沖縄の公認会計士佐藤晃史のブログ

沖縄で医療機関支援、事業承継、相続対策に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その5)

2013-07-17 10:41:01 | 事業承継
今回は、利益圧縮以外の方法による株価対策の3回目として、(4)資産管理会社の活用について説明します。

資産管理会社とは、オーナー一族等の個人株主が所有する株式や不動産などの資産を個人に代わって所有・管理する会社です。
資産管理会社は様々な目的のために活用されますが、当事務所の事例で最も多いのは以下のような活用方法です。

①株式移転により、事業承継対象企業の100%親会社を新設。
既存会社の100%親会社を新設する方法として、最も簡単なのは、株式移転による方法です。株式移転は、組織再編の1手法ですが、手続きが簡単でコストも安いため、非常に使い勝手がよい方法です。

②オーナーまたは事業承継対象会社が保有する不動産を親会社に譲渡。
事業承継対象会社の100%親会社を新設することで、前回説明した「高収益事業の分離」と同様の効果(収益事業を子会社に持つことで、オーナーが保有する親会社株式評価額への影響を小さくできる)が期待できます。
また、さらなる株価引き下げを狙って、資産管理会社が不動産を取得することもよく行われます。賃貸用不動産を取得することで、オーナーの所有する資産管理会社の株価を引き下げることができます。ただし、法人が取得した不動産の評価は3年間は取得価格で評価することになりますので、自社株評価額が下がるのは3年後となります。

<計算例>
新築賃貸マンション(取得価格2億円、固定資産税評価額9,800万円)を資産管理会社が取得した場合
資産管理会社の取得価格は2億円となりますが、自社株を評価する際に用いる当該建物の評価額は固定資産税評価額である9,800万円なので、その差額1億200万円(2億円‐9,800万円)だけ、自社株評価を行う際の計算要素となる資産管理会社の純資産の引下げ効果が生まれ、株価も下落します。


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