チョムロンで。
結局、前日はわざわざジヌーまで降りてきて、一泊することにした。
そのおかげでか、足の痛みもすっかりひき、今日からはジョムソン、ムクティナートに向けて動き出すことにした。
タダパニに向かう途中、一人のイスラエル人、ホムと出会い、しばらく一緒に歩くことに。
彼の予定は40日と長く、一日の移動も村と村の間を移動する程度のゆったりとしたものだった。
そのせいか何か動作がゆっくりとしている。
別に歩くスピードは遅くないのだが、動作やしゃべり方がゆったりとしていて、
こっちもせかせか歩くことなく、二人でのんびりとした山歩きを楽しんだ。
ホムと歩き出してから少し発った後、前方からネパール人3人組が歩いてきた。
すれ違うときに不意に話しかけられ、今後の予定を聞かれる。
前日、ニーヤさんとそのガイドからマオイストの風貌ややり口を聴いていたので、
もしかしたらと思ったが、職歴11年のガイドの話では会うのはゴレパニだけとのことだった。
適当にあしらうつもりで何を聞かれても「わからない」を連発する。
すると、ホムはまるでそこに居なかったかのように「Excuse me」といい、足早にすり抜けていった。
私も続くと、後ろで「チッ」と舌打ちが聞こえる。
追ってこないところをみると偽者だったのかもしれない。
ホムは振り返りもせず、歩きながら映画『大脱走』のテーマ曲を口笛で吹き出した。
私も調子に乗ってそれに続く。
山腹の道沿いには棚田が広がり、川をはさんだ先の山にも張り付くようにして民家と畑が広がる。
そんな牧歌的な風景の中を二人で口笛を吹きながら歩き続けた。
さらに進み、集落から離れた所で、道が二手に分かれた。
上りと下り、方向は同じなのでまるで見当がつかない。
さあどうしよう、私が勘を働かせていると、
ホムはかがみこみ、そのゆったりとした動きでまるで忍者のように道を調べだす。
どうやらトレッキングブーツやステッキの跡を探しているようだった。
今まで見当のつかない分かれ道に差しかかると、
勘に任せるか人に尋ねるかしかしてこなかった私にはまさに目からうろこが落ちる方法だった。
この方法はこの後、はっきりしない道に差し掛かるたびに利用し、だいぶ役にたった。
何回か双方の道を見比べた後、
「こっちはポーターしか歩いていない」といい、下りを選択することに。
しかし、実はこの道は間違っていた・・・。
タダパニに向かう途中に。ロッジの親子と集落内で遊ぶ子供。
ホムとは途中で別れ、私はこの日、タダパニに一泊。
ジョムソン、ムクティナート方面の入り口、タトパニに向かって進んでいく。
ゴレパニに向かう途中。