筋 鎌倉時代。木曽義仲が将軍・源頼朝の命令によって討たれた後、都で化け猫騒動が起こる。義仲に娘を嫁がせていた猫間中納言が謀反の疑いを掛けられ自害、その怨霊が帝の愛猫に乗り移っていたのだ。北条時貞と修験者・観音院の力で化け猫は退治された。観音院の弟子、法策は「生き延びよ」という化け猫の不思議な一言を聞く。法策はふとしたことから、飯炊きのお三婆さんの死んだ孫が将軍・頼朝のご落胤であることを知った。証拠の品は頼朝自筆の御書と三条小鍛冶の短刀。拾われた子であり、身元も知れず、親族もいない法策は、ご落胤になりすますことを決意し、お三を殺して証拠の品を奪う。悪事を重ねながら鎌倉へ向かう途中、盗賊・地雷太郎やその女房で女盗賊のお六たち一味と出会い、殺されそうになるが、開き直って、自分の素性と企みを明かし、加担しないかと持ちかける。その時、お六が法策の本当の素性を見抜いた。驚く法策だが、その素性ゆえに盗賊たちも結束し、法策は天日坊と名を変えて、一同は、鎌倉へ乗り込むのだった――(チラシより)

一か月ほど前だったか、チケットあるかな~とふと探してみたら、平場(桟敷)席を発見。ラッキー。コクーン歌舞伎、一度は見たかったんだよね。
というわけで行ってまいりました。約3時間半の長丁場でしかも桟敷。ネットで検索してみると、長時間の平場はつらい! との感想ばかり。座布団一枚の広さではねー。ちょっと後悔…しながら文化村へ。
けれど幕が上がれば、すべては杞憂のことでした。自分とは何者か――というテーマに絞った演出・脚本がとにかく面白かった。それにくわえて、なんと華やかな! 官九郎、七之助、獅童くんがそろい踏みで見栄を切れば圧倒的な美しさにほれぼれ。特に、七之助の妖艶な美しさには感動しました。すっかり七之助ファンになりました。そして脚色もとてもよかった。ときどきおふざけのセリフもあったが、わかりやすい芝居になっていた。これは演出のよさもあると思う。特にトランペットを中心に洋楽器を使った生演奏が舞台を盛り上げていた。要所要所での、トランペットの哀切な響きが心に沁みました。
平場席については……やっぱり、けっこうきついものがあった。座布団一枚のスペースだから、足を崩すに崩せないので、けっきょく、あぐら。それでもきついんだけど、狭いのでなかなか足を組み替えられない。ただ、役者が花道に出てくる演出が多かったので、近くで見られるというおまけはある。でもわたしは、今度は椅子席でいいかな…。カーテンコールもやっぱり華やかで、「ああ見に来てよかったなー」と心から拍手。ともあれ、コクーン歌舞伎はまたぜひ観たいです。
ところで……幕間のロビーで串田さんを見つけた。串田さんはやっぱりウラジミールにしか見えないのだった……。

満足度 ★★★★★