樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

自然観察でメシが喰えるか?

2009年11月23日 | 木のミュージアム
前回ご紹介した「大阪自然史フェスティバル2009」ではシンポジウムも開催されました。テーマは「自然を仕事相手にしてみよう」。要するに、自然観察でメシが喰えるか?
まず、バードウォッチング専門の旅行会社の社長が「鳥の生活費は鳥自身で稼いでもらいましょう!」というタイトルで基調報告。寄付やボランティアだけでなく、野鳥という資産を活かして町興しをし、地域が経済的に自立することで野鳥保護に貢献しようという提案です。


(旅行会社社長の基調講演)

その中で、プロの野鳥ガイドは目当ての鳥が出現しなくても参加者を満足させるノウハウや話術を持っているという話がありました。一方、「ボランティアのガイドは同定にこだわったり、自分の知識を一方的に押し付けるだけで、参加者の満足感に配慮していない」。私も時々ボランティアでガイドをしますが、思い当たる節があって耳が痛かったです。
若いバードウォッチャーが就活で来社すると、「ファミリーレストランでアルバイトして接客を勉強してから面接に来なさい」と追い返すそうです。自然相手の仕事でも、お客様あってのプロフェッショナルということでしょう。


(基調講演のスライドの一部)

基調講演の後、博物館学芸員、環境アセスメント、NPO、国立公園のレンジャー、環境教育コーディネーター、イラストレーター、自然番組のビデオ制作など、自然相手の仕事に携わっている8人が登壇してパネルディスカッションが行われました。
その中で司会者がアドリブでやったアンケートが面白かった。「今の仕事に就くとき家族に反対された」…3人が挙手。「生活できるだけの収入がある」…3人。「5年後も今の仕事を続けていると思う」…4人。「社員を雇用する気がある」…5人。


(8人のパネラーによるディスカッション)

環境やエコはビジネスとして成立するようになりましたが、自然観察が仕事として成立するのはもう少し先ということでしょうか。それでも、私が鳥を見始めた20年前は自然でメシが喰える職種は限られていましたし、バードウォッチング専門の旅行会社が成立するなんて考えられませんでした。
私は今さら自然観察を職業にする気はなく、鳥も樹も趣味に留めますが、もっと若くて今のようにチャンスが広かったら、その道を選んだかも知れません。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 生物の多様性と趣味の多様性 | トップ | 街路樹の功罪 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (guitarbird)
2009-11-24 11:45:14
こんにちわ
英国なら「自然観察」を生業にするのは可能かもしれないですね。
政権が代わってどうなるのかに注目していますが、
でも、それだけで大きくは変わらないでしょうね。
返信する
欧米では (fagus06)
2009-11-25 08:17:47
プロのネイチャーガイドを養成する機関があり、資格を持ったガイドには法的な権限も付与されるそうです。
例えば、南極ではペンギンに5メートル以内に接近してはいけないという規則があって、それを無視して近づいたツアー客は次のポイントでは上陸させないという強い権限を持っているそうです。
こういう話題はギタバさんの方がお詳しいでしょうが…。
返信する

コメントを投稿

木のミュージアム」カテゴリの最新記事