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不動産受験新報2007年12月号 宅建試験 出題傾向の分析

2007-12-02 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」20007年12月号
       (毎月1日発売 定価910円)


出題傾向の分析
合格ラインは35~36問!

全 体
 科目ごとの難易度を昨年と比較しよう。権利関係は,全体的には昨年とほぼ同じレベルの難しさであった。法令上の制限も,昨年とほぼ同じ難易度であり,全体的にはやさしめであったといえよう。さらに,税法・鑑定評価の難易度も,昨年とあまり変わっていないようである。
 これに対し,宅建業法は,昨年よりやさしくなっている。満点を取った人も結構いたのではないだろうか。
 需給・取引の実務および土地・建物は,昨年より若干難しくなっている。
 以上を総合的に見ると,宅建業法がやさしかったことの影響が大きく,合格ラインは昨年より上がる可能性が高いと思われる。
権利および権利の変動(16問)
 問1から問5までは,過去問レベルのやさしい問題であった。なかには難解な選択肢もあるが,正解肢が基本的でやさしい問題であるため,全体的にはやさしい問題となっている。
 たとえば,問3は,肢1で即時取得というマイナーなポイントを出題しているが,正解肢は不動産物権変動に関する基本問題であるから,正解肢を選ぶのは,容易であろう。
 また,共有に関する問題である問4も,肢1の判例からの出題が難解であるが,他の選択肢は過去問レベルであるから,容易に正解できると思う。
 問7以降の民法の問題では,問8,問9,問10が少し難しかったように思う。
 問8は根抵当権に関する問題であった。正解肢となる肢は判例の知識がないと正誤を判定できない。しかし,他の3肢が条文の知識で判定できるので,消去法で正解を導けたのではないだろうか。
 問9は債権譲渡の問題である。これは判例をベースにした問題であり,難易度は高く正答率は低かったと思われる。
 問10は契約の成立,債務不履行,危険負担の関係を問う問題であった。この3つを正確に区別し整理しておけば比較的容易な問題であったろうが,3つの概念が混乱している人には難しかったかもしれない。
 問13は,少し考えさせられる問題であった。ただし実務的には,これくらいの難易度が問われることもあり,やや難しい問題ではあるが良問であろう。
 問14の正解肢は,標準的な勉強をしていれば,すぐに分かったと思われる。他の肢は民法と特別法の関係が,きちんと理解できていないと解けない問題であろう。
 問15の区分所有法の問題は,条文レベルの知識を問う問題であったが,過去に出題されたことのない知識を含んでいるので,一般的な受験生にとっては難しかったかもしれない。
 問16は難しい。かろうじて正解肢だけは,分かったかもしれないが,肢3と肢4は難易度が高いと思われる。
法令上の制限(9問)
 法令上の制限の問17~21は,例年に比べれば,幾分やさしい印象がある。
 問18の肢4の都市計画の提案,問21の肢2の石綿等と平成18年の改正に絡む問題があったが,ほとんどが過去問に出題されていたものであり,この部分に関しては,取りこぼしは許されないだろう。ただ,問20のアについては,第二種特定工作物の定義をしっかり押さえておかないと開発許可の要否判定が難しかったものと思われる。
 問22は,肢1で迷うかもしれないが,正解肢自体は基本的事項であり,容易に正解を得られたものと思われる。問23の宅地造成等規制法は,昨年の法改正で創設された「造成宅地防災区域」に関する問題であったが,特に迷うことはなかったと思われる。問24の土地区画整理法は今年も難しかった。問25の農地法は,正解肢が明白な平易な問題であり,落としてはならない。
税法・鑑定評価基準(4問)
 税法は,不動産取得税,所得税,贈与税から出題された。
 不動産取得税については平成18年改正による特例税率,所得税については平成19年改正による買換えの特例,贈与税については平成19年12月31日までの相続時精算課税の住宅資金贈与の特例といった時限あるいは近時,改正のあった項目についての出題が今年は目立った。最新情報にも注意が必要なようだ。
 問29は不動産鑑定評価基準からの出題となった。受験生にとって,この科目はとっつきにくい科目であるが,設問肢はどれも従来の傾向にそったものである。
宅地建物取引業法(16問)
 問30,31,32,33,34は,基礎的な問題であり,過去にも問われている範囲内の問題なので,落とすことはできない。問35は,近時の法改正に関する問題である。たしかに過去問にはないが,出題の予想される分野の代表と評することのできる。問36,37,38,39,40,41は,基礎的で落とせない問題であった。問42の報酬に関する問題も,出題者の工夫はみられるが,正解肢は基礎知識の範囲内である。問43,44,45は,基礎的で落とせない問題である。
需給・取引の実務(3問)
 問46は,大方の予想どおり従来の住宅金融公庫法に代わって,住宅金融支援機構に関する問題であった。機構法の対策をしていた受験生ならば,何とか正解肢を見いだすことができたであろう。
 問48は統計の問題であるが,正解肢4は「法人企業統計年報」から出題されていた。一般的な受験生で,ここまで学習していた者は極めて少なかったであろう。
 問47は,不動産表示公正競争規約に関する細かい知識を問うものであるが,消費者保護という観点に立ち,常識的感覚に従って考えていけば,正解にたどりつくことができるであろう。
 しかし,本誌11月号の「特集3宅建直前1点確実ゲット統計資料」を読んだ受験生は,肢2以外は正誤の判断ができたであろう。特に正解肢4においては,不動産業の売上高および全産業に占める売上高の割合(約2.29%)まで記述してあり,ズバリ的中した。
土地・建物(2問)
 問49を過去問に関する知識だけで解答することは,難しい。しかし,正解肢において問われている「谷底平野」については,「谷底」をイメージすることによって,記述の正誤が見えてくると思われる。
 問50は,建築基準法施行令の細かい知識を問う問題であり,難問であった。最近は同様の出題パターンが続いているが,このような難問は,解けなくて当たり前ぐらいのつもりで,気楽に対処したほうが好結果につながりやすい。


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