Blog FakeTK

某ヘタレ社会学者のブログです。本と音楽に映画の情報、日々のニュースや日常生活のできごとについてお伝えします。

   

原発マフィア

船瀬俊介,2011,『原発マフィア――今こそ自然エネルギーへの転換を!』花伝社(¥2,100)'12.5.27

 雑誌、新聞記事をやたら多用する安直さ、根拠不確かな陰謀説を一部で展開していること、そして粗野な文体はいただけないが、問題の全体像を俯瞰するにじゅうぶんな、有益で豊富な情報量と、自然エネルギー活用の最新技術についての明解な解説は大いに評価できるだろう。

目次
第1章 地震列島に原発の狂気!A級戦犯、中曽根康弘・正力松太郎
第2章 ウソで固めた原発“安全”神話
第3章 情報は「出さない」「答えない」
第4章 原発マフィアの巣窟“原子力ムラ”の腐臭
第5章 日本抹殺?原発マフィア、真の狙いは…
第6章 日本は世界に冠たる「自然エネルギー大国」だ

日本列島になぜ54基の“戦略核地雷”が設置されたか?この国を支配する原発マフィアの全貌悪魔の所業を暴く。
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ヤクザと原発

鈴木智彦,2011,『ヤクザと原発──福島第一潜入記』文藝春秋(¥1,575)'12.5.20

 地方都市に巣くう暴力団が、はるか昔から、巨大利権事業に深く広く食い込んできたことは周知の事実だが、原発もしかり。体を張った原発潜入取材記録には、随所に迫真性がみなぎる。

目次
序章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ」
第1章 私はなぜ原発作業員となったのか
第2章 放射能vs.暴力団専門ライター
第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘
第4章 ついに潜入!1Fという修羅場
第5章 原発稼業の懲りない面々
終章 「ヤクザと原発」の落とし前

「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる」某地方の暴力団組長。暴力団専門ライターが実際に働いたからこそ書ける原発という巨大なシノギ。命懸けの衝撃ノンフィクション。
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世界商品と子供の奴隷

下山晃,2009,『世界商品と子供の奴隷――多国籍企業と児童強制労働』ミネルヴァ書房(¥2,940)'12.5.13

 産業革命の時代から現代に至るまでの児童労働の歴史と、グローバリゼーションとともに深刻化する、労働者、兵士、あるいはセックスワーカーとして搾取され続ける世界各国の子どもの現状を、それを容認、推進してきた具体的な企業名ともども、詳細に報告している。「知らなかった」では済まされない惨状を、次から次に突きつけられて平静でいられる者は少ないだろう。

目次
第1部 写真篇 働く子供・働かされる子供・あそぶ子供
第2部 本篇 世界企業・世界商品・児童労働
問題のとらえ方
子供たちをとりまく惨状
産業革命と児童労働
おいしいものと子供の奴隷
べんりなものと子供の奴隷
たのしいものと子供の奴隷
いまわしいものと子供の奴隷
セレブなものと子供の奴隷
グローバル化と共生の原理

誰もが知っているナイキやネスレやマクドナルド。営利至上の世界企業が支配するグローバル経済の最底辺から、「最悪の形態の労働」に喘ぐ子供たちの実像が浮かび上がる。身近な商品の背後に隠された実態を一望する警世の書。
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リスク化する日本社会

ウルリッヒ・ベック,鈴木宗徳・伊藤美登里編著,2011,『リスク化する日本社会――ウルリッヒ・ベックとの対話』岩波書店(¥1,995)'12.5.6

 シンポジウムでの報告にもとづいた論文集。難解だが、「圧縮された近代」を漸次的に経験してきた日本および韓国・中国等における個人化、家族変容等の問題を再考してみるのに有益だった。次から次に呈示される多種多様な論点にめまいがする思いがした。

目次
この機会に―福島、あるいは世界リスク社会における日本の未来
1 再帰的近代化の中の個人と社会―社会理論の現在
個人化の多様性―ヨーロッパの視座と東アジアの視座
個人化論の位相―「第二の近代」というフレーム
二〇一〇年代の日本における個人化とベックの理論
2 リスクの時代の家族と社会保障―ベック理論との対話
リスク社会における家族と社会保障
個人化とグローバル化の時代における家族
個人化と家族主義―東アジアとヨーロッパ、そして日本
日本における個人化の現象―福祉国家をとおしてみる
3 日本と東アジアにおける多元的近代
第二の近代の多様性とコスモポリタン的構想
東アジアにおける第二の近代の社会変容とリスク予防ガバナンス―ウルリッヒ・ベックとの対話
社会学理論、第二の近代、「日本」―アジア的パースペクティヴとコスモポリタン化をめぐるベックとの対話
4 個人化する日本社会のゆくえ―コメントに対するコメント

様々な危機や不安に直面する日本社会にとって、人々の生活や人生上のリスクを安定化する装置がどのようなものであるべきかが問われている。本書は、リスク社会論の第一人者との対話から、そのためのヒントを探る試みである。「個人化」「第二の近代」「コスモポリタン化」といったベック理論の重要概念に批判的な検討を加えながら、社会理論の役割、リスクの時代の家族と社会保障、日本と東アジアにおける多元的近代をめぐって議論が展開される。2010年秋の連続シンポジウムの記録に、ベックが福島第一原発の事故を論じた貴重な論考も収録。
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愚民社会

大塚英志・宮台真司,2012,『愚民社会』太田出版(¥1,600)'12.4.30

 大塚の鋭い突っ込みが良い。「田吾作」を懐柔、慰撫するエリートによるよりましな社会のアーキテクチャーの構築か、時代の「空気」に流されるだけで自ら考え言葉をつむぐ能力をもたない「土人」が「個人」として自立できるよう鍛え上げていく教育か、おそらく両者ともに必要なことなのだろうが、柳田國男の「公民の民俗学」に依拠しながら後者の可能性に賭ける大塚の姿勢に知的誠実さを感じた。

目次
I.すべての動員に抗して ――立ち止まって自分の頭で考えるための『災害下の思考』
II.歴史を忘却する装置としての象徴天皇制
III.アイロニカルな構造自体を示したい

近代への努力を怠ってきたツケが、今この社会を襲っている。日本の終わりを書きとめるための、過激な社会学者と実践的評論家による奇跡の対談集。
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Our Version of Events

Emeli Sandé,Our Version of Events(2012)

 Emeli Sandé。母はイギリス人、父はザンビア人の、スコットランド出身にして医学部中退のR&Bシンガー。
 ときにパワフルでときに繊細なすばらしい歌声を聴いてると、そんな属性にも興趣がわく。
 ソングライティングのセンスも特筆ものだ。これは、イギリスだけでなく、世界中で売れるだろう。

Emeli Sandé - Heaven
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家族新聞

浅田政志・共同通信社,2010,『家族新聞』幻冬舎(¥1,575)'12.4.22

 現実の家族が「生活資源を共にする親族の小集団」という枠を超え、その意味が人それぞれのものに多様化しつつあることが、簡潔な記事と味のある写真で紹介される、さまざまな共生のかたちから見て取れる。家族のいまとこれからを知るにはとてもよい資料となるだろう。

気になるのは、家族。日本のいまを写し出すドキュメンタリー・フォトブック。写真家の共同通信社文化部の記者たちが取材をした、実在する“家族”の肖像。
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結婚帝国

上野千鶴子・信田さよ子,2011,『結婚帝国』河出書房新社(文庫,¥861)'12.4.22

 すでに空洞化しているというのになおも自明視される結婚という制度の内実を、希代の論客二人が縦横無尽に語り尽くす。人生まだこれからの若者には、値千金の内容だろう。

目次
第1章 性規範と性行動のギャップを生きる三十代
第2章 「かけがえのなさ」の解体と純愛願望
第3章 「愛はなくてもセックスできる」は常識なのに
第4章 男の「愛」とセクシュアリティ
第5章 去勢しないかぎり、暴力は続くのか
第6章 結婚難民よ、どこへ行く
第7章 「カウンセラー無用論」を俎上にのせる
第8章 人は、社会的存在でなければならないのか
文庫版のための特別対談(上野千鶴子×信田さよ子)

結婚は、本当に女の岐れ道なのか―?結婚しても、しなくても、女女格差に家族問題、セックス、DV、老いた親の介護まで、難問は非情に降りかかる。もはや既婚/非婚のキーワードだけでは括れない「女」と「結婚」の現実を、“オンナの味方”二大巨頭が徹底的に語りあう!文庫版のための追加対談収録。
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怒れ!憤れ!

ステファン・エセル(村井章子訳),2011,『怒れ!憤れ!』日経BP社(¥840)'12.4.22

 ナチス占領下のフランスにおける筋金入りの元レジスタンスにして、「世界人権宣言」の起草者の一人でもあった老活動家が、若者に向けて書いた熱いメッセージ。グローバルな反貧困運動の導火線の一つとなった文書であるだけに目をとおしておきたい一冊であるが、特大のフォントで紙数を水増ししてぼったくる出版社の姿勢に呆れた。本書のメッセージからして、悪い冗談としか思えない。

若者よ、無関心はいけない。怒りを持って行動せよ。欧米の怒れる人々に火をつけたといわれている活動家の回想記。
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私家版 差別語辞典

上原善広,2011,『私家版 差別語辞典』新潮社(電子書籍版)'12.4.13

ヒステリックな糾弾や言葉狩りと、過剰な自主規制、ことなかれ主義により、いつの間にか忘却されつつある数々の差別語について、その意味と歴史とを丁寧に解説する。「路地」にはじまり淡々と語られる小話は、やがて人類に普遍的にみられる差別意識の根源にまで肉薄する。

被差別部落に根ざす隠語、あるいは心身障害、職業、人種にまつわる言葉をめぐり、語源や歴史的背景、どこでどのように使われてきたのかなどを具体的に解説。また、抗議と自主規制により「消された言語」となってしまった現状も抉る。“路地”に出自を持ち、「差別の現場」を精力的に取材し続け深く関わりを持ってきた著者だからこそ書けた、「言葉」たちのすべて。
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弱者99%社会

宮本太郎+BSフジ・プライムニュース編,2011,『弱者99%社会──日本復興のための生活保障』幻冬舎(新書,¥819)'12.4.10

 元はTV番組での対論だが、見ていなかったのでこのように書籍化されるのはありがたい。宮本太郎と切り結ぶのは、吉川洋、京極高宣、湯浅誠、濱口桂一郎、小林正弥、森雅志、泉健太、水島広子、土居丈朗、大沢真理、与謝野馨、藤井裕久の面々。これといった新味はないが、社会保障の現状と問題点、およびその解決策をさくっと理解するにはいい本だろう。

生活保護者数205万人、完全失業者数334万人、気分障害(うつ病など)の患者数104万人…これらは超格差社会を表す氷山の一角に過ぎない。いま誰もが普通の生活者から脱落するリスクを抱えている。だが、現在の日本の生活保障でこれ以上国民を救済する事は不可能である。このままではそう遠くない未来、格差限界社会へと突入してしまう。日本人全員が同時多発不安に陥るなか、私たちができる事とは一体何か。12人の識者と宮本太郎による緊急提言。
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成熟ニッポン、もう経済成長はいらない

橘木俊詔・浜矩子,2011,『成熟ニッポン、もう経済成長はいらない──それでも豊かになれる新しい生き方』朝日新聞出版(新書,¥798)'12.4.10

 対談だからしようがないのかもしれないが、内容が粗雑すぎる。低成長経済を維持し、限られたパイを公平に分配することで、脱物質主義的な成熟社会を楽しく安心して生きようという提言には共感するけれども、そのアーキテクチャーをどうするのか、精緻なグランドデザインを明示していく必要があるだろう。

目次
第1章 高度経済成長モデルを脱せよ―浜さんが思う「いちばん大事なこと」
第2章 無縁社会、格差社会を克服せよ―橘木さんが思う「いちばん大事なこと」
第3章 それでも1ドル50円時代が来る―グローバル社会の「本質」とは何か
第4章 消費税増税で社会保障改革を―国民の安心をまず第一に
第5章 日本の強みと弱み
第6章 優雅に衰退しよう

GDPの大きさなど、もはやどうでもいい。グローバル化が進む中で成熟化する初の先進国、それが日本だ。後に続く国々に「モデル」を示せるか。碩学と気鋭の教授が語り尽くす。
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猫の形をした幸福

小手鞠るい,2011,『猫の形をした幸福』ポプラ社(文庫,¥651)'12.4.10

 猫を我が子代わりに可愛がり、最期を看取った者には、犬では代用できない、猫あってのなんともほんわかした生活と、逝ったあとの言いようのない寂しさとが、綴られた文章から懐かしく想起されるだろう。猫好きにしか書けない佳作だ。

それは、悲しい予感に満ちた、あふれるほどの幸福。傷を負いながら生きてきたふたりが結ばれ、新しい生活に一匹の子猫を招き入れる。ふたりの愛が育まれるとともに、子猫はおとなになり、そして―たまらなく愛おしく、そして切ない、魂の絆の物語。
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大震災後の社会学

遠藤薫編著,2011,『大震災後の社会学』講談社(新書,¥840)'12.3.26

 門下生の非力さを遠藤薫の力の入った論考が際立たせているところが、笑える。震災を社会変動の転轍機としてとらえて歴史を再構成し、現状分析、将来展望を行うのは有益だと思うので、この論点に絞って構成を考えれば良書となったように思う。

目次
序 章 東日本大震災と社会(遠藤薫)
第1章 大震災と社会変動(遠藤薫)
第2章 グローバル世界のなかの東日本大震災(遠藤薫)
第3章 東日本大震災にみる日本型システムの脆弱性(高原基影)
第4章 地域経済復興における「セーフティネット『選択と集中』の輻輳」(西田亮介)
第5章 災害ボランティア活動の「成熟」とは何か(新雅史)
第6章 日本の防災システムの陥穽(関谷直也)
第7章 震災とメディア(遠藤・西田・関谷)
終 章 日本の明日(遠藤薫)

私たちはこの災禍を転機にできるのか?日本型システムの脆さ、地域経済復興の壁、災害ボランティア…新雅史、関谷直也、西田亮介、高原基彰ら気鋭の社会学者が論じる。
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奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」

中原一歩,2011,『奇跡の災害ボランティア「石巻モデル」』朝日新聞出版(新書,¥756)'12.3.26

 「ピースボート」をはじめとするNGO、社会福祉協議会、行政機関、企業等との「奇跡」的な「協働」が、迅速な被災地・者への生活支援を実現したことは注目に値する。今後の被災地・者支援のまさにモデルとして参照されるべき事例だろう。

目次
第1章 「水の都」が消えた日
第2章 石巻モデル誕生
第3章 大学が拠点になった
第4章 顔の見えるCSR元年
第5章 行政とボランティアの連携
第6章 災害ボランティアは企画力
第7章 石巻モデルの教訓

災害ボランティア活動は、きれい事だけでは済まない。自治体にとって、ときには志願者が負担になることもある。そんな現実のなかで奇跡的な成功例と評された地域―。それが宮城県・石巻市だ。「石巻モデル」を支えた人たちの「決断」と「行動」を明らかにする!行政、NGO、NPO関係者必読の書。
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