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本と音楽とねこと

山の人生

柳田国男,2013,『山の人生』KADOKAWA('17.12.26)

 アイヌや琉球民にその遺伝子がかろうじて残る縄文時代からの日本先住民は、中国蘇州・呉国から渡来したレプチャ系民族である弥生人、および満州から百済経由で渡来した女真族、騎馬民族で秦氏と称した沿海州オロッコ系エベンキ族により平野部や盆地から駆逐され、生き残った者は、山中で細々と生をつないできた。日本各地で伝承され柳田が本書に記録した山男や天狗との遭遇譚は、土地を追われた者たちへの畏怖が土俗的な神道のなかに組み込まれたゆえの産物だろう。「神隠し」は、「座敷童」や「桃太郎」の伝承同様、口減らしのために子どもを遺棄してきたことを隠蔽するためのものだったのだろう。民俗学の記録と歴史的事実との照合については、まだまだふじゅうぶんであることを恥じ入るほかないが、時間があれば研究を続けていきたい。

目次
山に埋もれたる人生ある事
人間必ずしも住家を持たざる事
凡人遁世の事
稀に再び山より還る者ある事
女人の山に入る者多き事
山の神に嫁入りすという事
町にも不思議なる迷子ありし事
今も少年の往々にして神に隠さるる事
神隠しに遭いやすき気質あるかと思う事
小児の言によって幽界を知らんとせし事 ほか

山で暮らす人々に起こった悲劇や不条理、山の神の嫁入りや神隠しなどの怪奇談、天狗や山男にまつわる人々の宗教生活―。山間に埋もれた人生の記録や伝承の起源などを、実地をもって精細に例証し、透徹した視点でつづる。名作『遠野物語』と対をなす代表作。

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