公認会計士・税理士 佐藤晃史のブログ

東京と沖縄で相続、事業承継に強い会計事務所を経営している佐藤晃史のブログです

税務調査を受ける可能性を減らすにはどうすればよいか

2015-06-11 11:18:56 | 法人税
本日、沖縄県内のある税務署から、「意見聴取結果についてのお知らせ」という文書が送られてきました。

この文書の趣旨は、「当事務所の顧問先の法人について、当該納税者に係る税務申告について、特に問題とすべき事項は認められないため、今回の税務調査は行わないことにした」という内容でした。

税務調査といえば、ある日突然に税務署から連絡があり、有無を言わせず、調査が行われるものというイメージがありますが、当事務所の顧問先については、このようなことはありません。
なぜでしょうか。

種明かしをすれば簡単なことで、当事務所の経験豊富な税理士が毎月顧問先を訪問し、記帳内容のチェックと経理指導を行い、月次試算表を完璧に仕上げているからです。
そして、顧問先の決算時には、確定申告書に当該顧問先の1年間の経理状況や税務相談内容、あるいは、前年度と比較して、増減率が高かった勘定科目についてその増減理由を詳しく記載した法定文書を添付しているからです。

確定申告書に税理士がこのような書類を添付した場合、仮に税務署が当該顧問先の申告内容について疑問点があり、調査を行いたいと思ったとしても、いきなり税務調査に入ることはできず、まず、顧問税理士に当該顧問先の申告内容の疑問点について「意見聴取」を行うことになります。

この「意見聴取」の結果、税務署が納得すれば、税務調査は行われません。

今回送られてきた文書は、当事務所に意見聴取した結果、納得したので、今回は税務調査を行いませんよ。という内容の文書なのです。

当事務所では、業務品質を上げることで、税務署からの信頼度を向上させ、その結果としてお客様の税務調査負担を軽減するべく、今後も努力していきたいと思っています。

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株式交換で自社株評価額を下げる

2013-09-18 16:29:20 | 事業承継
オーナー個人(オーナー家族を含む)がグループ企業2社(A社、B社)の株式を直接保有している場合、A社とB社が株式交換を行うことで、オーナーが保有する自社株の評価額を下げることができる場合があります。

一般的に兄弟会社2社(A社、B社)の株式交換を行い、A社を親会社、B社を子会社とした場合には、株式交換前後で親会社A社の配当総額及び利益総額の変更がない場合は、A社の発行済株式数が増加することで、類似業種比準価額を計算するための要素(1株当たり配当金、1株当たり利益金)が下がるため、A社の株式評価総額は低下します。

ただし、株式交換による子会社B社の株式受入により、親会社A社の税務上の純資産が増加し、株価を引き上げる効果が、上記の引下げ効果を下回るケースは例外的にA社の株式評価総額は増加する場合もありますので、注意が必要です。

上記の株価引き下げ効果を得るためには、株式交換後に親会社A社の類似業種比準価額評価上の会社区分が「大会社」=従業員50人以上、売上高20億円以上等の条件を満たす会社=である必要があります。

これは、大会社であれば、親会社A社の株式評価額は、純資産価額による株価を無視して、類似業種比準価額で評価できるのですが、大会社以外では、類似業務比準価額方式と純資産価額方式の株価の折衷方式となるためです。

なお、株式交換により、親会社A社の時価純資産額は子会社B社の株式の時価相当分だけ増加するため、純資産価額方式による株価は上昇しますので、大会社以外の会社では試算してみないことには、株価はどう変化するのかわかりません。

最近は、持株会社経営を行うために、株式交換を行う中小企業も多いですが、自社の株価がどのように変化するのか、あらかじめ確認してから、実行に移すことをお勧めします。


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親族外株主等が多数存在する場合の自社株の強制買取

2013-08-26 15:07:07 | 事業承継
事業承継を進めるにあたって、親族外の株主、特に会社に敵対する株主や、停滞まではしなくても、会社に協力的でない株主、あるいは音信普通になっている株主などは、できるだけ、事前に排除しておきたいものです。

このような場合には、「全部取得条項付株式」を利用して、会社の発行済株式を自社株全部を取得すると同時に、改めて後継者自身や後継者に協力的な株主に出資をしてもらう方法をとることが考えられます。

「全部取得条項付株式」とは、会社が株主から強制的に自社株を買い取れる種類株式で、会社がいつでも株主総会の特別決議をすれば、その種類株式を持つすべての株主からその種類株式を買い取ることができる特別な株式のことです。

「全部取得条項付株式」を利用するには、まず、定款を変更して「全部取得条項付株式」を発行できる会社にしたうえで、株主総会を開催し、現在発行している全株式を「全部取得条項付株式」に変更し、「全部取得条項付株式」を全株会社が買い取る議案と、新たに後継者に新株を割り当てる議案を2/3以上の賛成で可決し、実行に移します。

こうすることで、結果として、旧株主は一掃され、新たに出資した後継者と後継者に協力的な株主だけが会社の株式を持つことになりますので、後継者は一気に会社の支配権を取得するこができるわけです。

以上のように、親族外株主等が多数存在する場合の事業承継には、とても有効な「全部取得条項付株式」ですが、以下のような留意点も存在しますので、活用にあたっては、専門家に事前に相談するようにしてください。

1.買取株価
税理士や公認会計士等の専門家に適正な買取価格を算定してもらう必要があります。
買取価格が適当でない(会社に有利な場合等)と株主が判断した場合は、株主総会から20日以内に裁判所に対して、価格決定の申し立てを行うことができるからです。

2.税源規制
「全部取得条項付株式」の取得は、発行会社による自社株の取得ですので、会社法上の財源規制があります。いわゆる、会社法上の分配可能額の範囲でしか、自社株の取得は行えないので、事前に分配可能額を確認しておく必要があります。


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信託を利用した後継者への自社株贈与について

2013-07-26 11:13:30 | 事業承継
オーナー社長が自身が所有する自社株式を後継者である子息に生前贈与することは、事業承継対策における最もスタンダードなスキームですが、生涯現役を目指すにオーナー社長にとっては、自分が株主ではなくなることによる不安が付きまといます。

相続税の節税対策として、生前に自社株式を贈与することが有利とはわかっていても、会社の経営権は手放したくないというわけです。

確かに、会社の経営権の法律的な裏付けである株式を後継者に全部単純に贈与してしまうと、後継者と会社の経営方針で対立した際に、法律的に勝つのは会社の株式を100%保有する後継者であり、最悪のケースでは、取締役としての地位も危なくなってしまいます。

このような場合には、信託を利用した贈与を検討することになります。

たとえば、委託者をオーナー社長、信託財産をオーナーの所有する自社株式、受託者をオーナー社長、受益者を後継者とする信託を設定します。
信託を利用すると、オーナー社長が所有する自社株式を実質的に後継者に移転させることができます。
このような信託の場合、法律上は委託者(オーナー社長)から受託者(オーナー社長)に所有権が移転しますが、税法上は、委託者(オーナー社長)から受益者(後継者)への贈与となります。

つまり、オーナー社長保有の自社株式の法律上の所有権保有に伴う権利(議決権)をオーナー社長が保有したままで、税務上の所有権だけを後継者に移転させ、相続税対策を実行することが可能になるのです。

ただし、この手法を採用する際には、信託設定時に、委託者(オーナー社長)から受益者(後継者)に自社株の相続税評価額での贈与が行われたとして贈与税が課税されますので、事前に自社株式の評価額を引き下げるなどの贈与税対策が必要となります。

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自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その5)

2013-07-17 10:41:01 | 事業承継
今回は、利益圧縮以外の方法による株価対策の3回目として、(4)資産管理会社の活用について説明します。

資産管理会社とは、オーナー一族等の個人株主が所有する株式や不動産などの資産を個人に代わって所有・管理する会社です。
資産管理会社は様々な目的のために活用されますが、当事務所の事例で最も多いのは以下のような活用方法です。

ヽ式移転により、事業承継対象企業の100%親会社を新設。
既存会社の100%親会社を新設する方法として、最も簡単なのは、株式移転による方法です。株式移転は、組織再編の1手法ですが、手続きが簡単でコストも安いため、非常に使い勝手がよい方法です。

▲ーナーまたは事業承継対象会社が保有する不動産を親会社に譲渡。
事業承継対象会社の100%親会社を新設することで、前回説明した「高収益事業の分離」と同様の効果(収益事業を子会社に持つことで、オーナーが保有する親会社株式評価額への影響を小さくできる)が期待できます。
また、さらなる株価引き下げを狙って、資産管理会社が不動産を取得することもよく行われます。賃貸用不動産を取得することで、オーナーの所有する資産管理会社の株価を引き下げることができます。ただし、法人が取得した不動産の評価は3年間は取得価格で評価することになりますので、自社株評価額が下がるのは3年後となります。

<計算例>
新築賃貸マンション(取得価格2億円、固定資産税評価額9,800万円)を資産管理会社が取得した場合
資産管理会社の取得価格は2億円となりますが、自社株を評価する際に用いる当該建物の評価額は固定資産税評価額である9,800万円なので、その差額1億200万円(2億円‐9,800万円)だけ、自社株評価を行う際の計算要素となる資産管理会社の純資産の引下げ効果が生まれ、株価も下落します。

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自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その4)

2013-07-10 09:35:21 | 事業承継
今回は、利益圧縮以外の方法による株価対策の2回目として、(3)高収益事業の分離について説明します。

(3)高収益事業の分離
オーナー企業の自社株評価額が上昇するプロセスは、収益性の高い事業を持っている⇒毎年高収益を計上⇒会社の純資産が蓄積であり、高い株価を生む原因となっている高収益事業を当該企業から分離して、別のグループ企業に移すことができれば、当該企業の株価を引き下げることもできます。

高収益事業を分離する代表的な手法は以下の2つですが、それぞれにメリットとデメリットが存在するために、具体的な適用にあたっては、専門家とよく相談して、どの手法が有利かを慎重に見極める必要があります。

々蘯益事業を後継者が設立した会社に事業譲渡する方法
後継者が100%出資して設立した会社に、当該企業の高収益事業を事業譲渡する方法です。この方法により、従来、当該企業に高収益をもたらしていた事業が後継者が設立した新会社に移転するために、当該企業の収益力は低下し、結果として株価も引き下げることができます。
本事業譲渡により、後継者が設立した新会社の株価は高くなりますが、新会社の事業承継までには数十年の時間がありますので、事業承継対策を行うことができます。

本手法は、一見、素晴らしい手法のように見えますが、以下のようなデメリットもありますので、注意が必要です。
・高収益事業を事業譲渡する場合、必ず「営業権」の問題が発生します。つまり、事業譲渡の際、当該企業側では、売却価格が簿価(譲渡資産簿価−譲渡負債簿価)の上回るため、多額の譲渡益が計上される。
⇒上記の問題は、完全支配関係ののある100%グループ法人間での事業譲渡とすることで、回避可能です。

・移転資産の所有権移転手続きに多額のコストと煩雑な手続きが必要になる。
 
そこで、実務上は、上記デメリットを回避することができる以下で説明する「会社分割」を利用するケースが多いと思います。

高収益事業を会社分割により子会社に移転する方法
分社型新設分割(100%子会社を新設する分割)により、当該企業の100%子会社を設立することで高収益事業を子会社に移転することでも、当該企業の株価を引き下げることができます。
つまり、従来の会社は持株会社となり、100%子会社が事業会社になるとイメージです。

このような組織形態にすることで、子会社は株価が上昇しますが、親会社は直接収益の出る事業を保有しているわけではないので、株価は従来より低下します。

また、分社型新設分割では、子会社へ移転する資産・負債は原則簿価移転ですので、親会社側で譲渡損益を認識する必要がなく、さらには不動産の所有権移転に係る税金も優遇措置があるため、税務コストを気にすることなく、組織再編を行うことができるのもメリットです。

実際に株価がどの程度下がるのか検証するには、自社株評価額計算のプロセスを詳しく説明する必要があるため、ここでは割愛しますが、イメージととしては、これまでは高収益事業の毎年の利益が直接当該企業に蓄積されることで毎年株価が上昇してきましたが、本手法採用後は、利益は子会社に蓄積されることになり、当該企業(親会社)側では、子会社株式の含み益が増加する構造に変化することにより、当該企業(親会社)の株価上昇を抑えることができるということになります。

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自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その3)

2013-07-09 14:39:09 | 事業承継
前回までの2回では、利益引下げによる株価対策について説明しましたが、今回は、利益圧縮以外の方法で、オーナー社長保有の自社株の評価額を引き下げる以下の手法について説明したいと思います。
(1)従業員持株会の活用
オーナー社長が保有する株式の一部を従業員持株会に譲渡するか、もしくは会社が第三者割当増資を行い、従業員持株会がその全額を引き受けることにより、オーナー社長の保有する自社株式の評価額を引き下げることができます。

<事例>
・会社の発行済株式数:500株
・オーナー保有株式:500株(100%保有)
・オーナー保有株式の取得価格:5万円
・オーナー保有株式の時価評価額:50万円
・会社の規模:従業員120名(大会社)
・オーナー保有株式500株のうち、100株を従業員持株会に配当還元価格で譲渡する
・配当還元価格:5万円

<計算結果>
仝什澆離ーナー保有自社株式の評価額
 500株×50万円=2億5,000万円
⊇抄醗持株会に譲渡後の自社株式の評価額
 400株×50万円=2億円
 櫚評価額引き下げ効果
 2億5,000万円−2億円=5,000万円

以上により、従業員持株会の活用により、5,000万円の評価引き下げが可能になります。
なお、オーナー社長は保有する自社株100株(取得価格5万円)を配当還元価格5万円/株で
譲渡しているため、所得税等の課税はなく、100株×5万円=500万円の現金を受け取ることになります。

なお、この手法は従業員持株会に自社株を持たせ、会社の業績に連動して配当を行うことにより、従業員の経営参加意識を醸成することができるという副次的な効果も期待できますが、従業員はあくまでも他人であることから、経営権の安定性を確保するため、従業員持株会の持株比率には留意する必要があります。

(2)投資育成会社の活用
投資育成会社とは、中小企業育成株式会社法に基づき設立された会社であり、沖縄県の場合は、大阪中小企業投資育成会社(九州支社=福岡)のテリトリーになります。
投資育成会社は、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な発展を図るために、中小企業に投資することを業務としています。

投資育成会社の引受株価は、中小企業庁と国税庁が定めた表k算式によって算定します。
<評価算式>
評価額=(増資後の1株当たりの税引前予想利益×配当性向)/期待利回り
・予想利益:過去3年間の決算実績を基準として、投資育成会社が決定
・配当性向:10%〜20%の範囲内で予想利益を基準として、投資育成会社が決定
・期待利回り:経営の状況、収益力、資金力等を総合的に判断して8%〜12%の範囲で決定します。

投資育成会社を利用した場合の株価引き下げ効果についての検証は複雑なので、ここでは省略しますが、当事務所のお客様が投資育成会社を活用したケースでは、30%程度の評価引き下げに成功しています。オーナー社長が保有する株式の評価額が3億円とすると、3億円×0.3=9,000万円の評価引下げ効果が得られることになり、効果は絶大です。

なお、投資育成会社を活用する場合のデメリットは、投資育成会社に対して高めの配当を支払い続ける必要があることです。あまり多額の出資を受け入れると配当負担が重くなりますので、自社株評価引下げによる節税効果との見合いで出資額を決定する必要があります。

利益圧縮以外の方法による株価対策はいかがでしたか。次回は、引き続き利益圧縮以外の方法で、オーナー保有の自社株の評価額を引き下げる以下の手法について説明したいと思います。
(3)高収益事業の分離
(4)資産管理会社の活用

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自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その2)

2013-07-02 13:29:57 | 事業承継
前回は自社株評価額引下げの必要性と評価額引き下げの方法について、説明しましたが、今回もその続きで会社の利益を一時的に圧縮して、株価を引き下げるために採られる手法について説明します。

(3)オペレーティングリースを活用する方法
オペレーティングリースとは、リース会社が実質的に運営する匿名組合に会社が出資することにより、匿名組合の損益をダイレクトに会社に取り込んで、利益を圧縮する方法です。
具体的には、航空会社や海運会社に飛行機や船舶をリースする目的の匿名組合をリース会社が設立し、その後、利益の圧縮(損金を前倒しで出したい)ニーズのある投資家を募って資金調達を行い、その投資資金にノンリコースローンで調達した借入金を合わせて、リース資産(飛行機や船舶)を購入し、その資産を航空会社や海運会社にリースする事業を行います。
匿名組合の損益は、当初は減価償却負担が大きく赤字になるため、当初2〜3年で出資額全額の損金算入ができます。また、10年間の投資期間を通算すると8〜10%程度の投資利回りが得られるケースが多いため、投資案件としての魅力も備えています。

ただし、オペレーティングリースは、途中解約が不可能であるため、出資後8年〜10年後の満期時まで、資金が固定化してしまう点、元本保証がない点、ドルベースの投資案件が多い点等のデメリットもあるので、商品特性をよく理解した上で取り組む必要があります。
また、オペレーティングリース満期時には、出資額と同金額の益金が計上されるため、満期時に役員退縮金を支給するなどの対策をあらかじめ立てておく必要があります。

(4)有価証券や不動産の含み損を活用する方法
会社が保有する有価証券や不動産、ゴルフ会員権に含み損がある場合には、不要資産であれば外部に売却し、事業に必要な資産であれば関係会社や経営者個人に売却することにより、含み損を実現させることで、株価を引き下げることができます。

(5)即時償却や特別償却を活用する方法
取得年度において、取得金額全額を償却できる以下のような制度を活用することで、利益を圧縮し、株価を引き下げることができます。
‖斥杆発電装置でその出力が10キロワット以上であるもの。
風力発電装置でその出力が1万キロワット以上であるもの。
さらに、上記以外でも、特別償却費を計上できる資産を購入することで、通常の数倍の減価償却費を計上できます。

利益引下げによる株価対策はいかがでしたか。次回は、利益圧縮以外の方法で、オーナー保有の自社株の評価額を引き下げる以下の手法について説明したいと思います。
(1)従業員持株会の活用
(2)投資育成会社の活用
(3)高収益事業の分離
(4)資産管理会社の活用

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自社株評価額の引下げの必要性と引下げ方法(その1)

2013-06-26 09:45:02 | 事業承継
会社オーナーが自身が保有する自社の株式を後継者に渡したいと考えたときにまず最初に問題になるのは、税法上の自社株の評価額がどのくらいになるかということでしょう。

30年前に資本金1,000万円(発行済株式数1,000株を全株オーナーが所有)で設立した会社の株式を子供に贈与する事例で具体的に考えてみましょう。

1.現在の株価・・・10万円/株
2.子供が支払う贈与税・・・4,720万円
(計算過程)
(10万円×1,000株−110万円)×50%−225万円=4,720万円

上記の事例では、単純にオーナーが所有する自社株式全部を一度に子供に贈与すると、とんでもない金額の贈与税が課税されることがわかります。
このように多額の贈与税が課税されるのは、当初1株1万円であった自社株が、贈与時には10万円と10倍にも上昇していたことが原因です。

そこで、税負担を軽減するには、株価を引き下げればよいことがお分かりいただけるかと存じますが、今回は、株価を引き下げる方法をいくつか
ご紹介したいと思います。

1.利益を引き下げることで株価を引き下げる方法
株式を上場していないオーナー企業の株価は、利益、配当、純資産の3要素で決定されますが、中でも利益の影響力が他の2要素よりも圧倒的に高いため、一時的に利益を引き下げることで、株価自体を引き下げることが可能です。
具体的には、以下のような方策により、利益圧縮を行います。

(1)役員退職金の支給
オーナー社長が退任すると同時に、退職金を支給することにより、株価を引き下げることが可能です。
ただし、オーナー企業では、オーナー社長が実際に退職してしまうと、企業経営に支障をきたすケースがほとんどですので、オーナー社長がよほど高齢でかつ後継者が十分に成熟している状況でなければ、実際の活用は難しいと思います。
そこで、実務では、以下で説明する役員生命保険がよく利用されています。

(2)役員生命保険を活用する方法
オーナー社長が現在は退職できないが、10年後であれば可能であろうと想定される場合に、10年後に解約返戻金がピークを迎える逓増定期保険等(保険料の1/2損金が損金になり、解約返戻率も高い生命保険)に加入します。
10年後に2億円の役員退職金の支給をしたい場合には、年間保険料2,000万円の逓増定期に加入します。この保険加入により、10年間で保険料支払い合計額は2億円となり、解約返戻金を仮に2億円とすれば、まず、役員退職金の支給原資の確保ができることになります。
次に毎年支払う保険料2,000万円の1/2は法人の損金となりますので、毎年の利益を1,000万円押し下げるため、株価を引き下げる効果を発揮します。さらに、法人の貸借対照表上、10年間で合計2億円の預金が減少し、保険積立金が増加しますが、保険積立金の評価額は保険料支払累計額を下回りますので、純資産が減少し、さらなる株価引き下げ効果を発揮することになります。

なお、10年後にこの保険を解約し、オーナーに役員退職金を支給すると保険解約益1億円が発生しますが、役員退職金支給額2億円が全額損金となりますので、保険解約による税金支払いはありません。

なお、利益引下げによる株価引き下げ方法には、以下の方法もあるが、長くなるため、次回のブログで説明したいとおもいます。
(3)オペレーティングリースを活用する方法
(4)有価証券や不動産の含み損を活用する方法
(5)即時償却や特別償却を活用する方法

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当事務所に新しいメンバーが加わりました

2013-05-14 14:39:48 | 事務所からのお知らせ
当事務所は、お客様の課題に真摯に向き合い、そして、迅速に最適な解決策を提案することを経営方針に掲げています。

この経営方針実現のためには、スタッフにも経験豊富な有資格者(公認会計士、税理士)を揃える必要があります。

当事務所では、設立1年目こそ、所長1名の体制でしたが、2年目には、早くも実務経験豊富(8年)な税理士(福田)を採用し、早期に有資格者2名体制を確立したのも、こうした経営方針があるからです。

当事務所の手厚くかつ高品質なサービスは、大変ご好評をいただいており、これまで順調に業容を拡大させていただいているため、早くも人手が足らなくなってまいりました。

そこで、不足分のカバーに加えて、新分野への進出を図るために、スタッフ2名(公認会計士1名、税理士科目合格者1名)を増員いたしました。(各スタッフのプロフィールについては、当事務所のメインホームページをご覧ください。)

今回の増員により、当事務所は設立3周年を待たずに、スタッフ6名(有資格者3名、科目合格者1名)を抱える、沖縄県内屈指のプロフェッショナル集団を形成することができたものと自負いたしております。

事務代行型会計事務所に不満をお持ちの沖縄県内の企業オーナーの皆様、当事務所では、「セカンドオピニオンサービス」も提供しておりますので、当事務所の経営サポート型会計・税務サービスをお試し下さい。

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高齢者用グループホーム用建物の賃貸に係る消費税の取扱い

2013-04-09 16:47:09 | 消費税
東京国税局は、このほど、事前照会のあった「認知症高齢者グループホーム用建物の賃貸に係る賃貸収入及び取得費用に係る消費税の取扱い」の文書回答を発表した。

認知症高齢者用グループホーム用建物の消費税は、同建物の全体が住宅の貸付に該当し、賃料収入の全額が非課税となり、同建物の取得は課税仕入れに該当するとした。
照会者は、認知症高齢者用グループホーム用建物を取得し、同建物を介護事業者に賃貸。介護事業者は、入居者に同建物を住居として提供し、食事や入浴など日常生活の世話を行っている。同建物内には介護事業者の事務室があり、敷地内には同建物の利用に伴って使用する駐車場と駐輪場がある。

照会では、住宅の貸付は非課税であり、住宅用の建物を賃貸し、賃借人が自ら使用しなくても、賃借人が住宅として転貸することが明らかな場合は、住宅の貸付に該当する。また、事務室や駐車場等も含めた全体が住宅の貸付に該当し、賃貸収入の全額を非課税として差し付けないか問い合わせていた。

東京国税局は、認知症高齢者グループは、日常生活を送るために必要な場所と認められるために住宅に該当し、介護事業者が住宅として転貸することは契約書で明らかである。事務所は入居者が日常生活する上で、必要な場所であり、駐車場等は賃料収入とは別に使用料を収受していないため、同建物の利用に伴って使用すると認められる。したがって、照会の通り、同建物の貸付は、その全体が住宅の貸付に該当し、賃料収入の全額を非課税としてして差支えないとした。

以上がこの文書回答の内容であるが、今後ますます不足することが見込まれる「介護が必要な高齢者用のグループホーム」は、異業種の企業が新規算入するケースが増えてくることが想定されます。当事務所のお客様も、先日新規参入されました。
介護事業に経験のない企業の場合、自身で介護事業に参入するのではなく、建物だけを建てて、介護事業者に賃貸することを選択する場合も多くなると思います。

今回の回答は、このような場合の消費税の取扱いを明確化したものです。消費税の取扱いはとかく複雑で、特に大きな設備投資を伴う場合には、事前に十分な検討が必要になります。十分に検討せず、事業を開始してからこ「こんなはずではなかった」とならないように、事前に専門家に相談してください。

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事業承継税制の改正

2013-02-14 15:46:12 | 事業承継
使い勝手が悪く、利用が伸び悩んでいた事業承継税制の改正が「平成25年度税制改正大綱」に盛り込まれました。

主な改正内容は以下の通りです。

1.雇用確保要件の緩和
 現行の「毎年8割以上確保」から「5年間平均で8割以上確保」に緩和

2.後継者が親族以外の場合も適用可能に後継者要件緩和

3.贈与税における先代経営者の役員退任要件の緩和
 先代経営者(贈与者)は、贈与時に代表者を退任すれば、贈与後に引き続き役員であっても納税猶予の
 適用対象とする

4.利子税の負担軽減
 ・納税猶予期間に係る利子税率を引き下げ(現行2.1%から0.9%へ)
 ・納税猶予期間が5年を超える場合、事業承継期間(5年間)の利子税を免除

5.納税猶予再計算の特例の創設
 民事再生計画等に基づき事業を再出発させる際、猶予税額を再評価し、税額を一部免除

6.納税猶予額の計算方法の見直し
 納税猶予をフル活用できるように先代経営者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除

7.事前確認制度の廃止
 相続または贈与前の経済産業大臣による事前確認の廃止

8.提出書類の簡素化

9.その他の措置
 ・株券不発行会社への適用拡大
 ・認定が取り消された際の猶予税額に対する延納及び物納の適用

以上をまとめると、これまで適用を躊躇せざるを得ない原因となっていた「従業員雇用要件」、「後継者要件」が緩和され、
さらには「猶予期間の利子税」の引下げが行われた上に、適用手続きも簡素化されたため、これまでよりは利用を検討する企業が
増加するものと思われます。

そうはいっても、当該税制には適用後のリスクも潜んでいますので、できれば事前対策を充分に行って、当該税制のお世話になら
ないようにしたいものです。

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個人事業主が高級外車を事業に使う場合の税務

2013-01-17 15:06:01 | 所得税
個人事業主が高級外車を事業の用に供している場合に、その外車の減価償却費が必要経費として認められる否かという質問を受けるケースがありますが、私は、以下のように答えるようにしています。

0.当該車両を通勤、出張、お客様訪問、支店巡回などに実際の事業に利用している。

1.趣味性の強い車、たとえば、2ドアタイプのスポーツカーやジープタイプの4WD車はできるだけさける。

2.出張旅費規定を整備し、自動車を利用した出張については、交通費を支給せず、宿泊費と日当のみを支給する。

3.出張の際は、運転記録を作成しておく。

4.個人で車両を複数台所有する場合は、事業用車両と私用車両に分ける。1台のみの場合は、運転記録等により、公私の区別を明確にする。

5.経理処理は、事業用のみ経費として計上し、私用分は家事費として計上する。

6. 通勤に当該車両を利用する場合は、別途通勤手当の支給は受けない。

以上の要件をすべて満たしていれば、高級外車を事業の用に供しているとしても、必要経費に算入することについて、特に問題にはならないと思われます。

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所得税並びに贈与税の確定申告の無料相談を開始しました

2012-12-12 14:44:12 | 事務所からのお知らせ
当事務所では、平成24年度の所得税及び贈与税の確定申告に向けて、無料相談の受付を開始しました。

当事務所は、一見して会計事務所には見えない外観をしているため、ここに会計事務所があるよということを周囲の方にPRする意味もかねて、本日、看板も取り付けてみました。

税理士と顧問契約をするまでもないが、確定申告にあたって税理士の相談してからご自身で確定申告したい方、あるいは、税理士に確定申告を依頼したいが、税理士報酬が心配でなかなか相談できない方、さらには、毎年確定申告を依頼している税理士が全く節税対策を指導してくれないと感じている方・・・などを対象として、1回30分を目途として、当事務所の税理士2名が、親身になって対応いたします。

なお、当事務所の個人の方に関する確定申告報酬額は以下の通りです。
1.所得税
・給与所得・・・21,000円〜
・不動産所得・・・31,500円〜
・事業所得・・・52,500円〜
※不動産所得、事業所得で消費税申告が必要な場合はプラス21,000円〜

2.贈与税
・現金、上場有価証券等・・・21,000円〜
・不動産・・・52,500円〜
・非上場会社株式・・・52,500円〜

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自社株を資産管理会社に譲渡した事例

2012-11-28 09:16:23 | 事業承継
今回は、事業承継対策の一環として、会社オーナーが保有する自社株を後継者である長男が設立した資産管理会社に譲渡する事例をご紹介します。

事業承継対策として、自社株を後継者である子供に渡す手段として最も多く用いられる方法は、親子間での贈与です。
自社株の評価額が低い(時価総額で5,000万円以下程度)であれば、特別の対策なしに、毎年500万円分の自社株を子供に暦年贈与することで問題は解決します。
毎年の贈与税は53万円なので、自社株の移転コストは53万円×10年間=530万円になります。

後継者である子供は時価総額5,000万円の自社株を530万円のコスト(税率10.6%)で取得できるのですから、ベストではなくてもベターではないでしょうか。

さて、今日の本題です。

この事例の会社(A社)の自社株の時価総額は2億円(オーナー社長が100%所有)もあるため、暦年贈与作戦では対応できません。

そこで、後継者である長男の100%出資で資産管理会社を新設してもらい、当該資産管理会社にオーナー所有の自社株を順次購入してもらうことにしました。

買取資金については、オーナーが所有してる収益物件(譲渡価格2.5億円、毎年2,500万円のキャッシュフローを生み出す)を資産管理会社会社に譲渡してもらうこと
で生み出しました。
なお、資産管理会社は2.5億円をA社から借入れ、元本は据え置きとして、利息2%のみを支払うことにします。

以上の仕組みにより、資産管理会社は毎年2,000万円程度のキャッシュフローを得られることになります。
資産管理会社は、このキャッシュフローを利用して、オーナー社長から、自社株を取得します。

上記の例では、時価総額2億円の自社株であっても、資産管理会社が毎年2,000万円分をオーナー社長から購入することができるため、計算上では10年間でオーナー社長保有株式
の全部を資産管理会社が取得できることになります。

つまり、10年後には、A社は長男がオーナーの資産管理会社の100%子会社となるため、長男が実質的にA社のオーナーになるわけです。
なお、資産管理会社とA社の2社を持つ意味がないのであれば、資産管理会社とA社を合併することで、長男はA社の株式を100%取得することもできます。

オーナー社長は、時価2億円の自社株を現金2億円に代えることになりますが、株式譲渡に係る課税が分離課税20%で済むことから、ベターな選択ではないかと思います。

さらにオーナー社長の節税を考えるなら、現在もらっている役員給与を大幅減額して、毎年の株式譲渡代金2,000万円を役員給与に代わる生活費として活用するといいでしょう。

相続対策としても、何もしなければ2億円の価値の相続財産が現金に代わることで、10年間で消費され、財産そのものがなくなりますので、大変有効な対策といえます。

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