樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

桂と月

2006年05月25日 | 木と言葉
わが家のシンボルツリーはカツラ。
まだ木に興味のない20年ほど前に出会って、「ヨーロッパの森にあるような木だな」と好感を持ちました。その後、現在の家を建てたとき、迷わず植えたのがカツラです。
私の勝手な思い込みとは裏腹に、日本固有種と知ったのは後になってからです。

        

そして、中国で「桂」はキンモクセイを意味し、景勝地として知られる桂林にはキンモクセイが茂っているということも知りました。私は行ったことがありませんが、桂林を観光された方はお土産に桂花茶(キンモクセイのお茶)を買われたのではないでしょうか。

また、中国には「月にはキンモクセイの大木があり、その花がいっせいに開花するから、秋の月は金色に輝く」という伝説があるそうです。中国では、月と桂(キンモクセイ)がセットになっているのです。
そう言えば、伏見のお酒に「月の桂」という銘柄があるので、1本買ってきました。
瓶のラベルと蔵元のホームページに書いてあることをまとめると、桂川の水で醸造していたことに因んで、この酒を飲んだあるお公家さんが「月の桂」と命名した、ということのようです。お公家さんは中国の伝説を知っていたのでしょう。

      

では、なぜ「桂」という漢字がカツラに当てられたのか? カツラの枯葉はカラメルのような甘い匂いがします。別名「香の木」とも言います。一方、キンモクセイもいい匂いがしますが、中国からの移入種です。
私の独断ですが、漢字が移入された頃、キンモクセイはまだ日本になかったので、「晩秋にいい匂いのする木」という意味の「桂」をカツラに当てたのではないでしょうか。

      

わが家のカツラ君は、いま初夏の風を受けて、気持ち良さそうに葉をヒラヒラさせています。枯葉の季節には甘い匂いを漂わせ、外出先から帰宅すると、「あ~、わが家に着いた」と実感します。
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2 コメント

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そんな (scops)
2006-05-26 00:44:56
香りがするんですね。今度嗅いでみよう。



京都には「桂」という地名もありますが、昔はたくさんのカツラの木があったんでしょうね。
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つる性の葛 (fagus06)
2006-05-26 10:41:41
も「かつら」とか「かずら」と読みます。地名のカツラも、木のカツラやつるのカツラやいろいろあるようです。

今、これを書いていて、「大根のカツラむき」はどこから来たんだろう?と疑問になりました。
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